第三種電気主任技術者の過去問
平成28年度(2016年)
電力 問28
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問題
第三種 電気主任技術者試験 平成28年度(2016年) 電力 問28 (訂正依頼・報告はこちら)
一次側定格電圧と二次側定格電圧がそれぞれ等しい変圧器Aと変圧器Bがある。変圧器Aは、定格容量SA=5000kV・A、パーセントインピーダンス%ZA=9.0%(自己容量ベース)、変圧器Bは、定格容量SB=1500kV·A、パーセントインピーダンス%ZB=7.5%(自己容量ベース)である。この変圧器2台を並行運転し、6000kV·Aの負荷に供給する場合、過負荷となる変圧器とその変圧器の過負荷運転状態[%](当該変圧器が負担する負荷の大きさをその定格容量に対する百分率で表した値)の組合せとして、正しいものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
- (過負荷となる変圧器)変圧器A (過負荷運転状態[%])101.5
- (過負荷となる変圧器)変圧器B (過負荷運転状態[%])105.9
- (過負荷となる変圧器)変圧器A (過負荷運転状態[%])118.2
- (過負荷となる変圧器)変圧器B (過負荷運転状態[%])137.5
- (過負荷となる変圧器)変圧器A (過負荷運転状態[%])173.5
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題では、インピーダンスがパーセントインピーダンスで与えられていますので、各変圧器のパーセントインピーダンスを同じ容量基準に合わせて(換算して)から、その逆比で配分計算します。よって、パーセントインピーダンスが小さい変圧器の方が、負荷に対する負担の割合が大きくなります。
変圧器Aのパーセントインピーダンス%ZA(=9%)は、変圧器Aの定格容量SA(=5000kV・A)を基準としています。
同じく、変圧器Bのパーセントインピーダンス%ZB(=7.5%)は、変圧器Bの定格容量SB(=1500kV・A)を基準としています。
そこでまずパーセントインピーダンスの容量基準を合わせます。ここでは容量基準を、変圧器Bと同じ定格容量SB(=1500kV・A)に合わせます。
変圧器Aのパーセントインピーダンス%ZA(=9%)を容量SB(=1500kV・A)基準とした場合のパーセントインピーダンス%Z’Aに変換すると、
%Z’A=%ZA×SB/SA
=9×1500/5000
=2.7[%]
となります。よって、同じ容量基準で比較すると、変圧器Aのパーセントインピーダンス%Z’A=2.7%、
変圧器Bのパーセントインピーダンス%ZB=7.5%となり、変圧器Aの方が、負担が大きいことが分かります。
続いて、負荷6000kV・Aに対して、それぞれの変圧器が負担する容量をPA、PBとして、それぞれパーセントインピーダンスの逆比で配分します。
PA=6000×%ZB/(%Z’A+%ZB)
=6000×7.5/(2.7+7.5)
≒4412[kV・A]
PB=6000×%Z’A/(%Z’A+%ZB)
=6000×2.7/(2.7+7.5)
≒1588[kV・A]
変圧器Aが負担する容量PAは、定格容量SA=5000kV・Aに対して約4412kV・Aですので、まだ余裕があります。
一方の変圧器Bが負担する容量PBは、定格容量SB=1500kV・Aに対して約1588kV・Aですので、定格容量を越えています。
過負荷運転状態[%]を求めます。
(1588/1500)×100=105.9[%]
となります。
以上より、正解は2.となります。
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02
7.5%×5000/1500 = 25%
変圧器Aに流れる電流をIa、変圧器Bに流れる電流をIb、
負荷電流をIn(= Ia + Ib)と置くと
Ia、Ibは以下の式で表されます。
Ia = ( %Zb / %Za + %Zb)×In
Ib = ( %Za / %Za + %Zb)×In
これは平行接続した抵抗は、抵抗の逆比に分流することを
パーセントインピーダンスで表現しただけです。
平行接続した変圧器の電圧は等しくなるので、
Ia、Ibの式にVn(負荷電圧)をかけてやると
Ia×Vn = ( %Zb / %Za + %Zb)×In×Vn
Ib×Vn = ( %Za / %Za + %Zb)×In×Vn
変圧器Aかかる負荷をPa、変圧器Bにかかる負荷をPb、
供給する負荷をPnと置くと
Pa = ( %Zb / %Za + %Zb)×Pn = ( 25 / 9 + 25)×6000[kV・A]≒4411.8[kV・A]
Pb = ( %Za / %Za + %Zb)×Pn = ( 9 / 9 + 25)×6000[kV・A]≒1588.2[kV・A]
以上より
過負荷になる変圧器はB
1588.2 / 1500 ≒1.0588より、105.9%の過負荷状態
となります。
選択肢は2.です。
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03
変圧器の負荷分担を計算する問題です。
①パーセントインピーダンスの
基準容量を統一します。
ここでは、
変圧器Aの容量SAを基準にします。
%ZA=9.0[%]
%ZB'=%ZB×(SA/SB)[%]
=7.5×(5000/1500)
=25[%]
②変圧器Aの負荷PA[kVA]
負荷の大きさをP[kVA]とすると、
並列運転する変圧器の負荷は
インピーダンスに反比例するので
次式で計算できます。
PA=%ZB'/(%ZA+%ZB')×P
=25/(9+25)×6000
≒4412[kVA]
したがって、
定格容量SA=5000[kVA]以下です。
③変圧器Bの負荷PB[kVA]
変圧器Bの負荷は全体の負荷から
変圧器Aを引けば良いので
次式で計算できます。
PB=P-PA
=6000-4412
=1588[kVA]
したがって、
定格容量SB=1500[kVA]を超えています。
④変圧器Bの過負荷率
過負荷率=負荷/定格容量×100[%]
=1588/1500×100
≒105.9[%]
したがって、
変圧器Bの過負荷率は105.9[%]です。
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