第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
電力 問42

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 電力 問42 (訂正依頼・報告はこちら)

特別高圧三相3線式専用1回線で、6000kW(遅れ力率90%)の負荷Aと3000kW(遅れ力率95%)の負荷Bに受電している需要家がある。次の問に答えよ。

力率改善用コンデンサの投入・開放による電圧変動を一定値に抑えるために力率改善用コンデンサを分割して設置・運用する。下図のように分割設置する力率改善用コンデンサのうちの1台(C1)は容量が1000kvarである。C1を投入したとき、投入前後の需要家端Dの電圧変動率が0.8%であった。需要家端Dから電源側を見たパーセントインピーダンスの値[%](10MV・Aベース)として、最も近いものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
ただし、線路インピーダンスXはリアクタンスのみとする。また、需要家構内の線路インピーダンスは無視する。
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この過去問の解説 (2件)

01

パーセントインピーダンス%Zを求める問題です。

電力会社(発電機)から送り出された電圧は、
送電経路のインピーダンスZ(経路インピーダンス)に電流が流れるため、
需要家端Dでは電圧降下しています。

この電圧降下による電圧変動率εが、
問題で問われているパーセントインピーダンス%Zになります。

電圧変動率は、次の式で求められます。

ε=p×cosθ+q×sinθ ---①
ε:電圧変動率
p:百分率抵抗降下(%抵抗降下)
q:百分率リアクタンス降下(%リアクタンス降下)

経路インピーダンスの
抵抗成分による電圧降下率がp(%抵抗降下)で、
リアクタンス成分による電圧降下率がq(%リアクタンス降下)です。

問題文に「経路インピーダンスXはリアクタンスのみ。また、需要家構内の線路インピーダンスは無視する。」とあります。
経路インピーダンスには抵抗成分がないので、

p=0 ーーー②

となります。

また、進み力率100%(cosθ=0)のコンデンサを投入するので、
三角定理のcosθ^2+sinθ^2=1より

sinθ=1 ---③

となります。

次に、「C1を投入したとき、投入前後の需要家端Dの電圧変動率が0.8%であった」とありますので、

ε=0.8 ---④

①式に、②・③・④を代入すると、

ε=p×cosθ+q×sinθ
0.8=0+q×1

q=0.8となります。

よって%Zは0.8となるのですが、
問題文で与えられている電圧降下率0.8は、
C1(1000kVar)を投入したときの電圧変動率です。

問題で問われているのは、
10MVA(10000kVA)ベースの電圧変動率ですので、

0.8%×(10000k/1000k)=8.0%

よって、「2」が正解となります。

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02

【解答】

電圧変動率の式

 ε=pcosθ+qsinθ[%]・・・・・(1)

を用います。

 ここで、p:百分率抵抗降下、q:百分率リアクタンス降下、cosθ:負荷の力率、sinθ:負荷の無効率です。

題意より線路インピーダンスはリアクタンスのみなので(1)式の第一項は無視できます。

よって(1)式は

 ε=qsinθ[%]・・・・・(2)

となります。

ここで題意より「C1を投入したとき、投入前後の需要家端Dの電圧変動率が0.8%であった。」とあるので電圧変動に関与したのは投入されたコンデンサのみであることがわかります。

コンデンサは進み力率100%なのでsinθ=sin(-90)=-1(遅れ無効電力を正としました)となりますが、電圧が上がったのか下がったのかを求めてはいないので|sinθ|=1とします。

以上のことを考慮し、(2)式に値を代入すると

 0.8=q×1[%]

よって

 q=0.8[%]

となります。

但し、求められているのは「10MV・Aベース」の%インピーダンスです。

上記は1000kvarのコンデンサ容量を基準としていますので10MV・A基準に変換すると

 q’=0.8×10×10^6/ (1000×10^3) = 8[%]

つまり答えは 8.00% になります。

【解説】

電圧変動率の式は

ε=pcosθ+qsinθ+(qcosθ-psinθ)^2/200[%]

が正しい式ですが第二項以降は値が小さく本問のように各答えが2%以上離れているような場合は大きく影響しないので時間短縮を図り、簡略式を用いました。

ここで、基準電流をIn[A]、基準電圧をVn[V]、抵抗をR[Ω]、リアクタンスをX[Ω]とすると、pとqはそれぞれ

 p=√3×In×R×100/Vn[%] 

 q=√3×In×X×100/Vn[%]

と表せます。

本問ではR=0なのでp=0となります。

基準容量の変換ではコンデンサを1000kvarとして計算しましたが、コンデンサは容量性リアクタンスのみで構成されており、力率は0%、無効率100%つまり、|sinθ|=1となるので無効電力=皮相電力×sinθから無効電力[var]=皮相電力[V・A]となるので10MV・Aとの計算にそのまま用いました。

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