一級建築士の過去問
令和4年(2022年)
学科1(計画) 問4

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問題

一級建築士試験 令和4年(2022年) 学科1(計画) 問4 (訂正依頼・報告はこちら)

特定の用途に供する建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 博物館の計画に当たり、一般収蔵庫のほかに、収蔵品の適正な保護のために低湿収蔵庫と高湿収蔵庫を設け、それぞれに前室として「ならし室」を設けた。
  • 図書館の計画に当たり、来館者が静かに本を閲覧・検索するためのブラウジングコーナーやレファレンスコーナーを閉架式書庫内に設けた。
  • 小学校の計画に当たり、細菌の繁殖や水はねによる汚染を防止するために、給食室の床を乾燥した状態に保つドライシステムを導入した。
  • 危険物貯蔵庫の計画に当たり、貯蔵物が爆発した際の周囲に対する安全性に考慮し、天井は設けずに軽量な不燃材料で屋根を葺いた。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、各施設の計画をよく理解する必要がある実務的な問題です。

各施設の特徴と室の用途を考えながら、問題文を読むようにしましょう。

選択肢1. 博物館の計画に当たり、一般収蔵庫のほかに、収蔵品の適正な保護のために低湿収蔵庫と高湿収蔵庫を設け、それぞれに前室として「ならし室」を設けた。

→正しいです。

博物館には収蔵庫を設けますが、収蔵庫内部と収蔵庫外部の環境変化による収蔵品への影響を避けるために、全室として「ならし室」を設けることが望ましいです。

選択肢2. 図書館の計画に当たり、来館者が静かに本を閲覧・検索するためのブラウジングコーナーやレファレンスコーナーを閉架式書庫内に設けた。

→誤りです。

図書館のブラウジングコーナーは、休憩のための小スペースであり、開架式読書室の一部に設けたりします。

レファレンスコーナーは、資料の検索などのために雑誌やコンピューター端末などを設けた室です。

選択肢3. 小学校の計画に当たり、細菌の繁殖や水はねによる汚染を防止するために、給食室の床を乾燥した状態に保つドライシステムを導入した。

→正しいです。

ドライシステムとは、細菌の繁殖や水はねによる汚染防止をするために、床を乾いた状態に保つシステムです。給食室の衛生管理のために導入されます。

選択肢4. 危険物貯蔵庫の計画に当たり、貯蔵物が爆発した際の周囲に対する安全性に考慮し、天井は設けずに軽量な不燃材料で屋根を葺いた。

→正しいです。

危険物貯蔵庫には、天井は設けず、軽量な不燃材を使用する必要があります。これは、爆発時に爆風を抜けやすくすることで、圧力を低く保ち、周囲への飛散を防止するためです。

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02

建築計画に関する各施設・各室の特徴を問う問題です。

選択肢1. 博物館の計画に当たり、一般収蔵庫のほかに、収蔵品の適正な保護のために低湿収蔵庫と高湿収蔵庫を設け、それぞれに前室として「ならし室」を設けた。

→正しいです。

収蔵庫は保存環境の異なる収蔵品の種類に合わせて、低湿収蔵庫及び高湿収蔵庫に分けます。

また収蔵庫内部と外部の急激な環境変化を避けるために、前室として、ならし室を設けることが望ましいとされています。

選択肢2. 図書館の計画に当たり、来館者が静かに本を閲覧・検索するためのブラウジングコーナーやレファレンスコーナーを閉架式書庫内に設けた。

→誤りです。

・閉架式書庫:外部からの閲覧者に公開されていない書庫です。一般利用者は本を直接手にとったり、見ながら探すことはできません。

・開架式書庫:一般的な図書館で、一般利用者は本を直接手に取り、見ることができます。

・ブラウジングコーナー:通常開架式書庫内に設ける、手に取った本を読むことのできる空間をいいます。

・レファレンスコーナー:目録や書誌、コンピューターの端末等により、資料の検索などを行う場所です。

選択肢3. 小学校の計画に当たり、細菌の繁殖や水はねによる汚染を防止するために、給食室の床を乾燥した状態に保つドライシステムを導入した。

→正しいです。

厨房の床が乾いた状態で調理することをいいます。

室内の湿度を低く保ち、細菌の増殖を抑え、食中毒のリスクを低減する効用があります。

近年採用が多いドライシステムでは、水洗いを前提としていない床仕上げとして、シート系の床材を採用するケースが多いです。

選択肢4. 危険物貯蔵庫の計画に当たり、貯蔵物が爆発した際の周囲に対する安全性に考慮し、天井は設けずに軽量な不燃材料で屋根を葺いた。

→正しいです。

以下のように定められています。

消防法 危険物の規制に関する政令

第2節 貯蔵所の位置、構造及び設備の基準

(屋内貯蔵所の基準)

第10条7項

貯蔵倉庫は、屋根を不燃材料で造るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ、天井を設けないこと。

ただし、第二類の危険物(粉状のもの及び引火性固体を除く。)のみの貯蔵倉庫にあつては屋根を耐火構造とすることができ、第五類の危険物のみの貯蔵倉庫にあつては当該貯蔵倉庫内の温度を適温に保つため、難燃性の材料又は不燃材料で造つた天井を設けることができる。

まとめ

新傾向の問題もいくつかありますが、まずは過去問題を確実に解答できるようになりましょう。

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03

この問題は各種建築物の計画に関する問題です。

選択肢1. 博物館の計画に当たり、一般収蔵庫のほかに、収蔵品の適正な保護のために低湿収蔵庫と高湿収蔵庫を設け、それぞれに前室として「ならし室」を設けた。

正しいです。

低湿収蔵庫高湿収蔵庫など特別な環境での収蔵庫の前室に「ならし室」を設けることは、急激な環境変化による収蔵品の劣化を防ぐ役割があります。

選択肢2. 図書館の計画に当たり、来館者が静かに本を閲覧・検索するためのブラウジングコーナーやレファレンスコーナーを閉架式書庫内に設けた。

誤りです。

閉架式書庫一般に公開されていない書庫のことです。ブラウジングコーナーやレファレンスコーナーを設ける場合は、一般利用できる開架式書庫内に設けるようにします。

選択肢3. 小学校の計画に当たり、細菌の繁殖や水はねによる汚染を防止するために、給食室の床を乾燥した状態に保つドライシステムを導入した。

正しいです。

細菌の繁殖や水はねによる汚染を防止するために、給食室の床を乾燥した状態に保つドライシステムを導入することは有効です。

その他、長いゴムの前掛けや長靴が必要なくなるため、調理従事者の負担軽減にもなります。

選択肢4. 危険物貯蔵庫の計画に当たり、貯蔵物が爆発した際の周囲に対する安全性に考慮し、天井は設けずに軽量な不燃材料で屋根を葺いた。

正しいです。

危険物貯蔵庫では、万が一爆発が発生した場合において、爆風を上部に抜くことにより周囲対し被害が及ばないように考慮した構造(放爆構造)としています。

まとめ

各種建築物の用途の特徴や用語の意味を理解するようにしましょう。

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