2級土木施工管理技術の過去問
令和5年度(前期)
土木2 問3
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問題
2級土木施工管理技術検定学科試験 令和5年度(前期) 土木2 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
コンクリート構造物の耐久性を向上させる対策に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
- 塩害対策として、水セメント比をできるだけ大きくする。
- 塩害対策として、膨張材を用いる。
- 凍害対策として、吸水率の大きい骨材を使用する。
- 凍害対策として、AE減水剤を用いる。
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この過去問の解説 (2件)
01
コンクリート構造物の耐久性を向上させる対策とは、コンクリートの品質を向上させて、劣化しにくいコンクリートをつくるということです。品質を上げるためには何が効果的かを知っておく必要があります。
塩害対策に限らず、水セメント比はできるだけ小さくしたほうが品質面で有利です。水セメント比が大きい(水の割合が多い)と作業はやりやすいですが、材料分離が生じやすいなど品質面では不利となります。よって設問は不適当です。
コンクリートは打ち込み後、乾燥収縮することでひび割れが生じます。膨張材はコンクリートを膨張させることで収縮に対抗し、ひび割れを抑制する目的で使用します。塩害対策とは無関係のため、設問は不適当です。
凍害とは、コンクリート中の水分が凍結と融解を繰り返すことで劣化する現象をいいます。吸水率が大きいとそれだけ水分を多く含み、凍結融解が生じやすくなるため、凍害対策では吸水率の小さい骨材を使用します。よって設問は不適当です。
AE減水剤はコンクリート中に独立した微細な空気を連行し、単位水量を減少させることで凍結融解抵抗性を改善させます。よって設問は適当です。
水セメント比は施工が許す範囲でできる限り小さくする。
凍害はコンクリート中の水分が凍結融解することで発生する。
上記を理解しておけば水を減らす減水材が凍害に有効、という選択ができると思います。
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02
コンクリート構造物の耐久性に関する出題は毎回出題される傾向があり、また硬化する前のコンクリートや硬化したコンクリートの性質、配合設計などから出題される場合があります。
耐久性では今回の出題の他にも科学的浸食や中性化、アルカリ骨材反応などもあります。いずれもコンクリートの耐久性を向上させるために必要な対策を覚えておきましょう。
適当ではありません。
コンクリートの塩害の原因のひとつに、コンクリート内部に塩化物イオンが侵入し鉄筋まで塩化物が到達することにより、鉄筋腐食やひび割れを発生させることがあります。
塩化物の侵入の対策としては、水セメント比を小さくして密なコンクリートに形成させることが有効とされています。
水セメント比が大きいとコンクリートが密実とならず、塩化物の侵入を許してしまうので有効にはなりません。
よってこの設問は不正解となります。
適当ではありません。
コンクリートの塩害対策としては、水セメント比を小さくするほか、高炉セメントなどの混合セメントを使用する、コンクリート中の塩化物イオン量を少なくするなどの方法があります。
膨張剤はコンクリートの収縮を相対的に低減させてひび割れを抑制させますが、温度ひび割れが発生する可能性の高いマスコンクリートの施工などに有効であり、塩害対策にはほぼ採用されません。
よってこの設問は不正解となります。
適当ではありません。
コンクリートの凍害とは、含まれている水分が凍結することによりコンクリートに破壊をもたらす現象です。
骨材にて凍害対策を講ずる場合は、耐凍害性が高い骨材を用いることが適しています。耐凍害性の高い骨材はコンクリート中の気泡を小さくすることで凍害の耐性を向上させます。
吸水性の高い骨材を用いるとコンクリート中の水分量が増加し、それらが凍結すると大規模な破壊をもたらすことになります。
よってこの設問は不正解となります。
凍害はコンクリートに含まれている水分が凍結し膨張することにより、コンクリートが破壊される現象です。
そのためAE減水剤を使用して空気量を増加させ、水分の凍結膨張に対する圧力を逃して破壊を防ぎます。空気量が増えるごとにコンクリートは圧縮強度が低下しますが、減水剤により強度が増すのでその効果が相殺され、またワーカビリティも向上するという利点があります。
よってこの設問は正解となります。
塩害は塩化物を侵入させないためにコンクリートを強固にすることと、鉄筋や骨材に塩化物を接触させないことが重要となります。
凍害はコンクリート中の水分量を抑えること、また凍結した時の対処として多少の空気も必要になることを念頭に置いておきましょう。
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