一級建築士の過去問
令和4年(2022年)
学科3(法規) 問29

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問題

一級建築士試験 令和4年(2022年) 学科3(法規) 問29 (訂正依頼・報告はこちら)

以下の条件に該当する建築物の設計に際して、建築基準法その他の建築関係法令の規定の適用に関する設計者の判断として、次の記述のうち、不必要な内容を含むものはどれか。

【条件】
・規  模:地上6階建て、高さ27m
・構  造:鉄筋コンクリート造
・延べ面積:3,000m2(各階の床面積は500m2
・用  途:物品販売業を営む店舗(各階に売場)
  • 構造耐力上の安全性を確認するため、構造計算の実施に当たっては「保有水平耐力計算」によることとし、「保有水平耐力が必要保有水平耐力以上であること」、「構造耐力上主要な部分の断面に生ずる各応力度が、各許容応力度を超えないこと」、「層間変形角が、基準値以内であること」、「屋根ふき材等が、風圧に対して構造耐力上安全であること」を確かめて設計した。
  • 避難上の安全性を確保するため、避難経路となる屋内の直通階段を、「特別避難階段に適合する階段として、2か所に設置すること」、「階段室に排煙機による排煙設備を設置すること」、「非常用の照明装置を設置すること」として設計した。
  • 建築物の備えるべきエネルギー消費性能を確保するため、空気調和設備、照明設備等に関して、実際の設計仕様の条件を基に算定した「設計一次エネルギー消費量」が、床面積、設備等の条件によって定まる「基準一次エネルギー消費量」を超えないものとして設計した。
  • 建築主の要請により、高齢者や障害者など誰もが利用しやすい建築物とするため、廊下の幅などについて移動がしやすいように配慮したところ、床面積の増加によって容積率の基準を超えたことから、容積率の特例の対象となる「認定特定建築物」の認定を受けることとして、「建築物移動等円滑化誘導基準」に適合するものとして設計した。

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この過去問の解説 (3件)

01

建物の高さや構造がどの法令に適合するか確認しておくことがこの問題を解くポイントです。

選択肢1. 構造耐力上の安全性を確認するため、構造計算の実施に当たっては「保有水平耐力計算」によることとし、「保有水平耐力が必要保有水平耐力以上であること」、「構造耐力上主要な部分の断面に生ずる各応力度が、各許容応力度を超えないこと」、「層間変形角が、基準値以内であること」、「屋根ふき材等が、風圧に対して構造耐力上安全であること」を確かめて設計した。

全て必要です。

高さ20m以上の鉄筋コンクリート造は法第20条第1項第二号建築物です。

また、令第81条第2項第二号イより、法第20条第1項第二号建築物で、高さが31m以下の場合は、許容応力度等計算や同等以上の安全性を確かめることができる構造計算のよるものとします。

保有水平耐力計算は同等以上の構造計算の為、令82条から令82条の4までの定める構造計算をいいます。

選択肢2. 避難上の安全性を確保するため、避難経路となる屋内の直通階段を、「特別避難階段に適合する階段として、2か所に設置すること」、「階段室に排煙機による排煙設備を設置すること」、「非常用の照明装置を設置すること」として設計した。

不必要な内容が含まれています。

当該建築物には2以上の直通階段を設け、避難階段又は特別避難階段としなければなりません。(令第121条第1項第二号、令第122条第2項)

排煙設備を階段に設ける必要はありません。(令第126条の2第1項第三号)

当該建築物には非常用の照明装置を設置しなければなりません。(令第126条の4)

選択肢3. 建築物の備えるべきエネルギー消費性能を確保するため、空気調和設備、照明設備等に関して、実際の設計仕様の条件を基に算定した「設計一次エネルギー消費量」が、床面積、設備等の条件によって定まる「基準一次エネルギー消費量」を超えないものとして設計した。

全て必要な内容です。

設問の内容は、省エネ法第11条省エネ法規則第1条第1項イに規定されている内容です。

選択肢4. 建築主の要請により、高齢者や障害者など誰もが利用しやすい建築物とするため、廊下の幅などについて移動がしやすいように配慮したところ、床面積の増加によって容積率の基準を超えたことから、容積率の特例の対象となる「認定特定建築物」の認定を受けることとして、「建築物移動等円滑化誘導基準」に適合するものとして設計した。

全て必要な内容です。

設問の内容は、バリアフリー法第19条令第24条に規定されている内容です。

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02

この問題は、建築基準法及びその他の法律に関する実務レベルに近い問題です。

近年はより実務レベルに近い新傾向問題が多く出題されています。しっかり復習して、理解しましょう。

選択肢1. 構造耐力上の安全性を確認するため、構造計算の実施に当たっては「保有水平耐力計算」によることとし、「保有水平耐力が必要保有水平耐力以上であること」、「構造耐力上主要な部分の断面に生ずる各応力度が、各許容応力度を超えないこと」、「層間変形角が、基準値以内であること」、「屋根ふき材等が、風圧に対して構造耐力上安全であること」を確かめて設計した。

