一級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科4(構造) 問90

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問題

一級建築士試験 令和3年(2021年) 学科4(構造) 問90 (訂正依頼・報告はこちら)

地盤の沈下に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 地震時に地盤が液状化して沈下する原因は、主に砂粒子の間隙水圧の上昇等により、水が砂混じりで地上に噴出するためである。
  • 地盤の変形特性は非線形性状を示すが、通常の設計においては、地盤を等価な弾性体とみなし、即時沈下の計算を行ってもよい。
  • 粘性土を支持層とする場合は、即時沈下だけではなく、圧密沈下も考慮する必要がある。
  • 圧密沈下は、有効応力の増加に伴って、主に土粒子が変形することにより生じる。

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この過去問の解説 (3件)

01

地盤の沈下に関する問題です。

選択肢1. 地震時に地盤が液状化して沈下する原因は、主に砂粒子の間隙水圧の上昇等により、水が砂混じりで地上に噴出するためである。

   

液状化現象は、水で土粒子の隙間(間隙)が飽和した状態になり、地震などの振動、衝撃で間隙水圧が上昇し、せん断抵抗力がなくる状態です。

間隙水圧の上昇により砂や土が噴出する現象を噴砂現象といいます。

選択肢2. 地盤の変形特性は非線形性状を示すが、通常の設計においては、地盤を等価な弾性体とみなし、即時沈下の計算を行ってもよい。

   

設問の通り、地盤の変形特性は非線形性状を示しますが、通常の設計においては、地盤を等価な弾性体とみなして即時沈下の計算を行ってもよいです。

単位面積当たり同じ荷重が作用する場合は、基礎底面が大きいほど即時沈下量は大きくなります

選択肢3. 粘性土を支持層とする場合は、即時沈下だけではなく、圧密沈下も考慮する必要がある。

 

即時沈下は、載荷とほぼ同時に起きる沈下、圧密沈下は、地盤内の間隙水が徐々に排水されることによるゆっくりとした沈下です。

透水性の悪い粘性土地盤では圧密沈下のほうが大きい場合が多いです。そのため粘性土地盤では即時沈下だけでなく、圧密沈下も考慮する必要があります。

また砂質土地盤においては、透水性が高いので圧密沈下が短時間で終了するため、即時沈下のみ考慮します。

選択肢4. 圧密沈下は、有効応力の増加に伴って、主に土粒子が変形することにより生じる。

    

圧密沈下は、地盤内の間隙水が徐々に排水されることによるゆっくりとした沈下です。

土粒子の変形には由来しません。

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02

正解は「4」です。

1.正しい

砂粒子は粘土粒子より粒径が大きいため、砂粒子を多く含む地盤は間隙が多くなります。

ここに地震が起こると、粒子同士の間隔が潰されて狭くなり、

間隙に含まれる水は圧縮されて間隙水圧が高まります。

その水が地上に放出されることで土の体積が減り液状化現象となるため、

1は正しいです。

2.正しい

「即時沈下」の場合、沈下が短時間で起こります。

線形的に変化が起こるため、弾性体として扱い計算することが可能です。

一方、長期間に渡り荷重がかかる事でゆっくりと沈下が進む「圧密沈下」の場合は

時間とともに沈下量が増加する曲線的な変化なので、弾性体とみなす事はできません。

混同しないように覚えておきましょう。

3.正しい

粘性土は土の粒子が小さく間隙が少ないため即時沈下は発生しにくいです。

一方で、時間をかけて間隙から空気や水が押し出されて起こる

圧密沈下は発生しやすいため、考慮する必要があります。

なので3は正しいです。

4.誤り

3にも書いたとおり、圧密沈下は

間隙の空気や水が時間をかけて押し出されて起こる現象です。

土粒子自体が変形するわけではありません。

なので4は誤りです。

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03

1 正 設問のとおりです。

2 正 設問のとおりです。

一般的にはなじみのない内容ですが、試験の選択肢としてはよく見るので覚えましょう。

3 正 粘性土では、圧密沈下も考慮します。

4 誤 圧密沈下は、土中の水が出ていくことにより起こります。

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