一級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科4(構造) 問81

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問題

一級建築士試験 令和3年(2021年) 学科4(構造) 問81 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄筋コンクリート構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 柱部材は、同じ断面の場合、一般に、内法高さが小さいほど、せん断耐力が大きくなり、靱性は低下する。
  • コンクリートは圧縮力に強く引張力に弱いので、一般に、同じ断面の柱の場合、大きな軸方向圧縮力を受けるもののほうが靱性は高い。
  • 耐力壁の壁筋の間隔を小さくすると、一般に、耐力壁のひび割れの進展を抑制できる。
  • 柱梁接合部のせん断終局耐力は、一般に、柱梁接合部のコンクリートの圧縮強度が大きくなると増大する。

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この過去問の解説 (3件)

01

鉄筋コンクリート構造に関する問題です。

選択肢1. 柱部材は、同じ断面の場合、一般に、内法高さが小さいほど、せん断耐力が大きくなり、靱性は低下する。

  

内法高さが小さくなるということは、同じ断面の場合、太く短い柱になるということです。

太く短い柱は、曲げ強度や、せん断強度は大きくなりますが、粘り強さは小さくなります。

選択肢2. コンクリートは圧縮力に強く引張力に弱いので、一般に、同じ断面の柱の場合、大きな軸方向圧縮力を受けるもののほうが靱性は高い。

誤  

鉄筋コンクリートの柱は、軸方向圧縮力が大きくなるにつれて、変形能力が小さくなっていき、靭性が低下していきます。

ゆえに、靭性を高めるためには、軸方向圧縮力を小さくする必要があります。

選択肢3. 耐力壁の壁筋の間隔を小さくすると、一般に、耐力壁のひび割れの進展を抑制できる。

  

耐力壁のひび割れの進展を抑制するためには、せん断補強筋比を0.25%以上とすることが求められます。

せん断補強筋比が大きくなる要素には、

1:鉄筋の断面積が大きくなる

2:壁筋の間隔が小さくなる

3:壁厚が厚くなる

の3つがあります、そのため、ひび割れの進展を抑制するために壁筋の間隔を小さくするのは有効です。

選択肢4. 柱梁接合部のせん断終局耐力は、一般に、柱梁接合部のコンクリートの圧縮強度が大きくなると増大する。

正  

接合部のコンクリートの圧縮強度を大きくすると、鉄筋コンクリート造の部材接合部のせん断終局耐力、長期許容せん断力及び短期許容せん断力が大きくなります。

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02

正解は「2」です。

1.正

内法高さが小さくなると、同断面の柱よりも剛性が高くなるため

強度は上がりますが、靭性は下がります

なので1は正しいです。

2.誤

前半の、「コンクリートは圧縮力に強く引張力に弱い」という部分は正しいです。

しかし、コンクリート柱が大きな軸方向圧縮力を受けていると、

水平方向へ変形する余裕が小さくなります。

またコンクリート自体が崩れたり剥がれたりして柱の強度を保てなくなる

脆性破壊も生じやすくなり、「靭性が低い」状態となります。

なので2は誤りです。

3.正

鉄筋コンクリートは、圧縮力をコンクリートが、引張力を鉄筋が負担する構造材料ですが、

コンクリート自体に引張力が作用した際にひび割れが発生します。

耐力壁の壁筋は、壁にせん断ひび割れ(脆性破壊)が生じた後は引張力を鉄筋が負担し

それ以上のひび割れを防ぎます

従って、壁筋の間隔を狭くし数量を増やすことは、ひび割れの進展を防ぐ効果があります。

なので3は正しいです。

4.正

柱梁接合部の終局せん断力は

「接合部の形状」「柱せい」「コンクリートの圧縮強度」などから求められますが、

このうち「柱せい」と「コンクリートの圧縮強度」に比例して終局せん断力は大きくなります。

なので4は正しいです。

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03

1 正 柱が短くなると、曲げ応力が小さくなり、せん断破壊先行型の破壊形式となるため靭性が低下します。

2 誤 大きな軸方向圧縮力を受けると靭性は低下します。(急激な破壊を生じやすいです。)

3 正 設問の通りです。

4 正 設問の通りです。

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