第三種電気主任技術者の過去問
平成28年度(2016年)
電力 問26

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成28年度(2016年) 電力 問26 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章は、原子力発電における核燃料サイクルに関する記述である。

天然ウランには主に質量数235と238の同位体があるが、原子力発電所の燃料として有用な核分裂性物質のウラン235の割合は、全体の0.7%程度にすぎない。そこで、採鉱されたウラン鉱石は製錬、転換されたのち、遠心分離法などによって、ウラン235の濃度が軽水炉での利用に適した値になるように濃縮される。その濃度は(ア)%程度である。さらに、その後、再転換、加工され、原子力発電所の燃料となる。
原子力発電所から取り出された使用済燃料からは、(イ)によってウラン、プルトニウムが分離抽出され、これらは再び燃料として使用することができる。プルトニウムはウラン238から派生する核分裂性物質であり、ウランとプルトニウムとを混合した(ウ)を軽水炉の燃料として用いることをプルサーマルという。
また、軽水炉の転換比は0.6程度であるが、高速中性子によるウラン238のプルトニウムヘの変換を利用した(エ)では、消費される核分裂性物質よりも多くの量の新たな核分裂性物質を得ることができる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
  • (ア)3〜5  (イ)再処理  (ウ)MOX燃料     (エ)高速増殖炉
  • (ア)3〜5  (イ)再処理  (ウ)イエローケーキ  (エ)高速増殖炉
  • (ア)3〜5  (イ)再加工  (ウ)イエローケーキ  (エ)新型転換炉
  • (ア)10〜20 (イ)再処理  (ウ)イエローケーキ  (エ)高速増殖炉
  • (ア)10〜20 (イ)再加工  (ウ)MOX燃料     (エ)新型転換炉

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この過去問の解説 (3件)

01

軽水炉での利用に必要なウラン235の濃度は、3~5%程度です。
よって、(ア)には‟3~5”が入ります。

使用済燃料は、再処理工場において再処理が行われ、未使用ウランやプルトニウムが分離抽出されます。
よって(イ)には‟再処理”が入ります。

二酸化ウラン(UO2)と二酸化プルトニウム(PuO2)を混ぜた核燃料をMOX燃料と言います。
イエローケーキとは、ウラン鉱石を精錬してウラン含有率を高めた粉末を言います。
よって(ウ)には‟MOX燃料”が入ります。

高速増殖炉は、高速中性子によるウラン238のプルトニウムヘの変換を利用します。
よって(エ)には‟高速増殖炉”が入ります。

以上より、正解は1.となります。

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02

(ア)3〜5

 天然ウランの濃度は0.7%程度です。このままでは核分裂反応が少なく発電に使用できないため、これを発電機適した3~5%濃度に濃縮して使用します。

 

(イ)再処理

 使用済み核燃料の再処理は、核燃料の再利用や核兵器原料の回収を目的として行われます。再処理では、使用済み核燃料からウランやプルトニウムを分離し、抽出します。

 

(ウ)MOX燃料

 MOX燃料は、ウランとプルトニウムの混合酸化物燃料です。再処理で回収されたウランとプルトニウムを混合したMOX燃料を核燃料として再利用します。

 

(エ)高速増殖炉

 高速増殖炉は、発電しながら消費した以上の核燃料を生成できる原子炉です。高速中性子を利用してウラン238をプルトニウム239に変換し、同時に新たな核燃料を生成します。核燃料の効率的な利用と核廃棄物の削減が可能ですが、冷却材に使用するナトリウムの扱いなどに課題があります。

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03

原子力発電の知識に関する問題です。

発電に使われるウランは3~5%の濃縮率です。

20%以上の濃縮率は高濃縮ウランと言われ軍事利用などが主となります。

よってアは3~5となります。

使用済み燃料から使えるウランなどを抽出することを再処理と言います。

よってイは再処理となります。

MOX燃料とはウランとプルトニウムを混ぜた燃料のことです。

イエローケーキはウラン鉱石の精製過程から得られる黄色の粉末です。

よってウはMOX燃料となります。

転換比とは”消費される核分裂性物質”と”生成される核分裂性物質”の比です。

この比が1を超えることを増殖と言います。

新たに多くの核分裂性物質を得ている原子炉は高速増殖炉です。

よってエは高速増殖炉となります。

すべてを満たす選択肢は1となります。

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