第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
電力 問23

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 電力 問23 (訂正依頼・報告はこちら)

水力発電所に用いられるダムの種別と特徴に関する記述として、誤っているものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
  • 重カダムとは、コンクリートの重力によって水圧などの外力に耐えられるようにしたダムであって、体積が大きくなるが構造が簡単で安定性が良い。我が国では、最も多く用いられている。
  • アーチダムとは、水圧などの外力を両岸の岩盤で支えるようにアーチ型にしたダムであって、両岸の幅が狭く、岩盤が丈夫なところに作られ、コンクリートの量を節減できる。
  • ロックフィルダムとは、岩石を積み上げて作るダムであって、内側には、砂利、アスファルト、粘土などが用いられている。ダムは大きくなるが、資材の運搬が困難で建設地付近に岩石や砂利が多い場所に適している。
  • アースダムとは、士壌を主材料としたダムであって、灌漑用の池などを作るのに適している。基礎の地質が、岩などで強固な場合にのみ採用される。
  • 取水ダムとは、水路式発電所の水路に水を導入するため河川に設けられるダムであって、ダムの高さは低く、越流形コンクリートダムなどが用いられている。

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この過去問の解説 (4件)

01

1. 正しい記述です。重カダムは、貯水池からの水圧をコンクリートの重力によって支えるダムです。

2. 正しい記述です。アーチダムとは、貯水池からの水圧を両岸の岩盤で支えるようにアーチ型の構造をしたダムです。

3. 正しい記述です。ロックフィルダムとは、岩石を積み上げて作るダムです。

4. 誤った記述です。アースダムは、基礎の地質が軟弱な場所でも造ることができます。

5. 正しい記述です。取水ダムは、水路式発電所の水路に水を導入するため河川に設けられるダムであって、ダムの高さは低い特徴があります。

よって、この問題の正解は【4】となります。

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02

水力発電所に用いられるダムの種別と特徴に関する問題です。

選択肢1. 重カダムとは、コンクリートの重力によって水圧などの外力に耐えられるようにしたダムであって、体積が大きくなるが構造が簡単で安定性が良い。我が国では、最も多く用いられている。

正しいです。

重力ダムとは、コンクリートを大量に使ってダムの重量を上げ、水をせき止めるダムのことです。

選択肢2. アーチダムとは、水圧などの外力を両岸の岩盤で支えるようにアーチ型にしたダムであって、両岸の幅が狭く、岩盤が丈夫なところに作られ、コンクリートの量を節減できる。

正しいです。

アーチダムとは、ダムをアーチ型に湾曲させ、水圧をダム両側の岩盤に分散させる型式のダムのことです。

このため、重力ダムに比べコンクリートの量が少なくて済みますが、水圧に耐えられるほど強固な岩盤がある場所にしか建設できません。

選択肢3. ロックフィルダムとは、岩石を積み上げて作るダムであって、内側には、砂利、アスファルト、粘土などが用いられている。ダムは大きくなるが、資材の運搬が困難で建設地付近に岩石や砂利が多い場所に適している。

正しいです。

ロックフィルダムとは、岩石や砂利や砂などで作られたダムのことです。一般に、体積はコンクリートで作られたダムより大きくなります。

選択肢4. アースダムとは、士壌を主材料としたダムであって、灌漑用の池などを作るのに適している。基礎の地質が、岩などで強固な場合にのみ採用される。

誤りです。

アースダムとは、主に土で作られるダムのことです。重量としてはさほど大きくないので、基礎の地質が強固である必要はありません。

選択肢5. 取水ダムとは、水路式発電所の水路に水を導入するため河川に設けられるダムであって、ダムの高さは低く、越流形コンクリートダムなどが用いられている。

正しいです。

取水ダムとは、設問の通り、取水を目的として作られるダムのことです。

参考になった数2

03

ダムは大きく分けると、コンクリートダムとフィルダムに分かれます。
コンクリートダムはコンクリートを主な材料としたダムです。フィルダムは土や岩石、砂利を多く使うタイプのダムです。
ここで、それぞれの基礎地盤を考えた時、コンクリートダムの基礎地盤は、コンクリートを支えなければいけないので、基礎地盤が強固でないといけません。
それに比べてフィルダムはコンクリートを支えるわけではないので、基礎地盤が強固であることは求められていません。

