第三種電気主任技術者の過去問
平成29年度(2017年)
機械 問55

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問題

第三種 電気主任技術者試験 平成29年度(2017年) 機械 問55 (訂正依頼・報告はこちら)

誘導加熱に関する記述として、誤っているものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
  • 産業用では金属の溶解や金属部品の熱処理などに用いられ、民生用では調理加熱に用いられている。
  • 金属製の被加熱物を交番磁界内に置くことで発生するジュール熱によって被加熱物自体が発熱する。
  • 被加熱物の透磁率が高いものほど加熱されやすい。
  • 被加熱物に印加する交番磁界の周波数が高いほど、被加熱物の内部が加熱されやすい。
  • 被加熱物として、銅、アルミよりも、鉄、ステンレスの方が加熱されやすい。

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この過去問の解説 (2件)

01

解答
(4)が間違いです。
誘導加熱とは磁界中に導体を置き、渦電流損やヒステリシス損を発生させて加熱する方法です。
物体への電流浸透の深さをσ、比熱物の透磁率をμ、抵抗率をρ、周波数をfとすると
σ=√(ρ/(μ・f))
となります。よって、周波数が高い程、加熱されにくくなりますので4番が間違いです。

(1)は正しいです。
民間用ですとIHの調理器具が誘導加熱を使用しています。

(2)は正しいです。
問題文の通りです。

(3)は正しいです。
解答の式の通り、電流浸透の深さは透磁率に反比例しますので高い程加熱されやすいです。

(5)は正しいです。
銅、アルミよりも鉄、ステンレスの方が抵抗率が高く、透磁率が低いため、後者の方が加熱されやすいです。

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02

誘導加熱は、コイルに電流を流したときに発生する磁力線を利用します。
コイルの内側に被加熱物となる金属を置くと、
磁束の変化を妨げる方向にうず電流が流れます。
被加熱物の金属には電気抵抗があるため、
うず電流でジュール熱が発生して金属が自己発熱します。


1.産業用では金属の溶解や金属部品の熱処理などに用いられ、民生用では調理加熱に用いられている。

非接触で非加熱物(金属)そのものを加熱するので、熱損失が小さい方式です。
産業用では、ろう付や溶解、焼入れなどに利用されています。
民生用では、IHのコンロに利用されています。

(1)は正しいです。


2 .金属製の被加熱物を交番磁界内に置くことで発生するジュール熱によって被加熱物自体が発熱する。

交番磁界の中に金属をいれると、その磁界をエネルギーにして金属が発熱します。

(2)は正しいです。


3 .被加熱物の透磁率が高いものほど加熱されやすい。

磁界をエネルギーにして発熱するので、透磁率が高いものほど加熱されます。

(3)は正しいです。


4 .被加熱物に印加する交番磁界の周波数が高いほど、被加熱物の内部が加熱されやすい。

被加熱物が小さければ高い周波数で加熱します。
反対に被加熱物が大きければ、高い周波数だと表皮効果で内部まで加熱できません。
被加熱物が大きい場合は、低い周波にしなければなりません。

(4)は間違いです。


5 .被加熱物として、銅、アルミよりも、鉄、ステンレスの方が加熱されやすい。

うず電流が多く発生する鉄やステンレスの方が加熱されやすいです。

(5)は正しいです。


よって、誤っているものは(4)になります。

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