一級建築士の過去問 令和3年(2021年) 学科5(施工) 問106
この過去問の解説 (3件)
土工事、山留工事とは、基礎を構築するために掘削、埋戻し、その際に発生する地下水の処理などを言います。
作業の流れは以下のようになります。
掘削(山留工事)→ 排水 → 床付け → 埋戻し
ウェルポイント工法とは、地下水を真空ポンプにより地下水を強制的に揚水する工法です。
ライザーパイプの中を真空にする必要があるため、スリットが入ったパイプでは揚水できません。
ヒービングとは、掘削面と周囲の高低差により、周囲の地盤が掘削面に山留壁下部を回り込んで盛り上がってくる現象です。したがって山留壁の背面の地盤をすき取ることで防止することができます。
ディープウェル工法は、地下深くに水中ポンプを設置し、地下水を揚水することで地下水位を大きく下げる工法です、
一方、リチャージ工法とは、ディープウェルで吸い上げた地下水を離れた場所で再び地中に返す工法で、地下水低下の伴う井戸枯れ・圧密沈下防止、放流量低減などを目的に採用します。
ただし、地下水を再び地中に返すため、ディープウェルで必要な揚水量はリチャージ工法を行わない場合と比べて多くなります。
切ばりとは、山止め間に設置される鉄骨の部材です、山留めが崩壊しないよう水平、鉛直に通り良く設置し、接合部は不足の無いようにし、水平荷重を確実に支持させる必要があります。
そのため切ばりと支柱の位置が重なった場合は切ばりを優先し、支柱を切り欠きます。
土工事・山留め工事については、暗記するだけでなく、工事の流れ、イメージを持つことでひっかけ問題に対応できると思います。
全体を大きく把握しておくことが大切です。
1→不適当です。
JASS3によります。
ウェルポイントに接続するライザーパイプについては、スイングジョイントライザーパイプなどを用います。
ライザーパイプから吸水しないため、ライザーパイプにスリット形ストレーナー管は用いません。
2→適当です。
建築工事監理指針によります。
同一帯水層に復水する場合は、必要揚水量が増加します。
3→適当です。
JASS3によります。
ヒービングを防止するために、周囲の地盤のすき取りを行い、山留め壁の背面土の荷重を減らします。
4→適当です。
JASS3によります。
応力集中等を回避するために、補強し、通りよくまっすぐに設置します。
正解は「1」です。
1.誤り
ウェルポイント工法とは、地下水位の高い地盤に対し
パイプの先端に吸水管(ウェルポイント)を接続し、
それらを複数地中に埋めたものから真空ポンプで地下水を吸い上げ、
地下水位を下げる工法です。
真空状態を作ることで水を吸い上げているので、
管内が真空とならないスリット形のストレーナーを用いることはできません。
2.正しい
ヒービングは土留を行っている際に、土留している背面の重量が大きくなり
掘削している底面の支持力を上回った際に起こる現象で、
背面から土留を回り込んできた土が底面を押し上げる現象です。
選択肢のように、背面側をすき取ることで、
背面側の重量が減るためヒービングを防止することができます。
3.正しい
ディープウェル工法は、地下深くに水中ポンプを設置し
地下水を揚水することで地下水位を大きく下げる工法です。
一方、リチャージ工法とはディープウェルで吸い上げた地下水を
離れた場所で再び地中に返す工法で、
大きく地下水位が下がることで起こる地盤沈下を防ぐ効果があります。
ただし、吸い上げた地下水を再び地中に返すため
ディープウェルで必要な揚水量はリチャージ工法を行わない場合と比べて多くなります。
4.正しい
山留めが単体で土圧を支え切れない場合、
変形を防いだり山留めに係る応力を減らすために
山留め間に渡される梁を切梁といいます。
この切梁の一部が切り欠かれると、
部分的に応力が集中するなどして山留めの応力を減らせなくなるため、
切梁と支柱の位置が重なった場合は切梁を優先し、支柱を切り欠きます。
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