建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士) 過去問
第54回(令和6年度(2024年))
問48 (空気環境の調整 問3)

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問題

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)試験 第54回(令和6年度(2024年)) 問48(空気環境の調整 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

下の図は、厚さの異なるA、B、C部材で構成された建築物外壁における定常状態の内部温度分布を示している。この図に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
問題文の画像
  • A、B、C部材のなかで、最も熱伝導率が小さい部材はB部材である。
  • 熱伝達率は、屋外側の方が室内側より大きい。
  • B部材が主体構造体であるとすれば、この図は外断熱構造を示している。
  • A、B、Cの各部材を流れる単位面積当たりの熱流量に差異はない。
  • 壁表面近傍で空気温度が急激に変化する部分を境界層という。

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この過去問の解説 (1件)

01

不適当なのは「A、B、C部材のなかで、最も熱伝導率が小さい部材はB部材である。」です。
定常一方向伝熱では各層を流れる熱流量(熱流束)は同じです。そのとき各層の温度勾配の大きさは1/熱伝導率に比例します。図ではB部材が「最も急な温度勾配」になっていないため、Bが最も熱伝導率が小さいとは言えません。熱流束一定の下での関係は、式q=−k·dT/dxから読み取れます。

選択肢1. A、B、C部材のなかで、最も熱伝導率が小さい部材はB部材である。

不適当です。定常状態では全層で熱流束qは一定です。

このとき温度勾配|dT/dx|が大きい層ほど、熱伝導率kが小さいことを意味します(q=−k·dT/dx)。

図の勾配関係からは、Bが最小kと断定できません。したがってこの主張は成り立ちません。

選択肢2. 熱伝達率は、屋外側の方が室内側より大きい。

適切です。建築の標準計算でよく用いられる代表値では、外気側表面熱伝達率が約23W/m²K、室内側が約9W/m²Kとされ、一般に屋外側の方が大きいです(風の影響などで対流が強い)。

選択肢3. B部材が主体構造体であるとすれば、この図は外断熱構造を示している。

適切です。外断熱は、主体構造体(B)の外側に断熱層がある構成です。

図の温度分布では、構造体の外側に大きな温度降下(=熱抵抗の大きい層)が見られるため、外断熱の温度分布として整合します。

外断熱/内断熱の区別は断熱材の位置で決まります。

選択肢4. A、B、Cの各部材を流れる単位面積当たりの熱流量に差異はない。

適切です。内部発熱がなく定常・一方向であれば、直列に重なる各層の熱流束qは全て同じです。

層ごとに変わるのは温度勾配で、q自体は等しいというのが基本です。

選択肢5. 壁表面近傍で空気温度が急激に変化する部分を境界層という。

適切です。壁面近傍には境界層が形成され、速度境界層や温度境界層において温度(や速度)が主流に向かって急激に変化します。本設問の表現は温度境界層を指す説明として妥当です。

まとめ

定常・一方向なら、全ての層で熱流束は同じです。温度勾配の大小は熱伝導率の逆数を反映します。

屋外側の表面熱伝達率は一般に室内側より大きいので、外気側で温度が急に落ちやすく見えることがあります。

外断熱か内断熱かは断熱材の位置で判断します。構造体の外側に断熱材があれば外断熱です。

図を読むときは、(1)勾配(=kの大小)(2)各層の温度降下(=熱抵抗の大小)(3)表面の境界層の温度変化の3点を見ると整理しやすいです。

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