第三種電気主任技術者の過去問
平成28年度(2016年)
電力 問31

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成28年度(2016年) 電力 問31 (訂正依頼・報告はこちら)

図のように、こう長5kmの三相3線式1回線の送電線路がある。この送電線路における送電端線間電圧が22200V、受電端線間電圧が22000V、負荷力率が85%(遅れ)であるとき、負荷の有効電力[kW]として、最も近いものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
ただし、1km当たりの電線1線の抵抗は0.182Ω、リアクタンスは0.355Ωとし、その他の条件はないものとする。なお、本問では、送電端線間電圧と受電端線間電圧との位相角は小さいとして得られる近似式を用いて解答すること。
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この過去問の解説 (3件)

01

三相3線式の線間電圧の電圧降下Vdは、送電端線間電圧と受電端線間電圧との位相角が小さいとすると、以下の近似式で与えられます。

Vd≒√3×I(R・cosθ+X・sinθ)

Vd:線間電圧の電圧降下
I:線路電流
R:電線1線の抵抗
X:電線1線のリアクタンス
θ:負荷電流の位相角(負荷力率はcosθになります)

まず、こう長5kmの電線1線について、抵抗RとリアクタンスXを求めます。

R=0.182×5
=0.91[Ω]

X=0.355×5
=1.775[Ω]

線間電圧の電圧降下Vdは、

Vd=22200-22000
=200[V]

負荷力率cosθ=0.85ですので、この値からsinθを求めます。

sinθ=√(1-cos²θ)
=√(1-0.85²)
≒0.5268

線間電圧の電圧降下Vdは、
Vd=√3×I(R・cosθ+X・sinθ)
ですので、線路電流Iについて解くと、

I=Vd/{√3×(R・cosθ+X・sinθ)}
≒200/{√3×(0.91×0.85+1.775×0.5268)}
≒67.58[A]

よって、負荷の有効電力Pは、受電端線間電圧をVr(=22000[V])とすると、以下の式で求められます。

P=√3×Vr・I・cosθ
≒√3×22000×67.58×0.85
≒2189000[W]
=2189[kW]

となります。

以上より、正解は3.となります。

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02

送電端電圧と受電端電圧の電圧降下を求める近似式は以下のようになります。

Es - Er = I (rcosθ + x sinθ)

Es:送電端相電圧

Er:受電端相電圧

r:一線当たりの抵抗

x:一線当たりのリアクタンス

値を代入して電流を求めていきます。

22,200 - 22,000 = √3×I×(0.182×5×0.85 + 0.355×5×√{1-(0.85)^2})

200 = √3×I×(0.7735 + 0.935)

I = 200 / (1.7×√3) ≒ 68

有効電力P = √3×I×送電端電圧×cosθ = √3×68×22,000×0.85 = 2,202475[W]

よって選択肢は3.になります。

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03

 送電線において負荷の有効電力を計算する問題です。

 

負荷の有効電力P[W]は、受電端電圧VR[V]、電流I[A]、力率cosθとすると次式で計算できます。

  P=√3×VRIcosθ[W]

 

 問題文より、電流I[A]のみ与えられていないので計算していきます。

 

問題文より、「受電端送電端線間電圧と受電端線間電圧との位相角は小さいとして得られる近似式を用いて解答すること」とあるので、送電端電圧VS[V]とすると次式が成立します。

 電圧降下=VS-VR=√3×I(Rcosθ-Xsinθ)[V]

 

ここで、

 R:送電線1本の抵抗

  =0.182[Ω/km]×5[km]

  =0.91[Ω]

 X:送電線1本のリアクタンス 

  =0.355[Ω/km]×5[km]

  =1.775[Ω]

 sinθ=√(1-cos2θ)

  =√(1-0.852)

  ≒0.5268

であるため、各値を代入すると、

  VS-VR=√3×I(Rcosθ+Xsinθ)

  22200-22000=√3×I(0.91×0.85+1.775×0.5268)

  I≒67.58[A]

 

負荷の有効電力P[kW]は、

  P=√3×VRIcosθ[W]

   =√3×22000×67.58×0.85

   ≒2,189,000[W]

   =2,189[kW]

 

したがって、

負荷の有効電力は2,189[kW]です。

まとめ

 送電線の電圧降下を求める計算式導出は電験2種レベルなので3種では丸暗記すればいいです。ベクトルの知識があれば計算できるので実力をつけたい方は導出してみてください。

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