一級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科2(環境・設備) 問29
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問題
一級建築士試験 令和3年(2021年) 学科2(環境・設備) 問29 (訂正依頼・報告はこちら)
吸音・遮音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 単層壁の遮音において、同一の材料の場合、壁の厚さが薄いほど、コインシデンス効果による遮音性能の低下は、より高い周波数域で発生する。
- 壁の吸音率は、「壁へ入射する音のエネルギー」に対する「壁内部に吸収される音のエネルギーと壁の反対側へ透過する音のエネルギーとの和」の割合である。
- 子どもの飛び跳ねのような重量床衝撃源による床衝撃音については、カーペット等の柔らかい床仕上げ材を用いても、遮断性能の大幅な向上は期待できない。
- 中空二重壁の共振透過において、同一の材料を用いて壁間の空気層を厚くすると、共振周波数は高くなる。
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題では、現象の原理を適切に理解する必要があります。
適切です。
コインシデンス効果とは、入射音と単層壁の曲げ波の波長が一致し、遮音性能が下がる効果です。
つまり壁の厚さが薄いほどより高い周波数域で発生します。
適切です。
壁の吸音率は下記の式で求めることができます。
吸音率 =(壁内部に吸収される音 + 壁の反対側へ透過する音)/ 壁へ入射する音
適切です。
カーペットなどの柔らかい床仕上げ材は軽量床衝撃源による床衝撃音には効果がありますが、重量床衝撃源による床衝撃音の遮断性能の大幅な向上は期待できません。
不適切です。
中空二重壁の共振透過は、中空層の厚さと音の波長が一致した際に音の透過が大きくなる現象です。
そのため壁間の空気層を厚くすると、波長が長くなるので共振周波数は低くなります。
この分野では用語が多くでてくるので全て文章で覚えるのではなく、原理を理解することで覚える範囲を減らすことをオススメします。
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02
1.正しいです。
壁と平行に近い角度で音波が入射した場合に音波の透過損失が小さくなる現象をコインシデンス効果といいます。
この現象は壁の厚みを薄くするほど、高い周波数域で発生します。
2.正しいです。
壁の吸音率とは「壁へ入射する音のエネルギー」に対する「壁からの反射音以外の音のエネルギー」の割合で表されます。
すなわち、「壁へ入射する音のエネルギー」に対する「壁内部に吸収される音のエネルギーと壁の反対側へ透過する音のエネルギーとの和」の割合です。
3.正しいです。
柔らかい床仕上げ材は、軽量衝撃音(足音や食器の落下など)に効果がありますが、重量衝撃音(子どもの跳びはねなど)には効果が期待できません。
4.誤りです。
中空層のある二重壁は、共振により振動しやすい周波数ができ、その周波数では透過損失が小さくなります。
中空層を厚くすると、その周波数はより低い周波数で生じるようになります。
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03
吸音・遮音の分野は、用語の意味だけでなく、公式なども理解できているかを問われることが多いです。
正しいです。
コインシデンス効果は、音波の波長と壁の揺れ振動が一致し共鳴した際に発生します。
薄い→揺れやすい→振動が多い →周波数が高い→高い音と共鳴しやすい
厚い→揺れにくい→振動が少ない→周波数が低い→低い音と共鳴しやすい
共鳴が起こることで透過損失が小さくなり、遮音性能が低下します。
正しいです。
設問を式で表すと
吸音率=(壁に吸収される音+壁の反対側へ透過する音)/ 壁へ入射する音
となります。
下記の公式の場合もありますので、あわせて覚えておくとよいです。
吸音率=(壁へ入射する音-壁に反射される音)/ 壁へ入射する音
正しいです。
カーペット等の仕上げ材は、軽いものを落とした時のような「軽量床衝撃音」には効果がありますが、飛び跳ねのような「重量床衝撃音」には効果は期待できません。
誤りです。
中空二重壁では、空気層がばねのような役割となり共鳴を生じることがあります。
空気層が薄ければ、空気の揺れも多くなり、共振周波数は高くなります。
空気層が厚ければ、空気の揺れも少なくなり、共振周波数は低くなります。
丸暗記ではなく、図解するなどイメージしながら理解を深めるようにしましょう。
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