第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
機械 問43

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 機械 問43 (訂正依頼・報告はこちら)

界磁に永久磁石を用いた小形直流電動機があり、電源電圧は定格の12V、回転を始める前の静止状態における始動電流は4A、定格回転数における定格電流は1Aである。定格運転時の効率の値[%]として、最も近いものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
ただし、ブラシの接触による電圧降下及び電機子反作用は無視できるものとし、損失は電機子巻線による銅損しか存在しないものとする。
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この過去問の解説 (2件)

01

解答
電源電圧をV=12[V]、始動電流をIs=4[A]、誘導起電力をE[V]、電機子巻線抵抗をRa[Ω]とすると、
V=E+Ra×Is
となります。ここで始動時はE=0なので
V=Ra×Is
よって電機子巻線抵抗Ra[Ω]は
Ra=V/Is=12/4=3[Ω]
となります。定格回転数における定格電流をIn=1[A]とすると、題意より損失は銅損のみなので効率η[%]は
η=(V×In-Ra×(In)^2)×100/(V×In)=(12×1-3×1×1)×100/(12×1)=75[%]
となりますので、答えは4番の75[%]です。

解説
直流機の誘導起電力E[V]は次式で表されます。
E=KφN[V]
K:定数、φ:磁束[Wb]、N:回転数[min^-1]です。
本問では界磁に永久磁石を使用しているのでφ=一定です。
つまり、誘導起電力E[V]は回転数N[min^-1]に比例します。
静止状態ではN=0のため、E=0となります。
効率η[%]は
出力/入力×100[%]・・・・・(1)
で求められますが、(1)式は以下のように表現することも出来ます。
出力/(出力+損失)×100[%]・・・・・(2)
(入力-損失)/入力×100[%]・・・・・(3)
効率を求める際にトルクなどの機械量を求めるより、電気量を求める方が簡単なので(2)式は発電機に、(3)式は電動機によく用いられます。
今回は(3)式を用いました。
また、本問では誘導起電力E[V]を求めませんでしたが、電機子巻線抵抗Ra[Ω]を求めた後、V=E+Ra×In
として誘導起電力E[V]を求め、
効率η[%]を
η=E×In/V×In×100[%]
としても求めることが出来ます。

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02

定格運転時の効率の値を問われている問題ですが、
電機子巻線抵抗Ra(Ω)と誘導起電力E(V)を
求めなければいけない問題です。

小形直流電動機の内部は電線が巻かれたコイルになっています。
巻かれたコイルには、抵抗成分とインダクタンス成分があります。

この抵抗成分が、電機子巻線抵抗Ra(Ω)です。
そして、電流が流れていると誘導起電力E(V)も起きます。

電機子巻線抵抗Ra(Ω)に小形直流電動機に電流
Isが流れると、
抵抗成分の電圧Vrが求められます。
Vr=Ra×Is ---①

小形直流電動機の電源電圧V(12V)は、
式①のVrと誘導起電力を足し算したものですので。

V=E+Vr=E+Ra×Is

小形直流電動機の電源電圧は、12Vなので、

12=E+Ra×Is ---②
となります。

この式②で、電機子巻線抵抗Ra(Ω)と誘導起電力E(V)を求めます。
ブラシの接触による電圧降下及び電機子反作用は無視できるので、損失は電機子巻線Ra(Ω)による銅損だけとなります。

まずは、始動時です。

始動時は、始動直前まで電動機には、電流が流れていない(電動機は回転していない)ので、
誘導起電力は起きません。

E=0(V)です。
誘導起電力は、電流が回転数が増えるとともに、
大きくなります。

問題文に、始動時の電流が4Aと記載してあるので、
式②に、E=0(V)とIs=4(A)を代入すると、
電機子巻線抵抗Ra(Ω)は、3Ωとなります。

12=0+Ra×4
Ra=3 ---③

この電機子巻線抵抗Ra(Ω)で消費される電力が、
問題文にある「電機子巻線による銅損銅損」です。
始動時は、電機子巻線抵抗でジュール熱となります。

次に、定格運転時です。

定格運転時の定格回転数における定格電流Isは1Aです。

Is=1A

電機子巻線抵抗Raは、始動時も定格運転時も3Ωです。

Ra=3Ω

始動時はE=0(V)でしたが、発電機は回転しているので、
誘導起電力は発生しています。


式②より
12=E+3×1
E=9

定格回転時の誘導起電力は、9Vです。

電源電圧12Vを入力していますが、
発電機を回転させている電圧は、9Vということです。
残りの3Vは、電機子巻線抵抗Raで電圧降下してます。

それでは、問題で問われている定格運転時の効率の値を求めます。
効率を求める式は、次式となります。

効率(%)=(出力電力/入力電力)×100

出力電力Poは、発電機の回転に使われているエネルギー(電力)です。
入力電力Piは、電源で使われているエネルギー(電力)です。

電力は、次の式で求められます。

P=V×I ーーー④

定格運転時のIは1Aです。
入力される電圧は12Vです。
回転(出力)電圧は、に使われるです。

式④より
Po=9V×1A=12W
Pi=12V×1A=9W

効率(%)=(出力電力/入力電力)×100 なので

(9/12)×100=75%

よって、「4」が答えとなります。

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