問題文を確認すると、選択肢の1.2.5に関してはコンクリートダム、3.4に関してはフィルダムについての論説となります。

選択肢の4のアースダムはフィルダムです。基礎地盤が強固であることは求められていませんので、これが誤りとなります。

以上により、選択肢【4】が正解となります。


参考になった数2

04

水力発電に用いられるダム式発電とは、ダムによる川をせき止めて出来た落差を利用して発電する方式です。我が国では水資源が豊かな地の利を生かして明治時代から導入されており、近年では温室効果ガス削減の必要性から再生可能エネルギーの一つとして再注目されております。この問題では、そんな水力発電に用いられる各種ダムの特徴について誤った記述を選択する問題となります。

各選択肢を見ていきましょう。

選択肢1. 重カダムとは、コンクリートの重力によって水圧などの外力に耐えられるようにしたダムであって、体積が大きくなるが構造が簡単で安定性が良い。我が国では、最も多く用いられている。

わが国では地震が多く発生する事情から外力に耐えられ構造が簡単で安定性が良い重力ダムが採用されております。なのでこの記述は正しいので、問題の解答としては不適切です。

選択肢2. アーチダムとは、水圧などの外力を両岸の岩盤で支えるようにアーチ型にしたダムであって、両岸の幅が狭く、岩盤が丈夫なところに作られ、コンクリートの量を節減できる。

自然の地形の特徴を生かしたダムの一つでもあるアーチダムは、河川の岩盤が丈夫で堅固な場所に作られる事により、コンクリートの量を減らす事が出来、建設費を安く抑える事ができます。水圧などの外力を両岸の岩盤で支える形式で、コンクリートは河川を弧を描くように横断しているのが構造の特徴です。

なのでこの記述は正しいので、問題の解答としては不適切です。

選択肢3. ロックフィルダムとは、岩石を積み上げて作るダムであって、内側には、砂利、アスファルト、粘土などが用いられている。ダムは大きくなるが、資材の運搬が困難で建設地付近に岩石や砂利が多い場所に適している。

ロックフィルダムも自然の地形の利を生かしたダムと言えます。岩石を主材料としたダムで三層構造が最大の特徴であり、水を透さない粘土層のコア部を中央に据え、その周りを砂利で保護するフィルター層を挟んで、さらにその外側を岩石で支えるロック層で構成されます。非常に大きいダムとなりますが、岩石や砂利が多い場所に建設されるため、資材の運搬が困難であっても建設に適しています。

なのでこの記述は正しいので、問題の解答としては不適切です。

選択肢4. アースダムとは、士壌を主材料としたダムであって、灌漑用の池などを作るのに適している。基礎の地質が、岩などで強固な場合にのみ採用される。

アースダムは土を主材料としているダムで、不透水性の土壌を中央に据え、上流側では半透水性、下流側では透水性の土壌を用いる事で遮水と安定を得ています。コンクリートを主材料としていないため、建設費は安価に抑える事ができます。基礎の地質が、岩などで強固である必要性がありません

なのでこの記述は誤りで、問題の解答としては適切です

選択肢5. 取水ダムとは、水路式発電所の水路に水を導入するため河川に設けられるダムであって、ダムの高さは低く、越流形コンクリートダムなどが用いられている。

取水ダムは水路式発電所の水路に水を導入するため河川に設けられるダムで高さが低いのが特徴であり、重力式コンクリートダムの一種といえます。

なのでこの記述は正しいので、問題の解答としては不適切です。

まとめ

水力発電で「ダム」に関する問題は、あまり出題されていません。かなり専門的な知識を有しますので試験勉強という意味合いでは優先度は低めでもよろしいかと思います。

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