第三種電気主任技術者の過去問
令和元年度(2019年)
電力 問31

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和元年度(2019年) 電力 問31 (訂正依頼・報告はこちら)

架空送電線路の構成部品に関する記述として、誤っているものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
  • 鋼心アルミより線は、アルミ線を使用することで質量を小さくし、これによる強度の不足を、鋼心を用いることで補ったものである。
  • 電線の微風振動やギャロッピングを抑制するために、電線にダンパを取り付け、振動エネルギーを吸収する方法がとられる。
  • がいしは、電線と鉄塔などの支持物との間を絶縁するために使用する。雷撃などの異常電圧による絶緑破壊は、がいし内部で起こるように設計されている。
  • 送電線やがいしを雷撃などの異常電圧から保護するための設備に架空地線がある。架空地線には、光ファイバを内蔵し電力用通信線として使用されるものもある。
  • 架空送電線におけるねん架とは、送電線各相の作用インダクタンスと作用静電容量を平衡させるために行われるもので、ジャンパ線を用いて電線の配置を入れ替えることができる。

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この過去問の解説 (2件)

01

1、アルミは銅に比べて軽く安価で、かつ比較的導電率が大きいので電線に用いられます。質量が軽い分の強度を補うために鋼心で補強しています。正しい。

2、電線の微風振動とは、風速5m/s以下の水平方向の風が電線に当たった時、電線の背に渦が生じて電線が鉛直方向に振動を起こす現象。

ギャロッピングとは、電線に付着した氷や雪に横風が当たった時、電線をもちあげようとする力が働いて電線が上下する現象のことです。

ダンパを取り付けて振動エネルギーを吸収するのは有効な対策です。正しい。

3、がいしは電線とその支持物間を絶縁するためのものであり、場合によってはがいしを連ねて絶縁性を確保しています。

しかし、雷などの異常電圧には耐えるにはいくら数があっても不十分で絶縁破壊の恐れがあります。そのため、がいしの両端にアークホーンと呼ばれる器具を取り付けてがいしではなく空気中でアーク放電させてがいしを保護しています。

がいし内部で絶縁破壊が起こるという部分が誤り。

4、架空地線は雷撃から配電線や送電線を保護する役割を有しており、雷撃遮蔽のため電線上部に配置されています。すなわち直撃雷が送電線に当たる前に架空地線で受けて地面に流して送電線を保護しています。

光ファイバーは電磁界の影響を受けないため安定した通信が可能なため、架空地線内部に光ファイバーを通して通信機能を付与した架空地線も登場、普及しています。正しい。

5、交流送電線路において、電力線に近接する通信線に障害が生じることがあります。この原因は、電力線が地絡事故時の相互インダクタンスの不平衡や静電誘導により通信線に電圧を誘導することにあります。

電力線をねん架することは、架空送電線路の各相のインダクタンスや静電容量の不平衡を解消する有効な対策の一つです。正しい。

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02

誤っている記述は3番です。

雷撃などの異常電圧による絶縁破壊は、がいし内部ではなく、アークホーンで起こるように設計されています。

がいし内部が絶縁破壊してしまうと、そのがいしを取り換えない限り、当該線路を充電させることはできなくなります。

これを防ぐために、がいしの両端にアークホーンと呼ばれる金属を設け、雷撃などの異常電圧を、このアークホーンで放電(フラッシオーバー)させます。
これにより、がいしの絶縁破壊を防ぐように設計されています。


1.鋼芯アルミより線に関する正しい記述です。

2.電線の微風振動やギャロッピングの抑制に関する正しい記述です。

3.先に述べたように、誤った記述です。

4.架空地線に関する正しい記述です。

5.ねん架に関する正しい記述です。

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