一級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科4(構造) 問76

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問題

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この過去問の解説 (3件)

01

問題に「弾性座屈荷重」という言葉が出てきたら、公式を思い出し、その中身を理解していれば比較的簡単に解答できます。

公式「Pe」

弾性座屈荷重:Pe = (π²・E・Ⅰ) / (ℓK

   E:ヤング係数、Ⅰ:断面二次モーメント、ℓK:座屈長さ 

公式「Pe」から読み取れることは、以下のとおりです。

「弾性座屈荷重:Pe」は

・E:ヤング係数に比例する(大きいとPeが大きくなる)。

・I:断面二次モーメントに比例する(大きいとPeが大きくなる)。

・ℓK:座屈長さの2乗に反比例する(長いとPeが小さくなる)。

選択肢1. Peは、正方形断面を保ちながら柱断面積が2倍になると4倍になる。

正しい

柱の断面積はⅠ:断面二次モーメント(以下「Ⅰ」)に関係してきます。

ここで注意したいのは、断面が「正方形」というところです。

正方形の「I」の公式は、I(正方形): a⁴/12 (一辺の長さをaとする)となります。

よって、面積a²が2倍になると、「I」は4倍となるため、公式「Pe」から「弾性座屈荷重」は4倍となります。

選択肢2. Peは、柱材のヤング係数が2倍になると2倍になる。

正しい

公式「Pe」から「弾性座屈荷重」はE:ヤング係数に比例するためEが2倍になれば、「弾性座屈荷重」も2倍となります。

選択肢3. Peは、柱の材端条件が「両端ピンの場合」に比べて「一端自由他端固定の場合」のほうが大きくなる。

誤り

柱の材端条件条件はK:座屈長さ(以下「ℓK」)に関係してきます。

「ℓKは長いほど座屈しやすくなる値です。その値を決めるのが柱の材端条件となります。そして柱の材端条件とは、柱の両端の支持条件のこととなります。

以下に各支持条件による「ℓKの長さの違いをまとめます。

柱材の長さをLとした場合、座屈長さ「ℓK は柱材の両端の支持条件によって決められています。

A:【(水平移動拘束)両端固定→「ℓK = 0.5L】

B:【(水平移動拘束)一端ピン・他端固定→「ℓK = 0.7L】

C:【(水平移動拘束)両端ピン→ 「ℓK = L】

C:【(水平移動自由)両端固定→「ℓK = L】

D:【(水平移動自由)一端自由・他端固定→「ℓK = 2L】

D:【(水平移動自由)一端ピン・他端固定→「ℓK = 2L】

以上により、「ℓKの長さを比較すると A < B < C < D となり、

「Pe」「ℓKの長さに反比例するため Pe(A) > Pe(B) > Pe(C) > Pe(D) となります。

以上のことから、設問の支持条件C:「両端ピン」とD:「一端ピン・他端固定」を比較すると

「ℓKはC < Dとなるため「Pe」はPe(C) > Pe(D) となり、C:「両端ピン」のほうがD:「一端ピン・他端固定」より「Pe」が大きくなります。

設問には『D:「一端ピン・他端固定」のほうがC:「両端ピン」より「Pe」が大きくなる』とあるので、この設問は誤りとなります。

選択肢4. Peは、柱の材端条件が「一端ピン他端固定の場合」に比べて「両端ピンの場合」のほうが小さくなる。

正しい

柱の材端条件条件は、K:座屈長さ(以下「ℓK」)に関係してきます。

既述の支持条件を元に「ℓKを比較します。

支持条件はB:「一端ピン他端固定の場合」とC:「両端ピンの場合」となります。

「ℓKはB < Cとなり、「Pe」はPe(B) > Pe(C) となり、設問通りとなります。

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02

弾性座屈荷重の理論値Pe・・・なにそれ、ってなりますね。

座屈の検討に使いますが、式覚えてますか?

私は覚えてなかったので、1,2があやふや。3,4は似たようなことを言っているのでどちらか間違いかも、と推察し、3,4を検討しました。

これは座屈長さを覚えていないといけませんが、Peは座屈長さ(の2乗)に反比例しますが、3は反対になっているため誤りです。

座屈長さは参考書などの図入りで見るのがいいと思います。

一端自由多端固定は、習う中では一番長いですね。座屈長さ2ℓです。

両単ピンはℓなので両単ピンの方がPeは大きい(座屈しにくい)ということです。

拘束されているほど材がグキッとなりにくいイメージですかね。

さて、Peの式を覚えていたらより確実ですね。

 Pe = π2・E・I/ℓk2

です。

選択枝1はIの中身もわからないといけないですね。

 I= bD3/12 → 正方形断面なら (a2)2/12

よって1,2については正しいとわかります。

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03

答え:「3」

弾性座屈荷重の公式を利用して考えることができます。

<公式>

弾性座屈荷重 Pe = (π2× E × I ) / L2

[E = ヤング係数 I = 断面二次モーメント L = 座屈長さ]

重要なのは、

「ヤング係数、断面二次モーメントに比例

「座屈長さの2乗に反比例」 

という2点です。

1.正

柱の断面積が変わるということは、

<公式>のうち「断面二次モーメント(I)」が変わるということです。

長方形断面の断面二次モーメントは I = bh3/12 なので

正方形断面だと I = b4/12 となります。

断面積 b2 が2倍の 2b2 となると、I = 4b4/12 となり、元の4倍になります。

よって、1は正しいです。

2.正

<公式>の部分でも書いた通り、弾性座屈荷重Peは「ヤング係数に比例」します。

<公式>のEが2倍になれば、比例してPeも2倍となります。

よって、2は正しいです。

3.誤

4.正

3と4はいずれも、「材端条件」が関わってきます。

これは簡単に言うと、部材端部が固く固定されているか、緩いのかを表しています。

固く固定(固定端)になるほど座屈長さは短く、座屈荷重は大きくなります。

ゆるく固定(ピン端、自由端)になると、座屈長さは長く、座屈荷重は小さくなります。

(イメージとしては、太く短い棒よりも、背の高い細長い棒のほうが折れやすいですよね。)

さて、具体的な座屈長さは 部材長さ × 座屈長さ係数 で求めることができます。

この座屈長さ係数は材端条件で決まっており、

固く固定されるほど小さくなっています。(=座屈長さも短い)

問題の例では

3.

「両端ピン」→座屈長さ係数 0.5

「一端自由、他端固定」→座屈長さ係数 2.0

なので、座屈長さ係数が小さく座屈長さの短い「両端ピン」のほうが

弾性座屈荷重Peは大きくなります。

よって、3は誤りです。

4.

「一端ピン、他端固定」→座屈長さ係数 0.7

「両端ピン」→座屈長さ係数 1.0

なので、座屈長さ係数が大きく座屈長さの長い「両端ピン」のほうが

弾性座屈荷重Peは小さくなります。

よって、4は正しいです。

座屈長さ荷重の一覧は参考書などで覚えておきましょう!

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