建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第51回(令和3年度(2021年))
問109 (給水及び排水の管理 問110)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第51回(令和3年度(2021年)) 問109(給水及び排水の管理 問110) (訂正依頼・報告はこちら)

水道水の塩素消毒に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 塩素消毒の効果は、懸濁物質が存在すると低下する。
  • 塩素消毒の反応速度は、温度が高くなるほど速くなる。
  • 水道水中の窒素化合物と反応することで、塩素消毒の効果が高まる。
  • 塩素消毒の効果は、アルカリ側で急減する。
  • 塩素消毒は、多種類の微生物に効果がある。

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この過去問の解説 (1件)

01

正解は、「水道水中の窒素化合物と反応することで、塩素消毒の効果が高まる。」です。

 

この問題は、水道水の塩素消毒に関するものです。

水道水の消毒には主に塩素が用いられ、微生物の殺菌に高い効果を発揮します。

ただし、塩素の効果は水質条件に左右されやすく、

懸濁物質や有機物、pH、温度などが反応性に影響を与えます。

特にアンモニアなどの窒素化合物と反応すると、

「クロラミン」が生成され、殺菌力が弱まるため注意が必要です。

選択肢1. 塩素消毒の効果は、懸濁物質が存在すると低下する。

正しいです。懸濁物質(泥・有機物など)が水中に存在すると、

塩素がそれらと反応して消費されるため、微生物への直接的な殺菌効果が低下する。

また、懸濁物質が微生物を物理的に覆ってしまうことで、

塩素が接触しにくくなるという物理的障壁も生じます。

選択肢2. 塩素消毒の反応速度は、温度が高くなるほど速くなる。

正しいです。塩素による殺菌反応は化学反応であり、

温度が高いほど分子の運動が活発になり、反応速度が上昇します。

そのため、夏場など水温が高い時期は殺菌効果が早く現れます。

一方、冬場など水温が低いと反応が遅くなり、必要な接触時間が長くなります。

この温度依存性は、消毒設計や残留塩素管理において重要な要素です。

選択肢3. 水道水中の窒素化合物と反応することで、塩素消毒の効果が高まる。

不適当です。塩素は水中の窒素化合物(特にアンモニア)と反応して、

クロラミン類(モノクロラミンなど)を生成します。

これらは遊離残留塩素に比べて殺菌力が弱いため、

塩素消毒の効果は低下します。

選択肢4. 塩素消毒の効果は、アルカリ側で急減する。

正しいです。塩素消毒の効果は水のpHに強く影響され、

酸性側(pH5〜7)では殺菌力が高く、

アルカリ側(pH8以上)では急激に低下します。

塩素が水中で次亜塩素酸(HOCl)と次亜塩素酸イオン(OCl⁻)に分かれ、

HOClの方が殺菌力が高いためです。

 

選択肢5. 塩素消毒は、多種類の微生物に効果がある。

正しいです。塩素は細菌・ウイルス・一部の原虫など、

幅広い微生物に対して殺菌効果を持ちます。

水道水の消毒において最も汎用性が高く、広範な微生物に対応できる手法です。

 

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