一級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科4(構造) 問91

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問題

一級建築士試験 令和3年(2021年) 学科4(構造) 問91 (訂正依頼・報告はこちら)

擁壁及び地下外壁の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 擁壁の滑動に対する検討において、フーチング底面と支持地盤との間の摩擦係数を、土質にかかわらず一定とした。
  • 擁壁背面側の地表面に、等分布荷重が加わることとしたので、鉛直応力の増加分に土圧係数を乗じた値を、主働土圧に加えた。
  • 常時作用する荷重として、地下外壁に作用する水圧を、地下水位からの三角形分布として求めた。
  • 地下外壁の断面設計に用いる静止土圧係数を、土質試験により信頼性の高い結果が得られなかったので、土質にかかわらず0.5とした。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は「1」です。

1.誤り

擁壁の滑動に対しては、

滑動抵抗 = 擁壁の重量 × 摩擦係数

が土圧の1.5倍以上あることを確認します。

この摩擦係数は土の種類によって異なり

粒径の小さな粘土やシルトでは小さく、粒径の大きな砂や礫では大きくなります。

なので1は誤りです。

2.正しい

擁壁背面の地上に荷重がかかると、その荷重により

擁壁が背面側から押される(主働土圧が作用する)ので、

これを考慮する必要があります。

土圧係数(土圧と鉛直力の比)× 鉛直力 で、鉛直力を土圧に変換できるため、

2は正しいです。

3.正しい

水圧は深度が深いほど圧力が高い三角形分布となります。

なので常時地下外壁に作用する水圧も、地下水位からの三角形分布として

考えることができます。

4.正しい

静止土圧係数は静止土圧を算出する係数であり

土質試験に基づいた地盤の実情に応じた数値を設定しますが、

地下壁の場合、この数値を0.5として計算することができます。

なので4は正しいです。

参考になった数10

02

擁壁及び地下外壁の設計に関する問題です。

選択肢1. 擁壁の滑動に対する検討において、フーチング底面と支持地盤との間の摩擦係数を、土質にかかわらず一定とした。

    

滑動に対して抵抗する力は、基礎底面と地盤との摩擦力で抵抗すると考えられます。そのため、地盤の土質は大いに関わってきます。摩擦係数は粘性土よりも砂質土のほうが大きくなります。

選択肢2. 擁壁背面側の地表面に、等分布荷重が加わることとしたので、鉛直応力の増加分に土圧係数を乗じた値を、主働土圧に加えた。

  

主動土圧は鉛直力が作用する土圧となります。また、受動土圧は水平力が作用する土圧となります。

イメージとしては、主動土圧は擁壁が土から離れる力となるので、背面の土圧は低く崩れようとする土の上(鉛直方向)から土圧がかかるイメージ、受動土圧は擁壁が背面の土の方向に動いた時の土圧なので、土から水平方向に力がかかるイメージです。

選択肢3. 常時作用する荷重として、地下外壁に作用する水圧を、地下水位からの三角形分布として求めた。

正      

地下外壁に作用する水圧は、地下水位からの三角形分布とします。また深くなるにつれて大きくなる三角分布となります。

選択肢4. 地下外壁の断面設計に用いる静止土圧係数を、土質試験により信頼性の高い結果が得られなかったので、土質にかかわらず0.5とした。

         

設問の通り、静止土圧係数は土の内部摩擦係数や粘着力などの土の性質にかかわらず、一般的に0.5としています。

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03

1 誤 摩擦係数は触れ合うもの同士により違います。感覚的にもそうですね。

よく0.4くらいで検討していますが、指針によって決められています。粘土0.35、シルト0.45、砂質土0.55といった感じです。

2 正 設問のとおりです。主動土圧の検討をしているのはあまり見られませんが、覚えましょう。

3 正 設問のとおりです。三角形分布というのが何なのか、参考書の図などで見てください。下に行くほど圧が掛かるという分布のことです。

4 正 設問のとおりです。静止土圧係数は、ほとんどが0.5とされています。

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