第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
電力 問41

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 電力 問41 (訂正依頼・報告はこちら)

特別高圧三相3線式専用1回線で、6000kW(遅れ力率90%)の負荷Aと3000kW(遅れ力率95%)の負荷Bに受電している需要家がある。次の問に答えよ。

需要家全体の合成力率を100%にするために必要な力率改善用コンデンサの総容量の値[kvar]として、最も近いものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
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この過去問の解説 (2件)

01

需要家全体の合成力率を100%にするためには、

コンデンサの無効電力は何kVarにすればよいかを問われています。

問題文の負荷Aと負荷Bはともに遅れ力率なので、遅れ位相です。

そして、コンデンサは進み位相なので、コンデンサの総容量の値を、

負荷Aの無効電力と負荷Bの無効電力の合計と

同じ値にすれば合成力率が100%になります。

電力には皮相電力(S)・無効電力(Q)・有効電力(P)の3種類があります。

それぞれは次の式で求めることができます。

S=V×I ーーー①

P=V×I×cosθ ーーー②

Q=V×I×sinθ ーーー③

②式より

P=V×I×cosθ

V×I=P/cosθ ---④

④式より

Q=V×I×sinθ=(P/cosθ)×sinθ ---⑤

それでは、無効電力Qを求めます。

⑤式を使ってQを求めていくのですが、そのためにはsinθが必要になります。

sinθの求め方は、三角関数の次式を使います。

cosθ^2+sinθ^2=1 --⑥

⑥式よりsinθは次の式で算出できます。

sinθ=√(1ーcosθ^2)---⑦

cosθは力率のことであり、問題文に記載してあります。

負荷AのQを求める場合は、cosθ=0.9になります。

負荷BのQを求める場合は、cosθ=0.95になります。

それでは、負荷Aの無効電力Qaを求めてみましょう。

(便宜上、負荷Aの無効電力をQaとしています)

⑦式より

sinθ=√(1ー0.9^2)=0.4359

⑤式より

Qa=(P/cosθ)×sinθ

負荷Aは6000kW(遅れ力率90%)なので、

P=6000、cosθ=0.9を代入します。

sinθ=0.4359を代入します。

Qa=6000/0.9×0.4359=2905.9≒2906kVar

次は、負荷Bの無効電力Qbを求めましょう。

⑦式より

sinθ=√(1ー0.95^2)=0.3122

⑤式より

Qa=(P/cosθ)×sinθ

負荷Bは3000kW(遅れ力率95%)なので、

P=3000、cosθ=0.95を代入します。

sinθ=0.3122を代入します。

Qb=3000/0.95×0.3122=985.8≒996kVar

Qa+Qb=2906+996=3902kVar

よって、「3900」が答えとなります。

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02

解答

負荷Aの無効電力Qa

Qa=6000×0.436/0.9=2905.9kVar

負荷Bの無効電力Qb

Qb=3000×0.312/0.95=986.1kVar

負荷の合計無効電力Q

Q=Qa+Qb=2950.9+986.1=3892kVar

よって投入するコンデンサ容量は最も近い3900kVarとなります。

解説

力率100%ということは需要家全体の無効電力が0ということです。

各負荷の力率は「遅れ」なので負荷は遅れ無効電力となります。つまり、負荷の合計遅れ無効電力と同容量のコンデンサ(進み無効電力)を投入したら良いことになります。

皮相電力S[VA]、有効電力P[W]、無効電力Q[Var]は

P=S×cosθ・・・・・(1)

Q=S×sinθ・・・・・(2)

の関係があるので、(1)式より

S=P/cosθ・・・・・(3)

(3)式を(2)式に代入すると

Q=P×sinθ/cosθ

と求められます。

なお、sinθは三角関数の公式 sinθ^2+cosθ^2=1を用いてsinθ=√(1-cosθ^2)と求めます。(「^2」は2乗を表します)

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