一級建築士の過去問
令和2年(2020年)
学科4(構造) 問91

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問題

一級建築士試験 令和2年(2020年) 学科4(構造) 問91 (訂正依頼・報告はこちら)

基礎の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 直接基礎として支持力はあるが、基礎の沈下が過大となるおそれがある地盤に建つ建築物において、基礎の平均沈下量及び不同沈下量を低減するために、パイルド・ラフト基礎を採用した。
  • 地震時に液状化のおそれのある地盤であったので、杭の水平抵抗を検討する際に、水平地盤反力係数(単位 kN/m3 )の値を低減した。
  • 一つの建築物において、高層部には杭基礎、低層部には直接基礎を採用したので、鉛直荷重時の不同沈下の検討のみを行い、基礎及び上部構造に障害が生じないことを確認した。
  • 地盤沈下が生じている埋立て地盤において、杭に負の摩擦力が生じるおそれがあったので、杭の表面に潤滑材を塗布することで対応した。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。

1.〇

パイルド・ラフト基礎は、直接基礎と杭基礎を併用した工法です。直接基礎としての支持力はあるが基礎の沈下が過大となるおそれがある地盤などに、不同沈下を低減させるために採用されます。

2.〇

液状化のおそれのある場合、地盤が軟弱になるため、杭の水平耐力を検討する際には、安全側として水平地盤反力係数を低減しておきます。

3.✕

設問のように、一つの建物において別々で直接基礎と杭基礎を採用すると、地震時、剛性の低い杭に障害が発生する可能性があるので、できるだけ避けます。

やむを得ない場合は、基礎と上部構造に障害が生じないことを確認する必要があります。

4.〇

杭に負の摩擦力が生じるおそれがある場合は、杭の表面に滑りやすい材料を塗布することで負の摩擦力を生じないようにします。

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02

正解は3です。

1.設問の通りです。
パイルド・ラフト基礎は、直接基礎単独では要求性能を満たせない場合、平均沈下量及び不同沈下量を低減するために、杭を付加します。

2.設問の通りです。
液状化の程度に応じて水平地盤反力係数を低減することにより、杭の水平耐力の検討を行うことができます。

3.設問の記述は誤りです。
直接基礎と杭基礎を併用した場合、地震時、剛性の低い杭に障害が発生する可能性があるので、基礎の併用はできるだけ避けます。やむを得ない場合は、基礎の鉛直・水平方向の支持特性と変形特性の検討が必要です。

4.設問の通りです。
杭の表面に特殊なアスファルト、膨潤性塗料、膨潤材などすべり層を塗布、もしくは二重管にすることで、負の摩擦力の低減をします。

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03

この問題は基礎の設計に関する問題です。地盤沈下と杭の関係性をしっかり理解しましょう。

選択肢1. 直接基礎として支持力はあるが、基礎の沈下が過大となるおそれがある地盤に建つ建築物において、基礎の平均沈下量及び不同沈下量を低減するために、パイルド・ラフト基礎を採用した。

正しいです。

パイルド・ラフト基礎とは直接基礎と杭基礎を併用する基礎工法です。直接基礎に建築物の重量を支持しながら杭基礎にも鉛直力を負担させ、基礎の沈下を抑制させることができます。

選択肢2. 地震時に液状化のおそれのある地盤であったので、杭の水平抵抗を検討する際に、水平地盤反力係数(単位 kN/m3 )の値を低減した。

正しいです。

水平地盤反力係数とは水平方向の地盤の硬さを表し、地盤が硬いほど水平地盤反力係数は大きくなります。地震時に液状化のおそれのある地盤は地盤が軟らかくなるおそれがあるため、水平地盤反力係数を低減する必要があります。

選択肢3. 一つの建築物において、高層部には杭基礎、低層部には直接基礎を採用したので、鉛直荷重時の不同沈下の検討のみを行い、基礎及び上部構造に障害が生じないことを確認した。

誤りです。

建築物に対する異種基礎の併用はできる限り回避する必要がありますが、やむを得ない場合は地盤の沈下や変形に対して安全であることを確認しなければならないため、不同沈下のみの検討だけでは不足しています。

選択肢4. 地盤沈下が生じている埋立て地盤において、杭に負の摩擦力が生じるおそれがあったので、杭の表面に潤滑材を塗布することで対応した。

正しいです。

負の摩擦力は地盤の沈下により杭周面の地盤が杭を沈めようとする方向に作用する摩擦力です。杭の表面に潤滑剤を塗布する等、杭から地盤を切り離すことで対策することができます。

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