一級建築士の過去問 令和3年(2021年) 学科4(構造) 問87
この過去問の解説 (3件)
鉄骨構造の設計に関する問題です。
誤
露出型柱脚では、軸方向力及び曲げモーメントは、ベースプレートとアンカーボルトを介して基礎に伝達するよう設計します。
せん断力は、ベースプレートとモルタル又はコンクリートとの摩擦力、またはアンカーボルトの抵抗力によって伝達されるように設計します。
正
横座屈とは、H型鋼の梁が曲げを受けたとき圧縮側のフランジ等が面外に座屈し、ねじれる現象です。
横座屈を防止するためには、横補剛材を梁全長にわたって均等間隔に設けるか、梁の端部に近い部分に設ける必要があります。
正
梁せいを小さくすると変形が大きくなったり、断面が不足する恐れが出ます。
しかし、曲げ剛性に余裕(断面が大きい)があれば、SN400B材を用いる代わりにSN490B材を用いて梁せいを小さくできます。(400や490の数値は引張強さの下限値です。)
正
丸型鋼管、箱型断面材は横座屈を生じません。ゆえに許容曲げ応力度は許容引張応力度としてもよいです。
正解は「1」です。
1.誤り
ベースプレートの四周にアンカーボルトを設け基礎と固定する露出柱脚は、
他の柱脚と比べ固定度が小さい(強く固定されていない)ため、
簡易な計算の際はピン接合と仮定することができます。
しかし実際には完全なピン接合ではなく、
「一部の曲げモーメントを負担する節点」として考えます。
従って1は誤りです。
2.正しい
座屈は部材が圧縮力を受けることで生じる現象であり、これは横座屈も同様です。
ですので、圧縮側のフランジ = 座屈する箇所 に対し補剛材を入れることは有効です。
なので2は正しいです。
3.正しい
部材がSN400BからSN490Bに代わるということは、強度が上昇する、
すなわち許容応力度が大きくなるということです。
従って許容応力度が大きい分、梁断面を小さくすることができます。
なので3は正しいです。
4.正しい
角型鋼管は、圧縮力を受ける面に対し、側面が補剛材のように座屈を抑えてくれます。
なので4は正しいです。
1 誤 露出型柱脚は完全なピンではなく、ある程度曲げも受ける「半剛接合」という状態です。
構造力学でラーメン構造を習った時には出てこないのですが、露出型柱脚を見て、これをピンと言うのか?と疑問に思った人もいるのでは?
2 正 設問のとおりです。「圧縮側の」というのがポイントと思われます。
3 正 高強度の材料を使えば断面を小さくできます。
4 正 角型鋼管は横座屈を考慮しなくていいとされています。
よく出る選択肢です。
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