一級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科4(構造) 問74
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問題
一級建築士試験 令和3年(2021年) 学科4(構造) 問74 (訂正依頼・報告はこちら)
図は、2層のラーメンに水平荷重Pが作用したときの、正しい崩壊メカニズムを示したものである。次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、柱及び梁の全塑性モーメントはMpとする。
- 図のせん断力Qbは、Mp/lである。
- 図の鉛直反力Vは、2Mp/lである。
- 図の水平荷重Pは、2Mp/lである。
- 図のせん断力Qcは、4Mp/lである。
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この過去問の解説 (3件)
01
1から順に解いていく必要があり、難しいですね。
1 正しい
梁のせん断力 Qb = 両端モーメントの和/梁の長さ = (Mp+Mp)/2ℓ = Mp/ℓ
2 正しい
1の結果と同様に、1階の梁のせん断力もMp/ℓです。
梁のせん断力が柱の軸力となり、柱脚の垂直反力となるため、Vと1、2階の梁のせん断力の和は等しくなります。
よって、V = Mp/ℓ + Mp/ℓ = 2Mp/ℓ
3 正しい
これは仮想仕事の原理を使います。実務ではプログラムがやるので(他もそうだけど)やり方をすぐ忘れてしまいます。
外力のした仕事 = 内力のした仕事
外力のした仕事 = 外力×接点の移動距離 = P×dx = P×基点からの距離×θ
ですが、接点の移動距離が覚えにくい気がします。
基点の角度θ(構造物の傾き)として、移動距離 dx = 基点からの距離×θ と表されます。
今回は1階梁分が P×ℓ×θ で、2階梁分は P×2ℓ×θ ですね。
文字だけだとわかりにくいですね。
柱脚がθ傾いているとして、1階梁までは距離ℓ、2階までは2ℓの距離があるのでこうなります。参考書とかで確認してください。
あと、θですが、今回は全部の接点の傾きがθになると思います。
で、内力のした仕事 = (各接点のモーメント×各接点の傾き)の合計 = Mpθ×6
全部の接点(6点)でMp、傾きθなので、こうなります。
これらが等しい、と考えているので、
3Pℓθ = 6Mpθ
P = 2Mp/ℓ
4 誤り
3で求めたPの値を使います。
柱のせん断力について、私は水平力Pが分配されていくイメージをしています。
2階梁に掛かったPが2階柱に分配され、2階柱はそれぞれP/2
1階梁にもPが掛かっていてそれが1階柱に分配されると、1階の各柱にそれぞれP/2
1階柱は2階柱のせん断力が伝わってくるので、
1階柱のせん断力は Qc = P/2 + P/2 = P = 2Mp/ℓ
となり、誤りとわかります。
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02
1.図のせん断力Qbを求めます。
梁の両端に作用するモーメントを長さで割った値になります。
Qb = (Mp+Mp)/2ℓ
Qb = 2Mp/2ℓ
Qb = Mp/ℓ
よって、選択肢1は、正しいです。
2.図の鉛直反力Vを求めます。
ΣY = 0より求めます。Qb(2階)、Qa(3階)とします。
−Qb−Qa+V = 0
V = Qa+Qb
V = Mp/ℓ + 2Mp/2ℓ
V = 2Mp/ℓ
よって、選択肢2は、正しいです。
3.図の水平荷重Pを求めます。
仮想仕事の原理より求めます。
ΣMθ = ΣPδ (内力の和 = 外力の和)
内力 ΣMθ = Mp×θ×6 = 6MPθ
外力 ΣPδ = P×ℓ×θ + P×2ℓ×θ = 3Pℓθ
6MPθ = 3Pℓθ
P = 2MP/ℓ
よって、選択肢3は、正しいです。
4.図のせん断力Qcを求めます。
1階の柱のせん断力Qcは、左右の柱で同じになります。
P + P = Qc + Qc
2P = 2Qc
Qc = P
P = 2MP/ℓ
よって、選択肢4は、誤りです。
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03
1.正しいです。
せん断力Qbは、両端の曲げモーメントを足した数値を長さで割った値となります。
Qb = (Mp+MP)/2l = 2MP/2l = MP/l
2.正しいです。
鉛直反力は1層目と2層目の梁のせん断力を足した値となります。
1層目のせん断力:Qa = (Mp + MP) /2l = 2MP/2l = MP/l
2層目のせん断力:Qb = (Mp + MP) /2l = 2MP/2l = MP/l
よって、鉛直反力V = MP/l + MP/l = 2MP/l
3.正しいです。
外力のなす仕事(荷重と荷重方向の変位量の積)と内力のなす仕事(全塑性モーメントと回転角の積)から求めます。
1層目の水平荷重が作用している点の変位量をδ1、2層目の水平荷重が作用している点の変位量をδ2とすると
【外力のなす仕事】
∑Pδ = P×δ1 + P×δ2 = Pδ1 + Pδ2
変位量δ1、δ2は回転角と長さの積により求めることから
∑Pδ = Pθl + 2Pθl = 3Pθl
【内力のなす仕事】
∑Mθ = MP × θ + MP × θ + MP × θ + MP × θ + MP × θ + MP × θ
= MPθ × MPθ × MPθ × MPθ × MPθ × MPθ
= 6MPθ
∑Pδ = ∑Mθより、3Pθl = 6MPθ
P = 2Mp/l
4.誤りです。
左右の柱のせん断力は同じとなるため、左側の柱のせん断力もQCとなります。
よって、固定端に作用する水平力はQCとなりますので、水平力の釣り合いから
P + P = QC + QC
2P = 2Qc
QC = P
Pに設問3で求めた値を代入し、QC = 2MP/l となります。
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