一級建築士の過去問
令和4年(2022年)
学科1(計画) 問3

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問題

一級建築士試験 令和4年(2022年) 学科1(計画) 問3 (訂正依頼・報告はこちら)

建築物(所在地、設計者、建設年)とその形態・構造的特徴との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。
  • パンテオン(ローマ、不詳、2世紀):直径約43mのドームは、コンクリートやレンガを用い、上方へいくほどドームの厚さが薄くなっている。
  • サンタ・マリア・デル・フィオーレ[フィレンツェ大聖堂](フィレンツェ、F.ブルネレスキ、15世紀):直径約31mの中央の大ドームは、その東西にある2つの半ドームと南北にある4つの巨大なバットレスで支えられている。
  • ジョンF.ケネディ国際空港 TWAターミナルビル(ニューヨーク、E.サーリネン、1962年):長さ約105mの屋根は、4本のY字柱脚に支えられた4枚の鉄筋コンクリート造によるシェルで構成されている。
  • ミレニアムドーム2000(ロンドン、R.ロジャース、1999年):直径約365m・最高高さ約50mの膜構造ドームは、12本のマストの頂部からケーブルで吊られている。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、古代から近現代までの「西洋建築作品」に関する問題です。

過去に出題されている設問に関しては、内容をしっかり理解するようにして下さい。

選択肢1. パンテオン(ローマ、不詳、2世紀):直径約43mのドームは、コンクリートやレンガを用い、上方へいくほどドームの厚さが薄くなっている。

正しいです。

「パンテオン」は、直径約43mのドームを持つ、煉瓦積みのコンクリート造であり、上方へいくほどドームの厚さが薄くなります。

選択肢2. サンタ・マリア・デル・フィオーレ[フィレンツェ大聖堂](フィレンツェ、F.ブルネレスキ、15世紀):直径約31mの中央の大ドームは、その東西にある2つの半ドームと南北にある4つの巨大なバットレスで支えられている。

誤りです。

「フィレンツェ大聖堂」は、ドーム部分の直径が約45mで、内殻と外殻からなる2重殻構造(ダブルシェル構造)となっています。

設問は、「ハギア・ソフィア」に関する説明文です。

選択肢3. ジョンF.ケネディ国際空港 TWAターミナルビル(ニューヨーク、E.サーリネン、1962年):長さ約105mの屋根は、4本のY字柱脚に支えられた4枚の鉄筋コンクリート造によるシェルで構成されている。

正しいです。

「TWAターミナルビル」は、4本のY字柱脚に支えられた4枚の鉄筋コンクリート造によるシェルで構成されており、長さは100m以上、高さは約17mと大空間を実現しています。

選択肢4. ミレニアムドーム2000(ロンドン、R.ロジャース、1999年):直径約365m・最高高さ約50mの膜構造ドームは、12本のマストの頂部からケーブルで吊られている。

正しいです。

「ミレニアムドーム」は、直径約365m、最高高さ約50mの膜構造であり、12本のマストの頂部からケーブルで吊られています。単一屋根の構造物としては世界最大級です。

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02

この問題は西洋古代~近世の建築物の問題です。

選択肢1. パンテオン(ローマ、不詳、2世紀):直径約43mのドームは、コンクリートやレンガを用い、上方へいくほどドームの厚さが薄くなっている。

→正しいです。

ローマのパンテオンは、円形神殿に、ギリシア神殿風のファサードが組み合わされた構成となっています。

円形神殿は、円筒形の躯体にドームがかかっており、直径約43mの球を内包する大きさです。

煉瓦積みのコンクリート造であり、上方へいくほどドームの厚さが薄くなっています。

選択肢2. サンタ・マリア・デル・フィオーレ[フィレンツェ大聖堂](フィレンツェ、F.ブルネレスキ、15世紀):直径約31mの中央の大ドームは、その東西にある2つの半ドームと南北にある4つの巨大なバットレスで支えられている。

→誤りです。

設問は、ビザンチン建築のハギア・ソフィア(イスタンブール)です。

サンタ・マリア・デル・フィオーレ(別名:フィレンツェ大聖堂)は、ルネサンス(イタリアゴシック)建築の教会堂です。

その特徴は、八角形の平面部分から立ち上がるドームで、地上55mから120mまでそびえ立つ大空間となっています。

そのため、ドーム全体の重量を軽くする必要があり、2重殻構造が採用されています。

内殻と外殻の間は通路と階段で有効に計画され、頂部まで巡る構造となっています。

選択肢3. ジョンF.ケネディ国際空港 TWAターミナルビル(ニューヨーク、E.サーリネン、1962年):長さ約105mの屋根は、4本のY字柱脚に支えられた4枚の鉄筋コンクリート造によるシェルで構成されている。

→正しいです。

ニューヨーク国際空港の一つ、ジョン F. ケネディ国際空港の第5ターミナルビルです。

屋根はコンクリートシェルが採用され、長さ約105m、高さ17mの大空間を実現しています。

その外観は翼のようとたとえられ、この空港の象徴として、位置付けられています。

構造は、4本のY字柱脚に支えられた4枚の鉄筋コンクリート造によるシェルで構成されています。

選択肢4. ミレニアムドーム2000(ロンドン、R.ロジャース、1999年):直径約365m・最高高さ約50mの膜構造ドームは、12本のマストの頂部からケーブルで吊られている。

ミレニアムドーム2000は、イングランドの世界最大のドームの旧称です。

現在は複合施設「The O2」となっています。

単一の屋根を持つ構造物としては世界最大規模であり、ドームは12本の黄色いマストからケーブルによって吊られ、直径約365m・最高高さ約50mの膜構造を実現しています。

まとめ

出題範囲が広いこの分野では、まずは過去問題を確実におさえましょう。

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03

この問題は建築史にのこる建築物の知識を問われる問題です。

選択肢1. パンテオン(ローマ、不詳、2世紀):直径約43mのドームは、コンクリートやレンガを用い、上方へいくほどドームの厚さが薄くなっている。

正しいです。

パンテオンはローマにある万神殿です。上方へいくほど軽くなるように作られており、約2000年たった今でも保存状態よく現存している建築物です。

選択肢2. サンタ・マリア・デル・フィオーレ[フィレンツェ大聖堂](フィレンツェ、F.ブルネレスキ、15世紀):直径約31mの中央の大ドームは、その東西にある2つの半ドームと南北にある4つの巨大なバットレスで支えられている。

誤りです。

設問は、トルコのハギア・ソフィア大聖堂の説明文です。

 

F.ブルネレスキによるサンタ・マリア・デル・フィオーレフィレンツェ大聖堂]は、世界最大級の石積ドームで、八角形の二重殻で構成されています。

選択肢3. ジョンF.ケネディ国際空港 TWAターミナルビル(ニューヨーク、E.サーリネン、1962年):長さ約105mの屋根は、4本のY字柱脚に支えられた4枚の鉄筋コンクリート造によるシェルで構成されている。

正しいです。

ジョンF.ケネディ国際空港の第5ターミナルであったTWAターミナルビルは2001年に閉鎖され、現在はホテルとして再利用されています。

選択肢4. ミレニアムドーム2000(ロンドン、R.ロジャース、1999年):直径約365m・最高高さ約50mの膜構造ドームは、12本のマストの頂部からケーブルで吊られている。

正しいです。

イギリスの2000年記念事業の一環として建築された、世界最大級のドームです。

まとめ

建築物とその形態・構造的特徴正確に覚えているかを問われる問題です。

年代や範囲も幅広いため、整理しておくことが必要です。

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