第三種電気主任技術者の過去問
平成28年度(2016年)
法規 問77

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成28年度(2016年) 法規 問77 (訂正依頼・報告はこちら)

「電気設備技術基準の解釈」に基づいて、使用電圧6600V、周波数50Hzの電路に接続する高圧ケーブルの交流絶縁耐力試験を実施する。次の問に答えよ。
ただし、試験回路は図のとおりとする。高圧ケーブルは3線一括で試験電圧を印加するものとし、各試験機器の損失は無視する。また、被試験体の高圧ケーブルと試験用変圧器の仕様は次のとおりとする。

【高圧ケーブルの仕様】
ケーブルの種類:6600Vトリプレックス形架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVT)
公称断面積:100mm2、ケーブルのこう長:87m
1線の対地静電容量:0.45µF/km

【試験用変圧器の仕様】
定格入力電圧:AC0-120V、定格出力電圧:AC0-12000V
入力電源周波数:50Hz

この交流絶縁耐力試験に必要な皮相電力(以下、試験容量という。)の値[kV·A]として、最も近いものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
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この過去問の解説 (3件)

01

正解:【3】

皮相電力Sは次の式で計算できます。

 S = V*I = V2 / Z

ここで、Zはインピーダンスとなります。

今回の問題において、ケーブルの試験であるので、負荷はケーブルの対地静電容量Cとなります。

絶縁耐力試験は3線まとめて行うため、各線の対地静電容量Cは並列接続となり、合計の負荷は3Cとなります。

そのため、インピーダンスは、

 Z = 1 / (3*2π*f*C)

となります。fは試験の周波数です。

なお、Cは問題文にある対地静電容量とケーブルの長さから計算できます。

 C = 0.45*87e-3 [uF] = 0.03915 [uF]

電圧Vは試験電圧となります。「電気設備技術基準の解釈」の16−1表を使って計算しますが、まずは最大使用電圧を計算します。

最大使用電圧は「電気設備技術基準の解釈」の第1条にある1−1表の係数を使って計算できます。

今回の使用電圧は6,600Vであるため、係数は1.15 / 1.1となり、最大使用電圧は6,900Vとなります。

そのため、16−1表を参照すると、試験電圧は最大使用電圧の1.5倍となります。

 試験電圧 Vt = 1.5* (1.15 / 1.1*6600) = 10350 [V]

上記の結果から、Sは次ようになります。

 S = Vt2 * (3*2π*f*C)

  = 103502 * (3*2π*50*0.03915e-6)

  = 3952 [V・A]

  = 3.95 [kV・A]

  ≒ 4 [kV・A]

以上により、選択肢の【3】が正解となります。

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02

この問題は高圧ケーブルの交流絶縁耐力試験に関する計算問題となります。

まずは、問題文冒頭の使用電圧6600Vという情報を元にこの電路に与えなければならない試験電圧を求めていきます。

電線路を代表する線間電圧を公称電圧と呼び以下のような関係となります。

・公称電圧=基準電圧×1.1‥①

この問題の公称電圧(線間電圧)は6600Vとなるので基準電圧は次のようになります。

・基準電圧=6600/1.1=6000[V]‥②

 

続いて電路の絶縁試験電圧は最大使用電圧が7000V以下であれば、最大使用電圧の1.5倍の電圧を10分間与えることになります。

※最大使用電圧が7000Vを超え60000V以下であれば最大使用電圧の1.25倍

なので最大使用電圧を求める必要があります。最大使用電圧は公称電圧が1000Vを超える場合は次のようになります。

・最大使用電圧=公称電圧×1.15/1.1‥③

さらに基準電圧からみると次のようになります。

・最大使用電圧=基準電圧×1.15‥④

上記で基準電圧6000[V]を求めているのでこちらを④式に代入します。

・最大使用電圧=6000×1.15=6900[V]‥④´

 

上記④´の結果より最大使用電圧は7000V以下であるため絶縁試験電圧は最大使用電圧の1.5倍となります。

・絶縁試験電圧=6900×1.5=10350[V]‥⑤

 

続いて3線一括での充電電流Ic[A]を求めていきます。

・Ic[A]=3ωCV‥⑥

ここで、問題では1線の対地静電容量0.45µF/kmを与えられているのでここから静電容量C[F]を求めます。

・C[F]=0.45×10-6×(87/1000)≒0.0392×10-6[F]

これより、⑥式に代入して充電電流Ic[A]を求めます。

・Ic[A]=3×2π×50×0.0392×10-6×10350≒0.382[A]

※ω=2πf、f=50[Hz]

 

最後に皮相電力S[kV·A]を求めます。

・皮相電力S[kV·A]=絶縁試験電圧V×充電電流Ic‥⑦

・S[kV·A]=10350×0.382=3953.7×103[V·A]≒3.95[kV·A]

以上が計算結果となります。

選択肢の中から最も近い値は4.0[kV·A]となります。

 

選択肢1. 1.4

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

選択肢2. 3

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

選択肢3. 4

解説の冒頭の内容と一致するので適切です。

選択肢4. 4.8

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

選択肢5. 7

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

まとめ

絶縁耐力試験に関する問題は必ず出題されております。試験電圧の区分などは必ず覚えておくことをお薦め致します。

参考になった数1

03

皮相電力Sの公式は

S=VI=V^2/Zです。

対地静電容量1/3ωCがインピーダンスZとなるので

S=3ωCV^2=3×2πf×C×V^2

となります。

試験電圧Vですが、最大使用電圧が7,000V以下の電路では、最大使用電圧の1.5倍の電圧を印加しなければなりません。

最大使用電圧は公称電圧が1,000を超えている時

公称電圧×1.15/1.1

この問題の場合、最大使用電圧は

6,600×1.15/1.1=6,900

よって、試験電圧Vは

6,900×1.5=10,350

となります。

以上をまとめると、皮相電力Sは

S=3×2π×50×0.45×10^-6×87/1,000×10,350^2

S=3,950.6

S≒4 [KV・A]

となり、正解は【3】である事がわかります。

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