第三種電気主任技術者の過去問
令和元年度(2019年)
電力 問30
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問題
第三種 電気主任技術者試験 令和元年度(2019年) 電力 問30 (訂正依頼・報告はこちら)
図1のように、定格電圧66kVの電源から三相変圧器を介して二次側に遮断器が接続された三相平衡系統がある。三相変圧器は定格容量7.5MV・A、変圧比66kV/6.6kV、百分率インピーダンスが自己容量基準で9.5%である。また、三相変圧器一次側から電源側をみた百分率インピーダンスは基準容量10MV・Aで1.9%である。過電流継電器(OCR)は変流比1000A/5Aの計器用変流器(CT)の二次側に接続されており、整定タップ電流値 5A、タイムレバー位置 1に整定されている。図1のF点で三相短絡事故が発生したとき、過電流継電器の動作時間[s]として、最も近いものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
ただし、三相変圧器二次側からF点までのインピーダンス及び負荷は無視する。また、過電流継電器の動作時間は図2の限時特性に従い、計器用変流器の磁気飽和は考慮しないものとする。
ただし、三相変圧器二次側からF点までのインピーダンス及び負荷は無視する。また、過電流継電器の動作時間は図2の限時特性に従い、計器用変流器の磁気飽和は考慮しないものとする。
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この過去問の解説 (2件)
01
【解説】
リレー整定検討をするときの実務に近く、とても良い問題です。今回は実務と同じ手順で解いてみます。
【問題を解くためだけの目的で考えると無駄な計算もありますが、%インピーダンス法(≒pu法)の計算を理解する助けになると思います】
リレー整定検討の実務では、主に下記の手順で計算していきます。
1、基準値の制定
2、基準容量換算
3、故障計算(今回は三相短絡電流)
4、変流器二次側換算
5、リレー整定検討(今回はリレー動作時間検討)
【計算】
1、基準値の制定(1pu=100%の時の実値です)
・PN=10[MVA]
・VN=6.6[kV]
・IN=PN/(√3VN)=10000/(√3*6.6)≒874.77[A]
・ZN=PN/VN^2=10/6.6^2≒0.229[Ω]
2、基準容量換算
・電源側%ZL=1.9[%]
・変圧器%ZT=9.5*10/7.5≒12.67[%]
3、故障計算(三相短絡電流IS)
・ISpu=%V/%Z=100/(1.9+12.67)≒6.86[pu]
・IS=ISpu*IN=6.86*874.77≒6000[A]
4、変流器二次側の短絡電流is
・is=IS*5/1000=6000*5/1000=30[A]
5、リレー整定検討(リレー動作時間検討)
・整定タップ5 より
IS/5=30/5=6[倍]
・表より、タイムレバー10の時の動作時間は
3.8[s]
・タイムレバー1の時の動作時間は
3.8/10=0.38[s]
となります。
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02
今回は10[MV・A]を基準にします。変換式は次のようになります。
%Z(変圧器)=%Z(旧基準容量)×新基準容量/旧基準容量
=9.5×10[MV・A]/7.5[MV・A]=12.67[%]
これより、系統図全体の%インピーダンスZは次のように求められます。
%Z=%Z(一次側)+%Z(変圧器)
=1.9+12.67
=14.57[%]
次に、定格電流Iを求めます。
P=√3×V×I
問題文より、基準容量P=10[MV・A]および変圧器の二次側電圧6.6[kV]を用いて、電流Iについてとくと、
I=P/(√3×V)
=10×10^6[V・A]/(√3×6.6×10^3[V])
=874.8[A]
ここで、%Z、電流I、短絡電流Isの関係式を利用して短絡電流Isを求めます。
%Z=I/Is×100
これを短絡電流Isについてとくと、
Is=I/%Z×100
ここに、先程求めた系統図全体の百分率インピーダンス%Zおよび電流Iを代入すると、短絡電流Isは下記のように求めることができます。
Is=874.8/14.57×100
≒6004[A]
問題文より、過電流継電器(OCR)は変流比1000[A]/5[A]の計器用変流器(CT)の二次側に接続されています。
この変流比1000[A]/5[A]を用いて計器用変流器(CT)の二次側の電流Ict2を求めると、次のようになります。
6004×5/1000=30[A]
問題文より、整定タップ電流値は5[A]です。これと求めたCT二次側電流Ict2を比較すると、6倍です。
図2を見ると、整定タップ電流の倍数が6のとき、3.5[s]と4.0[s]の間であることがわかります。
よって、(3)が正解です。
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