一級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科4(構造) 問75
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問題
一級建築士試験 令和3年(2021年) 学科4(構造) 問75 (訂正依頼・報告はこちら)
図のような集中荷重Pを受けるトラスA、トラスB及びトラスCにおいて、それぞれのローラー支持点の水平変位δA、δB及びδCの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、各部材は同一材質の弾性部材とし、斜材の断面積はいずれもa、水平材の断面積はトラスA及びトラスBがa、トラスCが2aとする。
- δA=δC<δB
- δA<δC<δB
- δC<δA=δB
- δC<δA<δB
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この過去問の解説 (3件)
01
トラスの水平変位を求める問題です。
各トラスの左下を点D、右下を点Eとして解説します。
水平変位の伸びた量Δℓ(デルタエル)は、次の式で求められます。
Δℓ = Nℓ / AE (N:軸方向の力 A:断面積 E:ヤング係数)
①各トラスの下弦材(水平材)の力(N)を求めるために、反力を求めます。
【トラスA】
頂点にのみ鉛直方向の下向きの荷重があるので、点Dと点Eの反力は上向きに均等になります。
点D、点Eの反力 = P/2(上向き)
【トラスB、C】
頂点にのみ水平方向の荷重があるので、D点まわりのモーメントのつり合いにより反力を求めます。
点Eの反力(VE)を上向きに仮定します。
ΣMD = 0 より
P × ℓ − VE × 2ℓ = 0
VE = 2/P
反力(VD)は鉛直方向の釣り合いにより求められ、
点Dの反力(2/P 下向き)、点Eの反力(2/P 上向き)となります。
よって、トラスA~C、全てのトラスの点Eの反力は P/2(上向き)となります。
②トラスの水平材の軸方向力を求めます。
ローラー支点(点E)において、求めた反力を示力図が閉じるように転記します。
水平材(下弦材)の軸方向力をNとすると、直角二等辺三角形の三角比により、Nの大きさは反力と同じP/2(左向き、引張)となります。
よって、トラスA~C、全ての点Eの軸力(N)は 2/P(左向き、引張)となります。
求めたNを解説文はじめの式に代入し、水平変位(Δℓ)を求めます。
(α:設問文及び図に記載の断面積)
トラスA、B
Δℓ = ( 2/P × ℓ ) / ( E × α )
トラスC
Δℓ = ( 2/P × ℓ ) / ( E × 2α )
よって、水平変位の大小関係は δC < δA = δB となり、選択肢3が正しいです。
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02
簡単なようで結構難しい、ぱっと見だと、水平力が掛かるB、Cの方がAより伸びそうですよね。
見事に引っ掛かりました。
実は軸方向力はトラスA、B、Cすべて同じでした。
トラスの解き方はいろいろですが、文字だけだとわかりにくいので参考書などを参照してください。
私は時計回りに力の矢印を書いていくやり方で解きました。
すべてのトラスの下弦材の軸方向力は P/2 となります。
力が同じなら、変位δは材の断面積に反比例する(細い方がよく伸びる)ので、
断面積順に考えて、
δC < δA = δB
よって、正解は3となります。
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03
選択肢3が正しいです。
部材に生じる応力度をσ、ヤング係数をE、ひずみ度をεとすると、
σ = E × ε となり、
σ = N/A (N:部材に生じる軸方向力、A:部材の断面積)
ε = δ/l (δ:軸方向力の変位、l:部材の長さ)
であることから、
N/A = E×δ/l より
δ = (N×l) / (E×A) となります。
トラスA、B、Cの水平変位を考えます。
ピン支点をD点、頂点をE点とし、下弦材を含むような形で切断し、切断面の引張力をNA、NB、NCと仮定します。
力の釣り合いから仮定した引張力を求め、下弦材の水平変位δA、δB、δCを求めます。
【トラスAの下弦材】
D点の鉛直反力 VD = P/2(上向き)
∑ME = P/2×l − NA×l = 0 Pl/2 − NAl = 0
NAl = Pl/2 NA = P/2
よって、δA = (P/2×l) / (E×a) = Pl/2Ea
【トラスBの下弦材】
D点の水平反力 HD = P(左向き)
D点の鉛直反力 VD = P/2(下向き)
∑ME = P×l − P/2×l − NB×l = 0 Pl/2 − NBl = 0
NBl = Pl/2 NB = P/2
よって、δB = (P/2×l) / (E×a) = Pl/2Ea
【トラスCの下弦材】
トラスBと同じ形式ですが、下弦材の断面積が2aであることから
δC = (P/2×l) / (E×2a) = Pl/4Ea
よって、下弦材の水平変位の大小関係は、δC < δA = δB となります。
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