一級建築士の過去問
令和4年(2022年)
学科3(法規) 問11
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問題
一級建築士試験 令和4年(2022年) 学科3(法規) 問11 (訂正依頼・報告はこちら)
建築物の構造計算に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。
- 鉄筋コンクリート造、高さ31m、地上10階建ての建築物について、保有水平耐力計算によって安全性を確かめた場合には、許容応力度等計算又はこれと同等以上に安全性を確かめることができるものとして国土交通大臣が定める基準に従った構造計算を行わなくてもよい。
- 鉄骨鉄筋コンクリート造、高さ45mの建築物の地上部分について、保有水平耐力計算によって安全性を確かめた場合には、各階の偏心率が、それぞれ15/100を超えないことを確かめる必要はない。
- 建築物の地上部分に作用する地震力について、許容応力度等計算を行う場合における標準せん断力係数は0.2以上又は0.3以上とし、必要保有水平耐力を計算する場合における標準せん断力係数は1.0以上としなければならない。
- 限界耐力計算を行う場合、構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期(常時及び積雪時)及び短期(積雪時、暴風時及び地震時)の各応力度が、それぞれ長期に生ずる力又は短期に生ずる力に対する各許容応力度を超えないことを確かめなければならない。
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この過去問の解説 (3件)
01
建物の耐震設計フローを把握するのがポイントです。
法20条1項二号建物(高さ31m以下)なので、令81条2項により、
許容応力度等計算(ルート2)、保有水平耐力計算、限界耐力計算の3つの構造計算のうち、いずれかでよいです。
保有水平耐力計算をおこなっているため、国土交通大臣の定める基準に従った構造計算をおこなわなくてもよいです。
令81条2項一号建物(高さ31m超)は、限界耐力計算または保有水平耐力計算をおこないます。
偏心率は許容応力度等計算の場合に必要なので、確かめる必要はありません。
設問のとおりです。
令82条一から三号、令82条の5より、地震力は関係ないです。
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02
この問題は構造計算に関する問題です。
出題率が高い為、しっかり解答できるように復習しましょう。
正しいです。
高さが31m以下の建築物の場合、令第81条第2項第二号イ(許容応力度計算)又はロ(令81条第2項第一号イ(保有水平耐力計算)又はロ(限界耐力計算))による構造計算が必要です。
保有水平耐力計算によって安全性を確かめた場合は、その他の構造計算は必要ありません。
正しいです。
令第82条から令第82条の4、令第82条の6第二号ロにより、偏心率は、許容応力度計算による構造計算に規定されており、保有水平耐力計算による構造計算には、規定されていません。
従って、保有水平耐力計算によって安全性を確かめる場合、各階の偏心率の確認は必要ありません。
正しいです。
令第88条第2項、3項により、地震力について、標準せん断力は、0.2以上又は0.3以上としなければなりませんが、必要保有水耐力計算の場合、1.0以上としなければなりません。
誤りです。
令第82条の5第二号により、限界耐力計算では、積雪時又は暴風時に、長期及び短期の各応力度が許容応力度を超えないことを確かめる必要があります。
よって、短期の地震時は除きます。
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03
この問いは、構造計算に関する問題です。
正しいです。
設問の建築物は、法20条1項2号の建築物(大規模建築物)に該当し、構造計算は81条2項によります。設問は高さが31m以下なので、令81条2項3号の構造計算により安全性を確かめることができます。
正しいです。
保有水平耐力計算とは、許容応力度計算(令82条各号・令82条の4:いわゆる一次設計)に、層間変形角(令82条の2)と保有水平耐力(令82条の3)の計算を含みます。設問は、偏心率(令82条の6第二号)の規定であり、許容応力度等計算の一部です。したがって、保有水平耐力計算を行った場合は、偏心率を計算する必要はありません。
正しいです。
許容応力度等計算を行う場合は、標準せん断力係数は0.2以上または0.3以上としますが、必要保有水平耐力を計算する場合は、標準せん断力係数は1.0以上としなければなりません。
誤りです。
限界耐力計算の際も、地震時以外の許容応力度の計算は行います。したがって、令82条二号、三号により、長期の応力度は「常時及び積雪時」で計算し、短期の応力度は地震時を除いた「積雪時及び強風時」で計算し、各応力度が各許容応力度を超えないことを確かめます。
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