全て必要な内容です。

当該建築物は、高さ20m以上の鉄筋コンクリート造により、法第20条第1項第二号建築物です。

また、令第81条第2項第二号イより、法第20条第1項第二号建築物で、高さが31m以下の場合は、許容応力度等計算、又は、同等以上に安全性を確かめることができる構造計算のよるものとします。

保有水平耐力計算は、同等以上の構造計算であり、令82条から令82条の4までの定める構造計算をいいます。

選択肢2. 避難上の安全性を確保するため、避難経路となる屋内の直通階段を、「特別避難階段に適合する階段として、2か所に設置すること」、「階段室に排煙機による排煙設備を設置すること」、「非常用の照明装置を設置すること」として設計した。

不必要な内容が含まれています。

令第121条第1項第二号、令第122条第2項により、当該建築物には、2以上の直通階段を設け、避難階段又は特別避難階段としなければなりません。

令第126条の2第1項第三号により、排煙設備を階段に設ける必要はありません。

令第126条の4により、当該建築物には非常用の照明装置を設置しなければなりません。

選択肢3. 建築物の備えるべきエネルギー消費性能を確保するため、空気調和設備、照明設備等に関して、実際の設計仕様の条件を基に算定した「設計一次エネルギー消費量」が、床面積、設備等の条件によって定まる「基準一次エネルギー消費量」を超えないものとして設計した。

全て必要な内容です。

省エネ法第11条、省エネ法規則第1条第1項イに規定されています。

選択肢4. 建築主の要請により、高齢者や障害者など誰もが利用しやすい建築物とするため、廊下の幅などについて移動がしやすいように配慮したところ、床面積の増加によって容積率の基準を超えたことから、容積率の特例の対象となる「認定特定建築物」の認定を受けることとして、「建築物移動等円滑化誘導基準」に適合するものとして設計した。

全て必要な内容です。

バリアフリー法第19条、令第24条に規定されています。

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03

この問いは、融合問題です。

選択肢1. 構造耐力上の安全性を確認するため、構造計算の実施に当たっては「保有水平耐力計算」によることとし、「保有水平耐力が必要保有水平耐力以上であること」、「構造耐力上主要な部分の断面に生ずる各応力度が、各許容応力度を超えないこと」、「層間変形角が、基準値以内であること」、「屋根ふき材等が、風圧に対して構造耐力上安全であること」を確かめて設計した。

正しいです。

設問の建築物は、法20条1項二号の建築物に該当し、構造計算は下記の方法で行えます。

①31m < 高さ ≤ 60m 

保有水平耐力計算、限界耐力計算、大臣が定める構造計算

②高さ ≤ 31m

許容応力度等計算、大臣が定める構造計算

 

31m以下の為、どちらの計算方法を用いても良いです。

 

選択肢2. 避難上の安全性を確保するため、避難経路となる屋内の直通階段を、「特別避難階段に適合する階段として、2か所に設置すること」、「階段室に排煙機による排煙設備を設置すること」、「非常用の照明装置を設置すること」として設計した。

誤りです。

令122条2項。3階以上の階を物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物は、各階の売場及び屋上広場に通ずる2以上の直通階段を設け、これを避難階段又は特別避難階段としなければなりません。なお、5階及び6階に売場があるので、そのうち1つ以上を特別避難階段としなければなりません。

令126条の2第1項三号。排煙設備を設けなければならない建築物又は建築物の部分であっても、階段の部分、昇降機の昇降路の部分等には設けなくてもよいです。

特殊建築物の居室から地上に通ずる廊下、階段等の通路等には、原則として、非常用の照明装置を設置しなければなりません。

したがって、「特別避難階段を2か所に設置すること」及び「階段室に排煙設備を設置すること」は不必要な内容になります。

 

選択肢3. 建築物の備えるべきエネルギー消費性能を確保するため、空気調和設備、照明設備等に関して、実際の設計仕様の条件を基に算定した「設計一次エネルギー消費量」が、床面積、設備等の条件によって定まる「基準一次エネルギー消費量」を超えないものとして設計した。

正しいです。

建築主は、非住宅部分が300m²以上(特定建築物)の新築等をしようとするときは、当該特定建築物を建築物エネルギー消費性能基準に適合させなければなりません。

「非住宅部分の設計一次エネルギー消費量」が、「非住宅部分の基準一次エネルギー消費量」を超えないことは、建築物エネルギー消費性能基準の一つです。なお、非住宅部分に係る設計一次エネルギー消費量は、空気調和設備、機械換気設備、照明設備、給湯設備、昇降機設備等の消費量を含みます。

選択肢4. 建築主の要請により、高齢者や障害者など誰もが利用しやすい建築物とするため、廊下の幅などについて移動がしやすいように配慮したところ、床面積の増加によって容積率の基準を超えたことから、容積率の特例の対象となる「認定特定建築物」の認定を受けることとして、「建築物移動等円滑化誘導基準」に適合するものとして設計した。

正しいです。

「認定特定建築物」の基準である建築物移動等円滑化“誘導”基準に適合させた場合、認定特定建築物の建築物特定施設の床面積のうち、通常の建築物の建築物特定施設の床面積を超える所定の床面積は算入しないことが認められています。

 

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