第三種電気主任技術者の過去問
令和2年度(2020年)
電力 問23
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問題
第三種 電気主任技術者試験 令和2年度(2020年) 電力 問23 (訂正依頼・報告はこちら)
ダム水路式発電所における水撃作用とサージタンクに関する記述として、誤っているものを次の選択肢の中から一つ選べ。
- 発電機の負荷を急激に遮断又は急激に増やした場合は、それに応動して水車の使用水量が急激に変化し、流速が減少又は増加するため、水圧管内の圧力の急上昇又は急降下が起こる。このような圧力の変動を水撃作用という。
- 水撃作用は、水圧管の長さが長いほど、水車案内羽根あるいは入口弁の閉鎖時間が短いほど、いずれも大きくなる。
- 水撃作用の発生による影響を緩和する目的で設置される水圧調整用水槽をサージタンクという。サージタンクにはその構造・動作によって、差動式、小孔式、水室式などがあり、いずれも密閉構造である。
- 圧力水路と水圧管との接続箇所に、サージタンクを設けることにより、水槽内部の水位の昇降によって、水撃作用を軽減することができる。
- 差動式サージタンクは、負荷遮断時の圧力増加エネルギーをライザ(上昇管)内の水面上昇によってすばやく吸収し、そのあとで小穴を通してタンク内の水位をゆっくり通常のタンク内水位に戻す作用がある。
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この過去問の解説 (2件)
01
[1]正しいです。
水の流速が急激に変化すると、水圧管内の圧力の急変動がおきます。
これを水撃作用と呼びます。
[1]の文章はその説明として正しいです。
[2]正しいです。
長さが長くなるほど、水の体積が大きく、
慣性も大きく働くことから、水撃作用が大きくなります。
また、弁の閉鎖が短時間であれば、水の流速の変動も急激となり、
水撃作用は大きく働くことになります。
[3]誤りです。
サージタンクには、弁の閉鎖により、
せき止められた水の圧力を逃がすという目的があり、
そのために密閉構造は採用されません。
「差動式」「小孔式」「水室式」等は存在しますが、
それぞれの違いよりも、密閉構造であるかどうかが、
この問の正誤を見分けるポイントです。
[4]正しいです。
サージタンクは、その水位を上下させることにより、
水圧管内の圧力変動を抑え、水撃作用を軽減するものです。
[5]正しいです。
差動式サージタンクは、ライザと呼ばれる管内の
水位変化を利用するもので、問題文の通りです。
全体を通して、[5]は細かい内容で、正答であるかどうかを判別しづらいですが、
この内容の理解度を問うより、明らかに間違いである[3]に
気が付くことが出来るかを確認されていると言えるでしょう。
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02
正解は3です。
水撃作用とは、配管内を流れる水の速度が急激に変化することにより、管内の圧力が過度に上昇、下降する現象です。
バルブを閉めたときや、ポンプが急停止したときなどに、水の慣性で管内に衝撃と高水圧が発生し、管路内の設備に破損が生じることがあります。
それを回避するためにサージタンクを設け、配管内の水量速度が急激に変化しないように、水量を調節します。
1.→ 正しいです。
水撃作用とは、配管内を流れる水の速度が急激に変化することにより、管内の圧力が過度に上昇、下降する現象です。
2.→ 正しいです。
弁を閉めると、管路の圧力波が伝播します。
弁に流れがあるとき(管がタンクなどの開放端に接続されているとき)、圧力波は弁を閉めると、開放端に向かて進み、Uターンして戻ってきます。
弁の開閉速度が、圧力波が戻ってくる時間よりも早いとき、圧力上昇、下降を抑制できません。
また、圧力波の戻ってくる速さは、管の長さに相対して決まります。
よって、管の長さが長い方が、また、弁の閉鎖時間が早い方が、水撃作用は大きくなります。
3.→ 誤りです。
サージタンクは、水量速度が急激に変化しないよう、水量調整をおこなうために設けます。
サージタンクには、「単動型」「差動型」「制水孔型」「水室型」などがあります。
単動型:管路に径の太い管を接続したサージタンクです。サージを水位の上下によって吸収します。ただし条件によっては共振を起こす可能性があります。
差動型:サージタンク内に、径の細い単動型サージタンク(ライザ)を設けたサージタンクです。ライザーの方が先に水位が変化し、ディファレンシャルタンク(ライザを除いた部分)が遅れて水位が変化します。
制水孔型:単動型サージタンクの、管路とサージタンクの接続部にサージタンク径よりも小さい孔(ポート)を設けたサージタンクです。
水室型:単動型サージタンクの途中に空間(水室)を設けたサージタンクです。
4.→ 正しいです。
サージタンクの水位が上下することにより、圧力変動を抑える効果があります。
5.→ 正しいです。
サージタンク内に、径の細い単動型サージタンク(ライザ)を設けてあるため、ライザの水位が先に変化します。
よって、タンクの水位変化を小さくする効果があります。
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