一級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科4(構造) 問79
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問題
一級建築士試験 令和3年(2021年) 学科4(構造) 問79 (訂正依頼・報告はこちら)
図のような平面の木造軸組工法による平家建ての建築物において、建築基準法における「木造建築物の軸組の設置の基準」(いわゆる四分割法)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、図中の太線は耐力壁を示し、その軸組の倍率(壁倍率)は全て1とする。なお、この建築物の単位床面積当たりに必要な壁量は15cm/m2とする。
- 「X方向の北側の側端部分」及び「Y方向の東側の側端部分」の必要壁量は、いずれも2.4mである。
- 「X方向の南側の側端部分」及び「Y方向の西側の側端部分」の必要壁量は、いずれも1.2mである。
- X方向の壁率比は、0.5である。
- Y方向の壁率比は、0.5である。
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題は、木造軸組み工法による建築物のねじれに対して軸組(耐力壁等)が有効に働くように配置されているかを、四分割法(壁量計算)によって求める問題です。
壁量計算の手順
①建築物のX方向、Y方向の全長を4分割します(この問題の場合は、X方向、Y方向ともに2mに分けます)。
X方向にあってはY方向の両端から1/4の部分(X北側端部分、X南側端部分)、Y方向にあってはX方向の両端から1/4の部分(Y西側端部分、Y東側端部分)
この問題の場合の各側端部分は以下となります。
X北側端部分:8m × 2m = 16㎡
X南側端部分:4m × 2m = 8㎡
Y西側端部分:2m × 4m = 8㎡
Y東側端部分:2m × 8m = 16㎡
②存在壁量と必要壁量を求めます。
存在壁量とは、X方向のY方向の各端部にある耐力壁の長さに壁倍率をかけた長さになります。
この問題の場合、X北側端部分に存在する耐力壁のX方向のみの長さに壁倍率の「1」をかけます。そうすると、各側端部分の存在壁量は以下となります。
X北側端部分:2m × 壁倍率「1」= 2m
X側端部分 :4m × 壁倍率「1」= 4m
Y西側端部 :2m × 壁倍率「1」= 2m
Y東側端部分:2m × 壁倍率「1」= 2m
必要壁量とは、各側端部分に必要な存在壁量の長さになり、各側端部分の面積に15㎝/㎡をかけた長さになります。
各側端部分の必要壁量は以下となります。
※面積は手順①で求めてあります。
X北側端部分:16㎡ × 15㎝/㎡ = 240㎝ = 2.4m
X南側端部分:8㎡ × 15㎝/㎡ = 120㎝ = 1.2m
Y西側端部分:8㎡ × 15㎝/㎡ = 120㎝ = 1.2m
Y東側端部分:16㎡ × 15㎝/㎡ = 240㎝ = 2.4m
③各側端部分についての壁量充足率を求めます。
壁量充足率 = 存在壁量 ÷ 必要壁量
各側端部分の存在壁量、必要壁量は手順②で求めてありますので、壁量充足率は以下となります。
X北側端部分:2m ÷ 2.4m = 0.83
X南側端部分:4m ÷ 1.2m = 3.33
Y西側端部分:2m ÷ 1.2m = 1.66
Y東側端部分:2m ÷ 2.4m = 0.83
④各方向についての壁率比を求め、壁率比が0.5以上であることを確かめます。
壁率比 = 壁充足率の小さいほう ÷ 壁充足率の大きいほう
各方向の壁充足率は手順③で求めてありますので、壁率比は以下となります。
X方向:0.83 ÷ 3.33 = 0.249
Y方向:0.83 ÷ 1.66 = 0.5
正
「X方向の北側の側端部分」及び「Y方向の東側の側端部分」の必要壁量は、手順②より、いずれも2.4mです。
正
「X方向の南側の側端部分」及び「Y方向の西側の側端部分」の必要壁量は、手順②より、いずれも1.2mです。
誤
X方向の壁率比は、手順④より0.249となりますので、この設問は誤りです。
正
Y方向の壁率比は、手順④の値より、0.5です。
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02
正解は「3」です。
この問題は、木造建屋の耐力壁の必要な壁量を求める「四分割法」の問題です。
四分割法とは文字通り、「建物の1辺を四分割して壁量を求める」方法です。
それぞれの選択肢を確認する前に、まずは四分割をしておきましょう。
今回の問題の建屋は、X方向Y方向ともに1辺が8mなので四分割すると2mになります。
1.正しい
2.正しい
1と2はいずれも必要壁量に関する設問です。
それぞれの選択肢に出てくる「側端部分」は、四分割した
建屋の端部の範囲なので、以下のようになります。
X方向の北端:8m × 2m = 16 m2
Y方向の東端:2m × 8m = 16 m2
X方向の南端:4m × 2m = 8 m2
Y方向の西端:2m × 4m = 8 m2
また問題文から、単位床面積あたりの必要壁量は 15cm/m2となっているので
以下のように必要壁量が求められます。
X方向の北端:16m2 × 15cm/m2 = 2.4 m
Y方向の東端:16m2 × 15cm/m2 = 2.4 m
X方向の南端:8m2 × 15cm/m2 = 1.2 m
Y方向の西端:8m2 × 15cm/m2 = 1.2 m
以上より、1と2は正しいです。
3.誤り
4.正しい
3と4はいずれも壁率比に関する設問です。
壁率比を求めるには、まず必要壁量に対しどの程度の壁があるかを表す
壁量充足率を求める必要があります。
X方向の側端部分に存在するX方向の壁と、Y方向の側端部分に存在するY方向の壁は
それぞれ以下のようになります。
X方向の北端:2 m
Y方向の東端:2 m
X方向の南端:4 m
Y方向の西端:2 m
これと必要壁量から壁量充足率を求めると、以下のようになります。
X方向の北端:2 m / 2.4 m
Y方向の東端:2 m / 2.4 m
X方向の南端:4 m / 1.2 m
Y方向の西端:2 m / 1.2 m
壁率比は「壁量充足率の小さい方/壁量充足率の大きい方」で求められるため、
X方向とY方向の壁率比は以下のようになります。
X方向:(2m/2.4m)/(4m/1.2m) = 0.25
Y方向:(2m/2.4m)/(2m/1.2m) = 0.50
なので3は誤り、4は正しいです。
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03
地道に解く問題ですね。
まず、
全体面積 (8×8) − (4×4) = 48m2
1/4部分を東西南北と分けて
東と北 8×2 = 16m2
西と南 4×2 = 8m2
1,2 正
(※面積比率的に1、2は正ですね。)
単位床面積当たりに必要な壁量は15cm/m2とあるので、必要壁量は、
東と北 16m2×15cm/m2 = 240cm = 2.4m
西と南 8m2×15cm/m2 = 120cm = 1.2m
よって1、2は正しいです。
3、4は対になっていますね。
方向の呼び方が難しいのでよく確認しておいてください。エリアとしては南北がX方向、東西がY方向の壁の検討になります。
3 誤 X方向の壁率比
北(存在壁量2m/必要壁量2.4m)/南(存在壁量4m/必要壁量1.2m)
= 0.25
4 正 Y方向の壁率比
東(存在壁量2m/必要壁量2.4m)/西(存在壁量2m/必要壁量1.2m)
= 0.5
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