一級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科4(構造) 問83

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問題

一級建築士試験 令和3年(2021年) 学科4(構造) 問83 (訂正依頼・報告はこちら)

鉄筋コンクリート構造の許容応力度計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 片側スラブ付き梁部材の曲げ剛性の算定において、スラブの効果を無視して計算を行った。
  • 柱の長期許容曲げモーメントの算定において、コンクリートの引張力の負担を無視して計算を行った。
  • 梁の短期許容せん断力の算定において、主筋のせん断力の負担を無視して計算を行った。
  • 柱の短期許容せん断力の算定において、軸圧縮応力度の効果を無視して計算を行った。

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この過去問の解説 (3件)

01

鉄筋コンクリート構造の許容応力度計算に関する問題です。

選択肢1. 片側スラブ付き梁部材の曲げ剛性の算定において、スラブの効果を無視して計算を行った。

誤    

片側、両側でもスラブ付きの梁部材は、長方形の梁がスラブと一体となって曲げに抵抗するT型梁となります。T型梁は、長方形梁より応力度も変形も小さくなります許容応力度計算ではスラブの効果を期待します。 

選択肢2. 柱の長期許容曲げモーメントの算定において、コンクリートの引張力の負担を無視して計算を行った。

正    

柱の長期許容曲げモーメントの値は、1:「圧縮縁がコンクリートの許容圧縮応力度に達した時」、2:「圧縮鉄筋が鉄筋の許容応力度に達した時」、3:「引張鉄筋が鉄筋の許容応力度に達した時」の3つの値の最小の値となります。

コンクリートの引張力の負担は無視します。

選択肢3. 梁の短期許容せん断力の算定において、主筋のせん断力の負担を無視して計算を行った。

正    

梁の短期許容せん断力に対して考慮する値は、1:「コンクリートの短期許容せん断力」、2:「せん断補強筋の短期許容せん断力」、3:「せん断補強筋比」の3つの値となります。

主筋はせん断力を負担しません。

選択肢4. 柱の短期許容せん断力の算定において、軸圧縮応力度の効果を無視して計算を行った。

正     

柱の短期許容せん断力に対して考慮する値は、1:「コンクリートの応力度」、2:「せん断補強筋(帯筋)比」の2つの値となります。(長期の許容せん断力の場合は、帯筋の負担は無視します。

軸圧縮応力度の効果は無視します。

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02

正解は「1」です。

1.誤り

鉄筋コンクリート構造の場合、梁とスラブは一体であり、両方で曲げに抵抗します。

(スラブがついているのが片側でも両側でも、この考え方は同じです。)

なので曲げ剛性を求める際にも、スラブの影響を考慮します。

なので1は誤りです。

2.正しい

コンクリートは圧縮に強く引張に弱い部材です。

鉄筋コンクリートの部材が曲がる際には、

コンクリートの圧縮力の負担や鉄筋の引張・圧縮力の負担に比べ

コンクリートの引張力の負担は小さいため、計算の際にはこれは考慮しません

なので2は正しいです。

3.正しい

鉄筋コンクリートの部材において、主筋は圧縮と引張を負担します。

せん断においてはせん断補強筋が負担するため、主筋の耐力は考慮しません。

なので3は正しいです。

4.正しい

軸圧縮応力度が大きくなると、せん断耐力は上昇しますが靭性は低下します。

したがって、柱がせん断破壊する終局耐力の算定時には

軸圧縮応力度の効果を検討しますが、

許容せん断力の算定時には検討しません

なので4は正しいです。

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03

1 誤 スラブ付き梁の曲げ剛性は、スラブの効果を考慮することとされています。

考慮しない場合は、剛性が実際より低くなり、応力の分配が実際と違ってしまい危険側の検討となることがあります。

2、3、4 正 いずれも設問のとおりです。

これらが安全側となる内容であることからも、1が誤りと推察できます。

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