一級建築士の過去問
令和4年(2022年)
学科3(法規) 問12

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問題

一級建築士試験 令和4年(2022年) 学科3(法規) 問12 (訂正依頼・報告はこちら)

構造強度に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
  • 設計基準強度が21N/mm2のコンクリートの場合、短期に生ずる力に対する引張りの許容応力度は、長期に生ずる力に対する圧縮の許容応力度の1/3の値である。
  • 建築物の実況によらないで、柱の垂直荷重による圧縮力を計算する場合、百貨店の屋上広場で、柱のささえる床の数が4のときは、床の積載荷重として採用する数値を2,040N/m2とすることができる。
  • 高さ3mの鉄筋コンクリート造の塀に使用するコンクリート(軽量骨材は使用しないものとする。)の四週圧縮強度は、12N/mm2以上とする必要はない。
  • 異形鉄筋をせん断補強以外に用いる場合の引張りに対する材料強度は、異形鉄筋の圧縮に対する材料強度と同じ値である。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は構造強度に関する問題です。

鉄筋コンクリート造において、規模により適用しない法令があるため、注意しましょう。

選択肢1. 設計基準強度が21N/mm2のコンクリートの場合、短期に生ずる力に対する引張りの許容応力度は、長期に生ずる力に対する圧縮の許容応力度の1/3の値である。

誤りです。

令第91条第1項により、コンクリートの短期に生ずる力に対する許容応力度は、長期に生ずる力に対する許容応力度の2倍です。

選択肢2. 建築物の実況によらないで、柱の垂直荷重による圧縮力を計算する場合、百貨店の屋上広場で、柱のささえる床の数が4のときは、床の積載荷重として採用する数値を2,040N/m2とすることができる。

正しいです。

令第85条第1項別表により、柱の垂直荷重による圧縮力を計算する場合、百貨店の屋上広場の積載荷重は、2400 N/㎡となります。

また、ささえる床の数が4の場合、積載荷重は、0.85を乗じた数値まで低減できます。

よって、2400 N/㎡ × 0.85 = 2040 N/㎡ となります。

選択肢3. 高さ3mの鉄筋コンクリート造の塀に使用するコンクリート(軽量骨材は使用しないものとする。)の四週圧縮強度は、12N/mm2以上とする必要はない。

正しいです。

令第74条第1項第一号により、鉄筋コンクリート造における四週圧縮強度は12 N/㎟ 以上としなければなりませんが、令第71条第2項により、高さが3m以下の塀の場合、令第74条の規定は適用しません。

選択肢4. 異形鉄筋をせん断補強以外に用いる場合の引張りに対する材料強度は、異形鉄筋の圧縮に対する材料強度と同じ値である。

正しいです。

令第96条別表2により、異形鉄筋の材料強度は圧縮と引張り(せん断補強以外に用いる場合)で同じ値を使用します。

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02

この問いは、構造強度に関する問題です。

選択肢1. 設計基準強度が21N/mm2のコンクリートの場合、短期に生ずる力に対する引張りの許容応力度は、長期に生ずる力に対する圧縮の許容応力度の1/3の値である。

誤りです。

長期の許容応力度短期の許容応力度
圧縮F/3
引張り、せん断、付着F/30
圧縮、引張り、せん断、付着長期に対するそれぞれの数値の2倍

単位はN/mm²で、Fは設計基準強度を指します。したがって、引張りの短期許容応力度は(F/30)×2=2F/30、圧縮の長期許容応力度はF/3であるので、1/5(=2F/30=F/3=6/30)に相当します。

選択肢2. 建築物の実況によらないで、柱の垂直荷重による圧縮力を計算する場合、百貨店の屋上広場で、柱のささえる床の数が4のときは、床の積載荷重として採用する数値を2,040N/m2とすることができる。

正しいです。

「柱の構造計算」をする場合、百貨店の屋上広場の床の積載荷重は、1項表(8)により、(4)(ろ)欄の2,400N/m²となり、支える床の数が4なので、減らすために乗ずべき数値は0.85となります。したがって、採用する数値は2,040N/m²(=2,400×0.85)以上となり、2,040N/m²を採用することができます。

 

選択肢3. 高さ3mの鉄筋コンクリート造の塀に使用するコンクリート(軽量骨材は使用しないものとする。)の四週圧縮強度は、12N/mm2以上とする必要はない。

正しいです。

鉄筋コンクリート造に使用するコンクリートの四週圧縮強度は、原則として、12N/mm²以上としなければなりませんが、この規定は高さが3m以下の塀には適用されません。

選択肢4. 異形鉄筋をせん断補強以外に用いる場合の引張りに対する材料強度は、異形鉄筋の圧縮に対する材料強度と同じ値である。

正しいです。

保有水平耐力計算によって安全性を確かめる場合は、令36条2項一号に列記する規定に適合する構造方法を用いればよいです

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03

構造計算、構造強度を把握することが、問題を解くポイントです。

選択肢1. 設計基準強度が21N/mm2のコンクリートの場合、短期に生ずる力に対する引張りの許容応力度は、長期に生ずる力に対する圧縮の許容応力度の1/3の値である。

令91条の表より、短期に生ずる力に対する許容応力度は長期に生ずる力の2倍となります。

選択肢2. 建築物の実況によらないで、柱の垂直荷重による圧縮力を計算する場合、百貨店の屋上広場で、柱のささえる床の数が4のときは、床の積載荷重として採用する数値を2,040N/m2とすることができる。

令85条2より、支える床の数によって表の数値を乗じることができます。

百貨店屋上広場は前項の表(ろ)欄の(4)に該当します。

よって、2,400 × 0.85 = 2,040 N/m2となります。

選択肢3. 高さ3mの鉄筋コンクリート造の塀に使用するコンクリート(軽量骨材は使用しないものとする。)の四週圧縮強度は、12N/mm2以上とする必要はない。

高さが4m以下の「へい」なので、令71条2より、令74条の規定は適用されません。

選択肢4. 異形鉄筋をせん断補強以外に用いる場合の引張りに対する材料強度は、異形鉄筋の圧縮に対する材料強度と同じ値である。

令90条2の表より、異形鉄筋圧縮の材料強度は、長期、短期それぞれ引張りと同じ値となります。

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