建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第51回(令和3年度(2021年))
問82 (空気環境の調整 問82)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第51回(令和3年度(2021年)) 問82(空気環境の調整 問82) (訂正依頼・報告はこちら)

揮発性有機化合物(VOCS)測定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • VOCSの採取には、アクティブサンプリング法とパッシブサンプリング法がある。
  • 固相捕集・加熱脱着-GC/MS法では、前処理装置により脱着操作を行う。
  • 固相捕集・溶媒抽出-GC/MS法では、加熱脱着法に比べ、測定感度は落ちる。
  • TVOC(Total VOC)を測定する装置では、方式によらず各VOCに対して同じ感度である。
  • TVOCは、GC/MSによりヘキサンからヘキサデカンの範囲で検出したVOCSの合計である。

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この過去問の解説 (1件)

01

正解は、「TVOC(Total VOC)を測定する装置では、方式によらず各VOCに対して同じ感度である。」です。

 

この問題は、揮発性有機化合物(VOCS)測定に関するものです。

VOCs(揮発性有機化合物)は、室内空気汚染の主要因であり、

シックハウス症候群対策としても重要視されます。

測定には、アクティブ法(ポンプ使用)とパッシブ法(自然拡散)によるサンプリングがあり、

分析にはGC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析法)が用いられます。

TVOC(総VOC量)は、特定範囲の化合物の合計濃度であり、

測定方式や装置によって感度は異なりますので、注意しましょう。

選択肢1. VOCSの採取には、アクティブサンプリング法とパッシブサンプリング法がある。

正しいです。VOCsの採取方法には、アクティブサンプリング法とパッシブサンプリング法があります。

アクティブ法はポンプを用いて一定量の空気を吸引し、

吸着剤に捕集する方式で、短時間で高精度な測定が可能です。

パッシブ法は自然拡散によって空気中のVOCsを吸着剤に取り込む方式で、

電源不要で長時間の平均濃度測定に適しています。

両者は目的や環境に応じて使い分けられています。

選択肢2. 固相捕集・加熱脱着-GC/MS法では、前処理装置により脱着操作を行う。

正しいです。固相捕集・加熱脱着-GC/MS法は、

VOCsを吸着剤(例:Tenax)に捕集し、

加熱によって揮発させてGC/MSで分析する高感度な測定法です。

加熱脱着には専用の前処理装置(サーマルデソーバー)が用いられ、

吸着剤から効率よく化合物を放出させます。

溶媒を使わずに高精度な分析が可能です。

選択肢3. 固相捕集・溶媒抽出-GC/MS法では、加熱脱着法に比べ、測定感度は落ちる。

固相捕集・溶媒抽出-GC/MS法は、吸着剤に捕集したVOCsを有機溶媒で抽出し、

GC/MSで分析する方法です。溶媒抽出では、溶媒の純度や抽出効率に左右されるため、

微量成分の検出には限界があり、加熱脱着法に比べて感度が劣る傾向があります。

加熱脱着法は直接加熱により揮発成分を効率よく回収できるため、

微量分析に優れています。

選択肢4. TVOC(Total VOC)を測定する装置では、方式によらず各VOCに対して同じ感度である。

誤りです。TVOC(Total Volatile Organic Compounds)は、

複数のVOCsの合計濃度を示す指標であり、

測定にはGC/MSや光イオン化検出器(PID)などが用いられます。

各VOCは化学構造や揮発性が異なるため、

検出器の種類や測定方式によって感度が変化します。

例えば、トルエンとホルムアルデヒドでは応答性が異なるので、

同じ濃度でも検出値に差が出ます。

選択肢5. TVOCは、GC/MSによりヘキサンからヘキサデカンの範囲で検出したVOCSの合計である。

正しいです。TVOCの定義は測定機関や目的によって異なりますが、

一般的にはGC/MSによって検出される炭素数6(ヘキサン)から、

炭素数16(ヘキサデカン)までの揮発性有機化合物の合計濃度を指します。

この範囲は室内空気汚染の主要成分を網羅しており、

シックハウス対策や建築物衛生管理において基準値が設定されています。

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