一級建築士の過去問
令和3年(2021年)
学科4(構造) 問99

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問題

一級建築士試験 令和3年(2021年) 学科4(構造) 問99 (訂正依頼・報告はこちら)

鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 構造用鋼材では、一般に、炭素量が増加すると、鋼材の強度や硬度が増加するが、靱性や溶接性は低下する。
  • 熱間圧延鋼材の強度は、圧延方向(L方向)や圧延方向に直角な方向(C方向)に比べて、板厚方向(Z方向)は小さい傾向がある。
  • 建築構造用圧延鋼材SN490Bは、降伏点又は耐力の下限値を490N/mm2とすることのほか、降伏比の上限値や引張強さの下限値等が規定されている。
  • 建築構造用TMCP鋼は、一般に、化学成分の調整と熱加工制御法により製造され、板厚が40mmを超え100mm以下の材であっても、40mm以下の材と同じ基準強度が保証されている。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は「3」です。

1.正しい

鋼材中で炭素は鉄と化合し、強度の高い化合物となります。

炭素量が増すと、この化合物も増すため強度が増加します。

一方、硬く脆くなるので靭性は低下し、溶接性も低下します。

2.正しい

圧延鋼材は圧延するときに鋼材内の不純物が圧延方向に

引き伸ばされて存在します。

従って板厚方向は圧延方向や直角な方向に比べ

不純物の影響を受けやすいため、強度が小さくなります。

3.誤り

SN490Bの490は、

引張強さの最小値が490N/mm2

であることを表しています。

降伏点や耐力ではありません。

なおSS400など他の鋼材も同じ規則で名付けられています。

4.正しい

TMCP鋼は水冷型熱加工制御鋼といい、

加工の工程に水冷を取り入れています。

これにより化学成分の添加を減らしながらも

強度を上げることが可能になります。

一般に鋼材の厚みが大きいと炭素含有量も多くなるため、

脆性が下がり降伏点が低下します。

しかしTMCP鋼の場合、化学成分を減らすことができるため

炭素含有量が低く、基準強度を高く保つことができます。

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02

鋼材に関する問題です。

選択肢1. 構造用鋼材では、一般に、炭素量が増加すると、鋼材の強度や硬度が増加するが、靱性や溶接性は低下する。

設問の通りです。

以下に鋼材と炭素量の関係をまとめます。

・炭素量が増加すると(0.8%まで)引張強さ、降伏点は大きくなるが、粘り強さは低下する。

・高強度の鋼材ほど炭素量が多く、伸びは少ない。

・炭素量が増えると比重は減少する。

・炭素量が増えると熱膨張係数は小さくなる。

・炭素量が増えると熱伝導率は小さくなる。

選択肢2. 熱間圧延鋼材の強度は、圧延方向(L方向)や圧延方向に直角な方向(C方向)に比べて、板厚方向(Z方向)は小さい傾向がある。

熱間圧延鋼板とは、金属材料を溶製した原料鋳塊を、高温で圧延した鋼板のことです。

設問の通り、圧延方向(L方向)や圧延方向に直角な方向(C方向)に比べて、板厚方向(Z方向)は小さい傾向があります。

選択肢3. 建築構造用圧延鋼材SN490Bは、降伏点又は耐力の下限値を490N/mm2とすることのほか、降伏比の上限値や引張強さの下限値等が規定されている。

正しくは「引張強さの下限値を490N/mm2とすること」「降伏点又は耐力の下限・上限降伏比の上限が規定されている」です。

ややこしいので整理して覚えてください。

SN490Bの「490」は、引張強さの下限値を表します。

ちなみに、SS材、SM材は、降伏点の下限値は規定されていますが上限値は規定されていません

選択肢4. 建築構造用TMCP鋼は、一般に、化学成分の調整と熱加工制御法により製造され、板厚が40mmを超え100mm以下の材であっても、40mm以下の材と同じ基準強度が保証されている。

TMCPとは水冷型熱加工制御の略で、設問の通りです。

また特徴として、従来の鋼板と比較して炭素当量、溶接割れ感受性組成が低く規定されており、すぐれた溶接性があります。

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03

1 正 その通りです。炭素が多いと硬く脆いというイメージです。

2 正 その通りです。厚さ方向が弱いです。

3 誤 「降伏点又は耐力の下限値」ではなく「引張強さの下限値」です。

4 正 その通りです。普通の材は40㎜を超えると基準強度が下がりますが、TMCP鋼は同じままです。

参考になった数4