第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
理論 問22

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 理論 問22 (訂正依頼・報告はこちら)

演算増幅器を用いた回路について、次の問に答えよ。

図2の回路は、図1の回路に、帰還回路として2個の5kΩの抵抗と2個の0.1µFのコンデンサを追加した発振回路である。発振の条件を用いて発振周波数の値f[kHz]を求め、最も近いものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
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この過去問の解説 (3件)

01

発振回路において、帰還電圧は入力電圧と同相でなければなりません。

入力電圧は抵抗成分しかないので、帰還電圧にも虚数部分がないということになります。

帰還電圧は、図2のvi(オペアンプの+につながる所)になるので、ここの電圧に虚数部分がなくなる周波数を求めます。

まず、計算を楽にするために記号を当てます。

上側で直列になっている0.1μFと5kΩをそれぞれC1、R1とし、

下側で並列になっている0.1μFと5kΩをそれぞれC2、R2とします。

R1とC1の合成インピーダンスZ1は、R1+(1/jωC1)

R2とC2の合成インピーダンスZ2は、R2/(1+jωR2C2)

viの値は分圧の法則により

 vi ={Z2/(Z1+Z2)}×vo

ここで、先ほど求めたインピーダンスを代入すると、

虚数部分は ωR1R2C2 − (1/ωC1) となります。

この値が0となる周波数fは、ω = 2πfより

 f ≒ 0.3[kHz]

となります。

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02

抵抗をR、リアクタンスをX、合成インピーダンスをZとすると帰還信号Viは

Vi=(Z/Z+R+X)×Vо

()内を計算し虚数部を求めます。計算を進めると

Z/Z+R+X=R/3R+j(ωCR^2+1/ωC)

ViとVоは同位相であるので、虚数部が0となります。

ωCR^2−1/ωC=0

ω^2=1/(CR)^2

ω=1/CR

2πf=1/CR

f=1/2πCR

この式に問題文に与えられている数値を代入します。

f=1/2π×0.1×10^-6×5×10^3

f=318

f≒0.3[kHz]

以上により、選択肢[2]が正解となります。





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03

前問(https://kakomonn.com/denken3/questions/39054)の非反転増幅回路に抵抗とコンデンサで構成される帰還回路を追加し、発振回路とした時の発振周波数の値f[kHz]を求める問題です。

 

発振条件は以下となります。

 ①帰還回路が正帰還(Aβ≧1)

 ※A:電圧増幅度、β:帰還率

 ②入力電圧Viと帰還電圧Vrが同相

 ※帰還電圧Vrとは、非反転増幅回路の出力電圧Voの一部を帰還回路を通して発生する電圧であり、非反転増幅回路の入力電圧Viと同相が条件です。

 

図2の回路に着目すると、入力電圧Viと帰還回路の並列部の抵抗とコンデンサが接地されていて同電位と言えます。この帰還回路の並列部にかかる電圧が帰還電圧Vrと言えます。

そのため、帰還電圧Vrを分圧の法則で求めていきます。

 

・Vr=(Z2/Z1+Z2)×Vo‥①

 ※Z1:インピーダンス(直列部)、Z2:インピーダンス(並列部)

 上記①式のままでは周波数は求められないので、一つずつ展開していきます。

 

・Z1=R+1/jωC[Ω]

・Z2=(R×1/jωC)÷(R+1/jωC)=(R/jωC)÷(1+jωCR/jωC)

  =R/1+jωCR[Ω]

上記で求めたインピーダンスを①式に代入します。

 

・Vr=(R/1+jωCR)÷{(R/1+jωCR)+R+1/jωC}×Vo‥②

 

上記②式の分母分子にそれぞれ【1+jωCR】をかけていきます。

・分子側=(R/1+jωCR)×【1+jωCR】=R

 

・分母側(第1項)=(R/1+jωCR)×【1+jωCR】=R

・分母側(第2項)=R×【1+jωCR】=R+jωCR2

・分母側(第3項)=1/jωC×【1+jωCR】=1+jωCR/jωC=1/jωC+CR/C

 

上記の結果をまとめると、次のようになります。

・Vr={R/R+R+jωCR2+(1/jωC)+(CR/C)}×Vo‥③

 

冒頭の発振条件②より入力電圧Viと帰還電圧Vrが同相である事が条件の為、負荷にリアクタンス成分を含まない事でもあり、上記③式から言えば虚数部が0という関係が必須といえます。

なので③式から虚数部を取りだした形を次に作ります。

 

・jωCR2+(1/jωC)=j(ωCR2-1/ωC)=0‥④

※ω=2πfより、上記④式を変形させて発振周波数を求めていきます。

 

・ωCR2-1/ωC=0

・ωCR2=1/ωC

・ω2C2R2=1

・ω2C2R2=1/C2R2

※平方根√をかけると次のようになります。

・ω=1/CR

※ω=2πfより

・2πf=1/CR

・f=1/2πCR[Hz]‥⑤

以上のような式が成り立ちますので、後は抵抗R=5KΩとコンデンサC=0.1μFを⑤式に代入します。

・f=1/2×π×5×103×0.1×10-6=1/3.14×10-3≒0.318×1030.3[kHz]

以上のようになります。

選択肢1. 0.2

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

選択肢2. 0.3

解説の冒頭の内容と一致するので適切です。

選択肢3. 0.5

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

選択肢4. 2

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

選択肢5. 3

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

まとめ

前問(a)と打って変わって、この問題はかなり難解な問題となります。問題を解くのに時間もかかりますし、電子回路への理解度もかなり深くないと厳しい問題と言えます。

 

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