第三種電気主任技術者の過去問
平成28年度(2016年)
電力 問30

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成28年度(2016年) 電力 問30 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章は、誘導障害に関する記述である。

架空送電線路と通信線路とが長距離にわたって接近交差していると、通信線路に対して電圧が誘導され、通信設備やその取扱者に危害を及ぼすなどの障害が生じる場合がある。この障害を誘導障害といい、次の2種類がある。
①架空送電線路の電圧によって、架空送電線路と通信線路間の(ア)を介して通信線路に誘導電圧を発生させる(イ)障害。
②架空送電線路の電流によって、架空送電線路と通信線路間の(ウ)を介して通信線路に誘導電圧を発生させる(エ)障害。
架空送電線路が十分にねん架されていれば、通常は、架空送電線路の電圧や電流によって通信線路に現れる誘導電圧はほぼ0Vとなるが、架空送電線路で地絡事故が発生すると、電圧及び電流は不平衡になり、通信線路に誘導電圧が生じ、誘導障害が生じる場合がある。例えば、一線地絡事故に伴う(エ)障害の場合、電源周波数をf、地絡電流の大きさをI、単位長さ当たりの架空送電線路と通信線路間の(ウ)をM、架空送電線路と通信線路との並行区間長をLとしたときに、通信線路に生じる誘導電圧の大きさは(オ)で与えられる。
誘導障害対策に当たっては、この誘導電圧の大きさを考慮して検討の要否を考える必要がある。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
  • (ア)キャパシタンス   (イ)静電誘導 (ウ)相互インダクタンス (エ)電磁誘導 (オ)2πfMLI
  • (ア)キャパシタンス   (イ)静電誘導 (ウ)相互インダクタンス (エ)電磁誘導 (オ)πfMLI
  • (ア)キャパシタンス   (イ)電磁誘導 (ウ)相互インダクタンス (エ)静電誘導 (オ)πfMLI
  • (ア)相互インダクタンス (イ)電磁誘導 (ウ)キャパシタンス   (エ)静電誘導 (オ)2πfMLI
  • (ア)相互インダクタンス (イ)静電誘導 (ウ)キャパシタンス   (エ)電磁誘導 (オ)2πfMLI

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この過去問の解説 (3件)

01

長距離にわたって接近交差する送電線路と通信線路の間には、静電容量(キャパシタンス)があります。送電線の電圧によって電界が生じると、静電誘導によって通信線に電圧が生じます。

また、長距離にわたって接近交差する送電線路と通信線路の間には、相互インダクタンスがあります。送電線の電流によって磁界が生じると、電磁誘導によって通信線に電圧が生じます。

よって(ア)には‟キャパシタンス”、(イ)には‟静電誘導”、(ウ)には‟相互インダクタンス”、(エ)には‟電磁誘導”、が入ります。

ねん架とは、主に用いられている三相交流の3本の線を区間(鉄塔)ごとに入れ替え、各相のインダクタンスや静電容量が同じになるようにすることです。ねん架により、通信線に対する誘導障害を低減させることができます。

単位長さ当たりの相互インダクタンスがMとありますので、並行区間の長さをLとしたときの相互インダクタンスはMLになります。
よって通信線路に生じる誘導電圧は、電源周波数fのときの角速度をω(=2πf)とすると、

ωMLI=2πfMLI

です。

よって、(オ)には‟2πfMLI”が入ります。

以上より、正解は1.となります。

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02

誘導障害の知識に関する問題です。

静電誘導障害は、送電線と通信線の間のキャパシタンス(静電容量)によって
引き起こされる障害です。
通信線に引き起こされる誘導電圧Vbは
Vb=Ca /(Cb+Ca)Va で求められます。

Ca:通信線と送電線の相互静電容量
Cb:通信線の対地静電容量
Va:送電線の電圧


一方、電磁誘導障害は、送電線と通信線の間のインダクタンスによって
引き起こされる障害です。
通信線に引き起こされる誘導電圧Vbは
Vb=ωMlI=2πf×MlI で求められます



以上より選択肢は1.となります。

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03

(ア)キャパシタンス

 架空送電線路の電圧によって、架空送電線路と通信線路間のキャパシタンスを介して通信線路に誘導電圧を発生させる静電誘導障害が発生します。

 

(イ)静電誘導

 

(ウ)相互インダクタンス

 架空送電線路の電流によって、架空送電線路と通信線路間の相互インダクタンスを介して通信線路に誘導電圧を発生させる電磁誘導障害が発生します。

 

(エ)電磁誘導

 

(オ)2πfMLI

 誘導電圧e[V]は次式で計算できます。

  e=ω(M×L)I

   =(2πf)×(M×L)I

   =2πfMLI

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