第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
理論 問18

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 理論 問18 (訂正依頼・報告はこちら)

図のように、線間電圧V[V]、周波数f[Hz]の対称三相交流電源に、R[Ω]の抵抗とインダクタンスL[H]のコイルからなる三相平衡負荷を接続した交流回路がある。この回路には、スイッチSを介して、負荷に静電容量C[F]の三相平衡コンデンサを接続することができる。

スイッチSを閉じてコンデンサを接続したとき、電源からみた負荷側の力率が1になった。
このとき、静電容量Cの値[F]を示す式として、正しいものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
ただし、角周波数をω[rad/s]とする。
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この過去問の解説 (3件)

01

まず、回路の一相分を取り出すために三相平衡コンデンサをΔ−Y変換すると、一相分の値は3Cとなります。

ここで、この三相交流回路全体の一相分を考えると、「RとLの直列回路」と「3C」の並列回路になります。

この回路の力率が1になったということは、回路全体のインピーダンスの虚数部が0になったということになります。

インピーダンスの虚数部が0になったということは、インピーダンスの逆数であるアドミタンスの虚数部が0になったともいえるので、ここでは計算しやすい合成アドミタンスを求めます。

回路全体の合成アドミタンスYは

 Y = 1/(R + jωL) + jω3C

  = (R − jωL)/(R^2 + ω^2L^2) + jω3C

この虚数部のみを抜き出すと、

 -ωL/(R^2 + ω^2L^2) + ω3C

となり、これが0となるときのCの値が解答となります。

 -ωL/(R^2 + ω^2L^2) + ω3C = 0

  ω3C = ωL/(R^2 + ω^2L^2)

よって、

 C = L/3(R^2 + ω^2L^2) となります。

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02

前問(https://kakomonn.com/denken3/questions/39050)からの引き続きの問題となりますが、この問題では数字ではなく、文字式として解答する形となります。

 

内容としてはY結線で接続されている三相負荷の抵抗R、インダクタンスLにかかる無効電力を打ち消す為、Δ結線されている静電容量C[F]を挿入して全体の無効電力を打ち消し、力率を改善させたという内容になります。

 

問題文の中に【電源からみた負荷側の力率が1になった】とありますが、これは言い換えると無効電力が0になり、有効電力と皮相電力が同相、いわゆるcosθ=P/Z=1の状態です。

 

無効電力が0という事はインピーダンスにかかるリアクタンスの成分【j:虚数部】が0になるという事でもあります。

 

以上の事を踏まえた上で、1相分を取りだした等価回路とコンデンサのΔ-Y結線の仕組みを下記にて記します。

上記図を元に静電容量C[F]を求めていきます。

まず解説図2より、(R-L)と静電容量Cの並列回路となっており回路全体のインピーダンスZを求める式を立てる事によって静電容量Cを求めることができますが、正直時間と手間がかかります。

ここでアドミタンスY=1/Zを採用する事で比較的スムーズに解けますので今回はアドミタンスを使用していきたいと思います。

・(R-L)のアドミタンスY1=1/R+jωL[s]

静電容量CのアドミタンスY2=j3ωC[s]

以上より回路全体のアドミタンスを求めます。

・Y=Y1+Y2=(1/R+jωL)+j3ωC[s]‥①

 

上記①式を整理していきます。

まずアドミタンスY1を有理化します。

・Y1=(R-jωL)/(R+jωL)×(R-jωL)=(R-jωL)/R22L2

次に上記のアドミタンスを実数部と虚数部【j】に振り分けます。

Y1=(R/R22L2)-j(ωL/R22L2)‥②

 

②式を用いて回路全体のアドミタンスは以下となります。

・Y=(R/R22L2)-j{(ωL/R22L2)+3ωC}

※太線部が虚数部となります。

 

ここで、前述の説明より虚数部が0が成り立つので以下のような展開ができます。

・(ωL/R22L2)-3ωC=0

・3ωC=ωL/R22L2

C=L/3(R22L2

以上が静電容量C[F]の値となります。

選択肢1. 解答選択肢の画像

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

選択肢2. 解答選択肢の画像

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

選択肢3. 解答選択肢の画像

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

選択肢4. 解答選択肢の画像

解説の冒頭の内容と一致するので適切です。

選択肢5. 解答選択肢の画像

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

まとめ

この問題のポイントは【電源からみた負荷側の力率が1になった】の意味が分からないと解けない問題です。さらに文字式の整理が必要となるので数学の基礎が試される問題でもあります。試験ではかなりの頻度で類題が出題されているので繰り返し問題を解いて訓練される事をお薦めいたします。

参考になった数2

03

コンデンサ接続後、電源に流れる電流は

I=(V/√3){(1/R+jωL)+j3ωC}

I=(V/√3)(R/R^2+ωL^2)+j{(-ωL/R^2+ωL^2)+3ωC}

記述より、力率1なので虚数部が0になります。

{(-ωL/R^2+ωL^2)+3ωC}=0

よって、静電容量Cは

C=L/3(R^2+ω^2×L^2)

以上により、選択肢の【4】が正解となります。

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