第三種電気主任技術者の過去問
平成28年度(2016年)
電力 問34
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
第三種 電気主任技術者試験 平成28年度(2016年) 電力 問34 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章は、低圧配電系統の構成に関する記述である。
放射状方式は、(ア)ごとに低圧幹線を引き出す方式で、構成が簡単で保守が容易なことから我が国では最も多く用いられている。
バンキング方式は、同一の特別高圧又は高圧幹線に接続されている2台以上の配電用変圧器の二次側を低圧幹線で並列に接続する方式で、低圧幹線の(イ)、電力損失を減少でき、需要の増加に対し融通性がある。しかし、低圧側に事故が生じ、1台の変圧器が使用できなくなった場合、他の変圧器が過負荷となりヒューズが次々と切れ広範囲に停電を引き起こす(ウ)という現象を起こす可能性がある。この現象を防止するためには、連系箇所に設ける区分ヒューズの動作時間が変圧器一次側に設けられる高圧カットアウトヒューズの動作時間より(エ)なるよう保護協調をとる必要がある。
低圧ネットワーク方式は、複数の特別高圧又は高圧幹線から、ネットワーク変圧器及びネットワークプロテクタを通じて低圧幹線に供給する方式である。特別高圧又は高圧幹線側が1回線停電しても、低圧の需要家側に無停電で供給できる信頼度の高い方式であり、大都市中心部で実用化されている。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
放射状方式は、(ア)ごとに低圧幹線を引き出す方式で、構成が簡単で保守が容易なことから我が国では最も多く用いられている。
バンキング方式は、同一の特別高圧又は高圧幹線に接続されている2台以上の配電用変圧器の二次側を低圧幹線で並列に接続する方式で、低圧幹線の(イ)、電力損失を減少でき、需要の増加に対し融通性がある。しかし、低圧側に事故が生じ、1台の変圧器が使用できなくなった場合、他の変圧器が過負荷となりヒューズが次々と切れ広範囲に停電を引き起こす(ウ)という現象を起こす可能性がある。この現象を防止するためには、連系箇所に設ける区分ヒューズの動作時間が変圧器一次側に設けられる高圧カットアウトヒューズの動作時間より(エ)なるよう保護協調をとる必要がある。
低圧ネットワーク方式は、複数の特別高圧又は高圧幹線から、ネットワーク変圧器及びネットワークプロテクタを通じて低圧幹線に供給する方式である。特別高圧又は高圧幹線側が1回線停電しても、低圧の需要家側に無停電で供給できる信頼度の高い方式であり、大都市中心部で実用化されている。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
- (ア)配電用変電所 (イ)電圧降下 (ウ)ブラックアウト (エ)長く
- (ア)配電用変電所 (イ)フェランチ効果 (ウ)ブラックアウト (エ)長く
- (ア)配電用変圧器 (イ)電圧降下 (ウ)カスケーディング (エ)短く
- (ア)配電用変圧器 (イ)フェランチ効果 (ウ)カスケーディング (エ)長く
- (ア)配電用変圧器 (イ)フェランチ効果 (ウ)ブラックアウト (エ)短く
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
放射状配電方式(樹枝状配電方式)は、配電用変圧器から低圧幹線を引き出し、さらに低圧幹線から樹の枝のように分岐させて配電します。
構成が簡単で保守が容易、低コストで、需要の変動に柔軟に対応することができます。日本では最も多い方式です。
よって(ア)には、‟配電用変圧器”が入ります。
バンキング方式は、高圧線から2台以上の配電用変圧器で低圧幹線に接続し、並行運転させる電力供給方式です。
よって、電圧降下や電力損失を低減させることが可能です。
また、電力需要が増加しても、隣接する変圧器から融通することが可能で、変圧器の総容量を減らすことができます。
しかし、変圧器や配線路の事故によって、1台の変圧器が使用できなくなると、他の変圧器が過負荷となって、ヒューズが次々と切れ、広範囲に停電を引き起こすカスケーディング(連なった小さな滝→連鎖的、数珠つなぎになった物事)という現象が発生する危険性があります。
そこで、各区域間を接続する連系箇所に区分ヒューズを設け、高圧線と配電用変圧器の間に設けられる高圧カットヒューズよりも動作時間を短くして、事故の発生した区域を素早く切り離します。
保護協調とは、受変電設備の電力系統に何らかの事故が発生した場合に、事故が発生した回路だけを切り離す保護機器が即座に作動し、その上位の保護機器が作動しないように、保護機器間の作動時間等を調整することを言います。
よって、(イ)には、‟電圧降下”が、(ウ)には、‟カスケーディング”が、(エ)には、‟短く”が入ります。
以上より、正解となります。
低圧ネットワーク方式(レギュラーネットワーク方式)は、複数の特別高圧又は高圧幹線に各々接続されているネットワーク変圧器から、ネットワークプロテクタを通じて網目状の低圧幹線に接続し、並行運転させます。
構造が網目状のため、1回線が停電しても、低圧の需要家側に無停電で供給できる信頼度の高い方式です。
参考になった数5
この解説の修正を提案する
02
(ア)配電用変圧器
放射状方式は、配電用変圧器から配電線を引き出し、引き出した配電線からさらに分岐させるというように木の枝のように配電する方式です。
(イ)電圧降下
変圧器が並列接続されるので、変圧器の合成インピーダンスが小さくなることで電圧降下や電力損失が低減されます。
(ウ)カスケーディング
カスケーディングとは、連鎖的に影響が拡大することをいいます。バンキング方式では変圧器が並列運転しているので、何らかの原因で1台が停止すると、残りの変圧器が過負荷運転となって広範囲に停電を引き起こす恐れがあります。
ブラックアウトとは、電力会社の管轄する地域のすべてで停電が起こる現象のことをいいます。
(エ)短い
保護協調の考え方として、異常発生時の影響範囲を最小限にする必要があります。上位変電所の動作時間に対して、下位系統(負荷に近い)になるにつれて動作時間を短くしていきます。
正解です。
参考になった数1
この解説の修正を提案する
03
放射条方式は、変電所から木の枝を伸ばすように送電線を引き出し、
変圧器ごとに低圧幹線を家に引き込みます。
よってアの選択肢は配電用変圧器となります。
フェランチ効果とは送電端より受電端の方が電圧が高くなる現象です。
主に地中配線で起こるため、イの選択肢には適しません。
よってイの選択肢は電圧降下となります。
カスケーディングとは、並列運転されている変圧器のうち1つが故障してしまい、他の変圧器に負荷がのしかかり次々に故障して広域停電を引き起こす現象です。
バンキング方式に見られ、ブラックアウトより狭い意味合いで用いられます。
カスケードとは連鎖的という意味です。
よってウの選択肢はカスケーディングとなります。
区分ヒューズとは、2次側の変圧器と変圧器を結ぶ低圧母線間に接続されたヒューズのことで、変圧器の1次側のヒューズより先に切れることでカスケーディングを防ぐ役割があります。
よってエの選択肢は短くとなります。
正解です。
参考になった数1
この解説の修正を提案する
前の問題(問33)へ
平成28年度(2016年)問題一覧
次の問題(問35)へ