一級建築士の過去問 令和3年(2021年) 学科4(構造) 問98
この過去問の解説 (3件)
コンクリートに関する問題です。
正
設問の通りです。
コンクリート効果初期の期間中、コンクリートの温度が2℃が下回ると、コンクリートの強度発現が遅延します。
正
設問の通りです。
以下に「供試体と圧縮試験における強度の関係」をまとめます。
・直径に対する高さの比が大きい(細長い)ほど強度は小さくなる。
・形状が相似であれば、寸法が大きいほど強度は小さくなる。
・角形断面は円形断面に比べて強度は小さくなる。
・荷重速度が速いほど大きい強度を示す。
正
設問の通りです。
既述の「供試体と圧縮試験における強度の関係」を参照してください。
誤
ヤング係数とは、応力度をひずみ度で割った値のことです。
コンクリートの場合、応力度ーひずみ度曲線上の応力度(縦軸)の1/4の点、または1/3の点と原点を結んだ勾配となります。
コンクリートは、強度が高いとヤング係数も大きくなります。
ちなみに、鋼材のヤング係数は引張強さに関係なく一定です。
正解は「4」です。
1.正しい
コンクリートは、水とセメントが反応し、セメントと骨材が結びつく
水和反応によって硬化していきます。
この水和反応は低温では反応が遅くなるため、硬化期間の周囲の気温が低いと
水和反応が進まず強度の発現が遅れることとなります。
コンクリートは使用するセメントの種類によって、
養生期間と共に保つべき温度も規定されていますが
これはそういった理由からです。
2.正しい
コンクリートには寸法効果という現象があります。
これは「小さい部材よりも、大きな部材の方が強度は小さくなる」というものです。
コンクリートはセメントと水の水和反応でできる構造体ですが、
温度や周辺環境、材料の分量などによっても仕上がりにムラができます。
大きな部材になればなるほどムラが出やすくなるため、強度は小さくなります。
3.正しい
問題文の通り、圧縮強度試験において
荷重速度が速くなると、強度は大きくなります。
コンクリートに荷重がかかると一気に破壊が進むわけではなく、
徐々にヒビが入り破壊が進みます。
荷重速度が速いと、破壊が終わる前に次の荷重がかかるため強度は大きく出ます。
4.誤り
コンクリートの応力ひずみ曲線は、鋼材のように
応力とひずみが比例する(応力ひずみ曲線が直線になる)部分が、
厳密には、ありません。
従って鋼材のように最大応力と原点を結んでもヤング係数は求まりません。
1 正 設問のとおりです。温度が下がると硬化が進まず、強度の発現が進みません。
2 正 設問のとおりです。「小さい方が強い」という、感覚的には逆の現象ですね。
3 正 設問のとおりです。一瞬の力なら耐えられます。
4 誤 正しくは「圧縮強度時の1/3(または1/4)の点と原点を結ぶ直線の勾配」です。
ポイントは、応力-ひずみ度曲線は鉄骨の場合だと弾性域(引っ張って伸びても元に戻る範囲)が直線状になっていて、どの点を取っても傾き(ヤング係数)を出せますが、コンクリートは直線部分がないため、傾きを出す点を決めているということです。
それがわかっていれば、ヤング係数は弾性域の数値なので、最大強度時(圧縮強度時)の点ではないと気づけます。
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