一級建築士の過去問
令和4年(2022年)
学科1(計画) 問9

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問題

一級建築士試験 令和4年(2022年) 学科1(計画) 問9 (訂正依頼・報告はこちら)

高齢者、障害者等の利用に配慮した建築物の計画に関する次の記述のうち、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(国土交通省)」に照らして、最も不適当なものはどれか。
  • 市庁舎の総合案内所において、ハイカウンターとローカウンターを併設し、視覚障害者誘導用ブロックをローカウンターに向かって敷設した。
  • 病院のサインの計画において、サインプレートを部門ごとに色分けし、色の違いだけに頼った情報伝達となっていないか、サイン案をそれぞれ白黒コピーして判別性を確認した。
  • コンビニエンスストアにおいて、両側に商品棚のある通路の有効幅を120cmとし、レジ前には150cm×150cmの車椅子の転回スペースを設けた。
  • 大規模量販店において、車椅子使用者用便房(大型ベッド付き)を男女が共用できる位置に設け、それとは別に、男女それぞれの便所内にオストメイト用設備を有する便房と乳幼児用設備を有する便房を分散配置した。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、高齢者・障害者等の利用に配慮した建築物の計画に関する問題です。

利用者が利用する場面をイメージして、問題を読むことがポイントです。

選択肢1. 市庁舎の総合案内所において、ハイカウンターとローカウンターを併設し、視覚障害者誘導用ブロックをローカウンターに向かって敷設した。

誤りです。

視覚障害者誘導用ブロックは、誘導対象場所の方向を案内する場合に用い、市庁舎の総合案内所においてはハイカウンターに向かって敷設することが望ましいです。

ローカウンターは車椅子使用者用のカウンターです。

選択肢2. 病院のサインの計画において、サインプレートを部門ごとに色分けし、色の違いだけに頼った情報伝達となっていないか、サイン案をそれぞれ白黒コピーして判別性を確認した。

正しいです。

病院のサイン計画では、「わかりやすく」かつ「安全に」利用者や職員を、目的の場所まで誘導することが大切です。

サインプレートは、部門ごとの色分けや表示による判別性を確認することにより、誰にでもわかりやすくします。

選択肢3. コンビニエンスストアにおいて、両側に商品棚のある通路の有効幅を120cmとし、レジ前には150cm×150cmの車椅子の転回スペースを設けた。

正しいです。

車椅子使用者に配慮した通路幅は、原則として120cm以上とし、回転スペースは最小でも150cm×150cmを確保する必要があります。

選択肢4. 大規模量販店において、車椅子使用者用便房(大型ベッド付き)を男女が共用できる位置に設け、それとは別に、男女それぞれの便所内にオストメイト用設備を有する便房と乳幼児用設備を有する便房を分散配置した。

正しいです。

車椅子使用者用便房は、男女が共用で利用しやすい位置に設け、オストメイト用設備や乳幼児用設備はそれぞれ分散配置することが望ましいです。

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02

高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した計画の問題です。

イメージしながら答えましょう。

選択肢1. 市庁舎の総合案内所において、ハイカウンターとローカウンターを併設し、視覚障害者誘導用ブロックをローカウンターに向かって敷設した。

→誤りです。

視覚障害者誘導用ブロックは、視覚障害者が足裏で認識できるようにした、突起形状のプレートで、視覚障害者を安全に誘導することを目的にしています。

視覚障害者のバリアフリーとして有効なものですが、一方で、車椅子の障害になったり、高齢者など足腰の弱い人がつまずいてしまったり、といった問題も抱えています。

案内所のローカウンターは車椅子使用者を目的につくられていることが多く、視覚障害者誘導用ブロックは、それ以外の人を対象としたハイカウンター側に設けることが望ましいです。

選択肢2. 病院のサインの計画において、サインプレートを部門ごとに色分けし、色の違いだけに頼った情報伝達となっていないか、サイン案をそれぞれ白黒コピーして判別性を確認した。

→正しいです。

弱視や色弱者の人たちにとっては、色の違いによる判別が困難な場合があります。

サイン案を白黒コピーし確認することは、色以外で判別が可能かどうかを確かめる有効な手段です。

選択肢3. コンビニエンスストアにおいて、両側に商品棚のある通路の有効幅を120cmとし、レジ前には150cm×150cmの車椅子の転回スペースを設けた。

→正しいです。

コンビニエンスストアは、不特定多数の利用者がいることから、高齢者・障害者等が安全に通行できるよう、車いす使用者や杖使用者の通行やすれ違いに支障のきたさない寸法とする必要があります。

通路幅が120㎝あれば、車いす使用者と横向きの人がすれ違えるので、問題はないと考えられます。

また、レジ前は、車椅子使用者に配慮するためには、360°回転できる物理的最小スペースである150cm×150cmの車椅子の転回スペースを設けることが必要です。

選択肢4. 大規模量販店において、車椅子使用者用便房(大型ベッド付き)を男女が共用できる位置に設け、それとは別に、男女それぞれの便所内にオストメイト用設備を有する便房と乳幼児用設備を有する便房を分散配置した。

→正しいです。

大規模量販店において、車椅子使用者用便房(大型ベッド付き)を男女が共用できる位置に設け、それとは別に、男女それぞれの便所内にオストメイト用設備を有する便房と乳幼児用設備を有する便房を分散配置することは、ユニバーサルデザインの考え方からしても適切です。

まとめ

それぞれの数値には、必ず理由がありますので、

その理由と紐づけして整理することが記憶の定着に繋がります。

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03

高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」は、すべての建築物が利用者にとって使いやすいものとして整備されることを目的に策定された、バリアフリー設計のガイドラインです。

選択肢1. 市庁舎の総合案内所において、ハイカウンターとローカウンターを併設し、視覚障害者誘導用ブロックをローカウンターに向かって敷設した。

誤りです。

総合案内所におけるローカウンターは、主に車椅子利用者向けになります。視覚障害者誘導用ブロック視覚障害者への案内設備(案内人のいるカウンターや音声案内所など)までの経路に敷設し誘導します。

選択肢2. 病院のサインの計画において、サインプレートを部門ごとに色分けし、色の違いだけに頼った情報伝達となっていないか、サイン案をそれぞれ白黒コピーして判別性を確認した。

正しいです。

色障害がある人にも対応できるよう、色の違いだけでなく色に頼らなくても判別できるように配慮します。

選択肢3. コンビニエンスストアにおいて、両側に商品棚のある通路の有効幅を120cmとし、レジ前には150cm×150cmの車椅子の転回スペースを設けた。

正しいです。

両側に商品棚のある通路の有効幅:120cm及び車椅子の転回スペース:150cm×150cmは妥当な寸法と考えられます。

選択肢4. 大規模量販店において、車椅子使用者用便房(大型ベッド付き)を男女が共用できる位置に設け、それとは別に、男女それぞれの便所内にオストメイト用設備を有する便房と乳幼児用設備を有する便房を分散配置した。

正しいです。

設問の配置計画は、バリアフリー設計として妥当性があります。

まとめ

車椅子にまつわる寸法は整理するようにしておきましょう。

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