第三種電気主任技術者の過去問
令和元年度(2019年)
電力 問32

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和元年度(2019年) 電力 問32 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章は、コロナ損に関する記述である。

送電線に高電圧が印加され、( ア )がある程度以上になると、電線からコロナ放電が発生する。コロナ放電が発生するとコロナ損と呼ばれる電力損失が生じる。そこで、コロナ放電の発生を抑えるために、電線の実効的な直径を( イ )するために( ウ )する、線間距離を( エ )する、などの対策がとられている。コロナ放電は、気圧が( オ )なるほど起こりやすくなる。

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の( 1 )~( 5 )のうちから一つ選べ。
  • ( ア )電流密度  ( イ )大きく  ( ウ )単導体化  ( エ )大きく  ( オ )低く
  • ( ア )電線表面の電界強度  ( イ )大きく  ( ウ )多導体化  ( エ )大きく  ( オ )低く
  • ( ア )電流密度  ( イ )小さく  ( ウ )単導体化  ( エ )小さく  ( オ )高く
  • ( ア )電線表面の電界強度  ( イ )小さく  ( ウ )単導体化  ( エ )大きく  ( オ )低く
  • ( ア )電線表面の電界強度  ( イ )大きく  ( ウ )多導体化  ( エ )小さく  ( オ )高く

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この過去問の解説 (2件)

01

正しい組み合わせは、2番です。

(ア)
コロナ放電は、「電線表面の電界強度」がある程度以上になると発生します。
この電界強度をコロナ臨海電圧といい、標準状態の大気中では波高値で30〔kV/cm〕です。

(イ)
コロナ放電の発生を抑えるためには、電線の表面積を「大きく」し、電線表面の電気力線の密度(=電界強度)を小さくする必要があります。
よって、電線の実効的な直径は「大きく」することを目指します。

(ウ)
電線の実効的な直径(表面積)を大きくするためにとられる対策が「多導体化」です。複数の導体間にスペーサーを設け、同一方向の電流による電磁力で、接触しないようにしています。
接触してしまうと、実効的な電線の表面積が小さくなってしまい、多導体化のメリットが少なくなってしまうためです。

(エ)
線間距離[m]を「大きく」することによって、電界強度[V/m]は小さくなります。電界強度が小さくなればコロナ放電の発生を抑えやすくなります。

(オ)
コロナ放電は、気圧が「低い」ほど、発生しやすくなります。これは、気圧が下がることにより、電子が衝突する、他の気体分子が減って移動しやすくなるためです。

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02

正解は2です。

ア、コロナ放電は高電圧が印加された時に電線表面で音と光を発する放電現象です。そのため、正しい選択肢は電線表面の電界強度です。

電圧を上げるとオームの法則から電流は小さくなるので、電流密度は小さくなります。そこから消去法で電線表面の電界強度を選んでもOKです。

イ、コロナ放電の対策としては、電線表面の電界強度を小さく(一般的に30kV/cm以下)とすることが重要です。

表面の電界強度を小さくするにはケーブル表面積を大きくすればよいので、ケーブル直径を大きくするのが正しいです。

ウ、ケーブル直径を大きくするために、ケーブルを多導体化するのが一般的です。多導体にするのは、同じ面積のケーブル(単導体)に比べて、送電容量を大きくとれるためです。

エ、コロナ放電対策のためには電界強度を小さくすることが重要です。電界強度の単位はkV/cmなので、電界強度を小さくするには線間強度を大きくすればよいことがわかります。

オ、気圧が低くなるということは空気中の分子の数が少なくなっているということです。分子の数が減ると電子が分子に衝突する回数が減り、コロナ放電を起こすのに十分なエネルギーを持っているということになります。

したがって気圧が低いほど、コロナ放電が発生しやすくなります。

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