建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第53回(令和5年度(2023年))
問176 (ねずみ、昆虫等の防除 問176)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第53回(令和5年度(2023年)) 問176(ねずみ、昆虫等の防除 問176) (訂正依頼・報告はこちら)

殺鼠(そ)剤に関連する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
  • 粉剤の鼠穴内部への散粉処理は、殺鼠剤を経皮的に取り込ませることを狙った処理法である。
  • 第1世代の抗凝血性殺鼠剤は、少量ずつ連日摂取させるように配置する。
  • クマネズミは、ドブネズミに比べて抗凝血性殺鼠剤に対する感受性が低い。
  • ネズミの殺鼠剤抵抗性は、昆虫の殺虫剤に対する抵抗性と同様の原理により発達する。
  • 有効成分と餌をパラフィンに混ぜて固め、水に濡(ぬ)れるような場所でも使用できる製剤がある。

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この過去問の解説 (1件)

01

正解は、「粉剤の鼠穴内部への散粉処理は、殺鼠剤を経皮的に取り込ませることを狙った処理法である。」です

 

この問題は、殺鼠剤の使用方法、剤型、ネズミの感受性、抵抗性などに関するものです。

ネズミの種類や環境に合わせて殺鼠剤を選ぶ知識と、

作用機序の理解が正確にできていないと、

実務での誤った処置につながるため、重要なポイントです。

 

選択肢1. 粉剤の鼠穴内部への散粉処理は、殺鼠剤を経皮的に取り込ませることを狙った処理法である。

誤りです。実際には、毛づくろい(グルーミング)により経口摂取させるのが主な目的であり、

経皮吸収ではありません。

建物の床下や壁際にネズミの通路がある場合、

そこに粉剤を散布し、

通過したネズミの体に付着 → グルーミングで摂取 → 徐々に効果発現となります。

選択肢2. 第1世代の抗凝血性殺鼠剤は、少量ずつ連日摂取させるように配置する。

正しいです。第1世代(例:ワルファリン、フマリン)は遅効性で、

連日摂取により凝固因子が欠乏し、内出血を引き起こします。

初日は警戒して食べないこともあるため、

予備餌(無毒餌)→毒餌の順で設置するのが効果的です。

選択肢3. クマネズミは、ドブネズミに比べて抗凝血性殺鼠剤に対する感受性が低い。

正しいです。クマネズミは感受性が低く、

ワルファリン抵抗性(スーパーラット)を獲得している個体が多いため、

殺鼠剤が効きにくいです。

東京都新宿区で捕獲されたクマネズミが、

ワルファリンを441日間摂取しても死亡しなかったという報告があり。

そのため、第2世代(例:ジフェチアロール)の使用が推奨されています。

選択肢4. ネズミの殺鼠剤抵抗性は、昆虫の殺虫剤に対する抵抗性と同様の原理により発達する。

正しいです。遺伝的変異による薬剤代謝酵素の増加や、

標的部位の変化などが原因であり、作用機序は類似しています。

昆虫のピレスロイド抵抗性と同様、選択圧による進化的適応が背景にあります。

養鶏場などで殺鼠剤を頻繁に使用 → 抵抗性個体が生き残る → 抵抗性遺伝子が集団に広がる。

といった形で発達します。

選択肢5. 有効成分と餌をパラフィンに混ぜて固め、水に濡(ぬ)れるような場所でも使用できる製剤がある。

正しいです。耐水性を持つブロックタイプの殺鼠剤であり、

下水道や湿気の多い場所でも長期間効果を維持できます。

下水道、厨房の床下、雨水枡などに設置して、

クマネズミやドブネズミが湿った場所でも喫食可能となります。

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