2級土木施工管理技術の過去問
令和3年度(後期)
鋼構造物塗装 問62

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問題

2級土木施工管理技術検定学科試験 令和3年度(後期) 鋼構造物塗装 問62 (訂正依頼・報告はこちら)

鋼材の腐食に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。
  • 鉄は鉄鉱石(鉄の酸化物等)を精錬(還元)して作ったものであり、熱力学的には不安定な状態である。
  • 鉄の湿食は、常温状態で水と酸素の存在下で生じ、鉄がイオン化して水に溶解する電磁気学的反応である。
  • 鉄の湿食の腐食反応は、アノード反応とカソード反応が必ず等量で進行し、片方の反応が抑制されると他方の反応も抑制される。
  • 鉄の湿食反応が生じるために水と酸素の存在は不可欠であり、湿食を防止する基本対策は、水又は酸素の供給を絶つことである。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は「2」です。

湿食は、水を媒介にしたイオンのやり取りによる電気化学反応であり、水に溶けた酸素や水素とともに腐食が進みます

1.正しいです。

金属は、一般的に鉱石を精錬(還元)して作られるため、熱力学的には不安定な状態であり、腐食(酸化)によって元の安定な状態に戻る性質があります。

3.正しいです。

酸化反応(アノード反応)と、同時に還元反応(カソード反応)を伴い、アノードとカソード反応が金属表面で等しい速度で同時に起こります

4.正しいです。

酸素や水を遮断するために、被膜を作成させたり、塗料を塗るなどの方法があります。

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02

適当でないものは、2 です。

1 .鉄は鉄鉱石(鉄の酸化物等)を精錬(還元)して作ったものであり、熱力学的には不安定な状態である。

正しいです。

鉄は自然界では酸化鉄として安定した状態にあります。精製時には酸化鉄に含まれる酸素イオンや水素イオンを分離させるため、不安定な状態として存在します。安定な状態に戻ろうとする働きが生じるため、空気中や水中に鉄をさらすことで錆(酸化鉄)ができるのがその例です。

2 .鉄の湿食は、常温状態で水と酸素の存在下で生じ、鉄がイオン化して水に溶解する電磁気学的反応である。

適当ではありません。

湿食は、電磁気学的反応ではなく、水を媒介とした、鉄イオンと水中の酸素イオン、水素イオンによる電気化学反応(酸化還元反応)であるため、適当ではありません。

3 .鉄の湿食の腐食反応は、アノード反応とカソード反応が必ず等量で進行し、片方の反応が抑制されると他方の反応も抑制される。

正しいです。

それぞれの反応を別の言い方にすると次のとおりです。

アノード反応:酸化反応(陽極反応)  カソード反応:還元反応(陰極反応)

電子が水中の酸素、水素から鉄へと移動することで、鉄は鉄イオンとなり、(水中に溶解し、)鉄の湿食が進行します。この時、水中の水素と酸素から電子が離れる現象をカソード反応(還元反応)、鉄が電子を受け取り鉄イオンとなる現象をアノード反応(酸化反応)といいます。

イオンというものは不安定な状態なので、片方の反応だけが行われることはありません。電子を離すと必ず受け取るものがあると考えればいいと思います。

4 .鉄の湿食反応が生じるために水と酸素の存在は不可欠であり、湿食を防止する基本対策は、水又は酸素の供給を絶つことである。

正しいです。

鉄の反応には湿食(しっしょく)と乾食(かんしょく)がありますが湿食には水分が関係します。(乾食は高熱環境下にさらされた場合に生じる腐食のことをいいます。)湿食を防ぐためには、鉄表面を防湿包装材料を巻いたり、金属被覆による処理、塗料を塗るなどの方法があります。

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03

正答(適当でないもの)は2です。

設問1は設問の通りです。

設問2の常温状態で水と酸素の存在下で、鉄がイオン化するのは酸化還元反応です。電磁気学的反応ではありません。

設問3は設問の通りです。

設問4は設問の通りです。鉄筋コンクリート構造物のかぶりを確保することで水と酸素を遮断することができます。

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