第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
理論 問19

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 理論 問19 (訂正依頼・報告はこちら)

巻数Nのコイルを巻いた鉄心1と、空隙(エアギャップ)を隔てて置かれた鉄心2からなる図1のような磁気回路がある。この二つの鉄心の比透磁率はそれぞれμr1=2000、μr2=1000であり、それらの磁路の平均の長さはそれぞれI1=200mm、I2=98mm、空隙長はδ=1mmである。ただし、鉄心1及び鉄心2のいずれの断面も同じ形状とし、磁束は断面内で一様で、漏れ磁束や空隙における磁束の広がりはないものとする。

空隙における磁界の強さH0に対する磁路に沿った磁界の強さHの比H/H0を表すおおよその図として、最も近いものを図2の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
ただし、図1に示すx=0mmから時計回りに磁路を進む距離をx[mm]とする。また、図2は片対数グラフであり、空隙長δ[mm]は実際より大きく表示している。
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この過去問の解説 (3件)

01

空隙における磁界の強さH0に対する磁路に沿った磁界の強さHの比 H/H0 を表す図について問う問題です。

選択肢2. 解答選択肢の画像

磁界の強さHは、磁束をΦ、真空の透磁率をμ0、比透磁率をμr、断面積をAとすると、

 H = Φ/(μ0μrA)

で表されます。

鉄心1の磁界の強さH1は、μr1 = 2000より

 H1 = Φ/(2000μ0A)

空隙における磁界の強さH0は、

 H0 = Φ/(μ0A)

鉄心2の磁界の強さH2は、μr2 = 1000より

 H2 = Φ/(1000μ0A)

各部における磁界の強さの、H0に対する比を求めると、

 H1/H0 = 1/2000

 H0/H0 = 1

 H2/H0 = 1/1000

となります。

よって、この選択肢の図が正解となります。

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02

まずは問題を解くに当たって条件を整理していきます。

[鉄心1]‥I1=200mm、μr1=2000

[鉄心2]‥I2=98mm、μr2=1000

[空隙長]‥δ=1mm×2箇所

[鉄心1と2の共通項]‥断面積は同じ、漏れ磁束や空隙における磁束の広がりはない。

 

次に鉄心1と鉄心2の磁界の強さHの比H/H0を求めていきます。磁界の強さの公式は以下のようになります。

H[A/m]=B/μ=(Φ/A)/μ=Φ/μA‥①

※1.B:磁束密度[T]、Φ:磁束[Wb]、A:断面積[㎡]

※2.磁束密度B=Φ/A、①式に代入しています。

 

①式を利用して鉄心1と鉄心2のH0を求めます。ここで問題文より断面積は同じで漏れ磁束などもなく、比透磁率だけが相違しているので鉄心1と2のH0は次のようになります。

[鉄心1]‥H1Φ/2000A[A/m]=1/2000×(Φ/A)

[鉄心2]‥H2Φ/1000A[A/m]=1/1000×(Φ/A)

ここで、H/H0を求めますが問題文より空隙における磁界の強さH0に対する磁路に沿った磁界の強さHの比とあるので、H0=1と置くことができます。よって鉄心1と鉄心2の比は次のようになります。

[鉄心1]‥H1/H0=(1/2000)/1=0.0005=5×10-4

[鉄心2]‥H1/H0=(1/1000)/1=0.001=1

×10-3

さらに空隙長はδ=1mm時の比は次のようになります。

H/H0=1/1=1

 

以上より、整理すると次のようになります。

[x軸]I1=200mm時の比は5×10-4

[x軸]空隙長δ=1mm時の比は1=100

[x軸]I2=98mm時の比は1×10-3

[x軸]空隙長δ=1mm時の比は1=100

上記で求めた数値に見合うグラフを選択していきます。

それぞれの選択肢を見ていきましょう。

選択肢1. 解答選択肢の画像

I1=200mmの時は1×10-3、I2=98mmの時は5×10-4、空隙長δ=1mm時は100となっていますが、解説の冒頭の説明より、I1=200mmの時は5×10-4、I2=98mmの時は1×10-3、なのでこの選択肢は不適切です。

 

選択肢2. 解答選択肢の画像

I1=200mmの時は5×10-4、I2=98mmの時は1×10-3、空隙長δ=1mm時は100となっており、解説の冒頭の説明とも一致するのでこの選択肢は適切です。

選択肢3. 解答選択肢の画像

このグラフは100一定となっているのでこの問題のH/H0比としては不適切です。

選択肢4. 解答選択肢の画像

I1=200mmの時は1×103、I2=98mmの時は5×104、空隙長δ=1mm時は100となっていますが、解説の冒頭の説明より、I1=200mmの時は5×10-4、I2=98mmの時は1×10-3、なのでこの選択肢は不適切です。

選択肢5. 解答選択肢の画像

I1=200mmの時は1×103、I2=98mmの時は5×102、空隙長δ=1mm時は100となっていますが、解説の冒頭の説明より、I1=200mmの時は5×10-4、I2=98mmの時は1×10-3、なのでこの選択肢は不適切です。

まとめ

エアギャップのある磁気回路の問題となりますが、この問題は少し特殊な部類に入ると思いますので、学習がある程度身についてから、着手される事をお薦め致します。

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03

磁界の強さHは鉄心1、鉄心2、空隙で異なります。
求めるのは空隙における磁界の強さH0に対する磁路に沿った磁界の強さHの比ですので、空隙の比は1となります。

鉄心の磁界ですが、透磁率μと磁界の強さHは反比例するので

H=1/μ

鉄心1の磁界の強さH1は

H1=1/2000

H1=5×10^⁻4

鉄心2の磁界の強さH2は

H2=1/1000

H2=1×10^⁻3

よって、選択肢の【2】が正解となります。

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