第三種電気主任技術者の過去問
令和2年度(2020年)
電力 問38

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第三種 電気主任技術者試験 令和2年度(2020年) 電力 問38 (訂正依頼・報告はこちら)

ある河川のある地点に貯水池を有する水力発電所を設ける場合の発電計画について、次の問に答えよ。

この水力発電所の最大使用水量を250[m3/s]とし、有効落差100m、水車と発電機の総合効率を80%、発電所の年間の設備利用率を60%としたとき、この発電所の年間発電電力量の値[kW・h]に最も近いものを次の選択肢の中から一つ選べ。
  • 100000000
  • 400000000
  • 700000000
  • 1000000000
  • 1300000000

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

こういった計算問題において、

参考書等では、以下のような年間発電電力量を求める式があります。

 年間発電電力量[kWh] = 発電機出力[kW] × 365 × 24 × 設備利用率[kWh]

ここで発電機出力は、

 発電機出力[kW] = 9.8 × 発電使用水量[m3/s] × 有効落差[m] × 総合効率

です。

しかし、これらは公式として覚えるほどの難解な成り立ちではなく、

内容を理解すれば、わざわざ暗記するような式ではありません。

発電機の出力は、水の位置エネルギーから求められるものであり、

1秒間における水量は、発電使用水量249.7m3/s(第53787問より)

より、249.7m3です。

ここで、水の1m3における単位重量 1000kg/m3 から、

この水量の重量は 249.7 × 1000 kg です。

よって、

エネルギー W = m g H

 = 249.7 × 1000 × 9.8[m/s2] × 100[m]

 = 2447.06 × 105 [W]

 = 244706 [kW]

ここで、総合効率が0.8であることから、

発生するエネルギー全てを得ることはできません。

出力としては、

 244706 [kW] × 0.8

  = 195764.8 [kW]

となります。

これは1秒あたりの電力量です。

年間発電電力量をkWhの単位で求めるには、

1年分の時間を掛ける必要があります。

また、設備の利用率が60%であることも考慮する必要があります。

よって、

 年間発電電力量

  = 195764.8 kW × 365[日] × 24[h] × 0.6

  = 1028939788 [kWh]

  ≒ 1029000000 [kWh]

と求められます。

問題の選択肢のうち、最も近いのは[4]です。

以上のように順を追って、その意味を理解していれば、

公式として覚える必要はなく、間違いも防ぐことができます。

参考になった数2

02

正解は4です。

発電機の最大出力PG[kW]は、下記の式で求めることができます。

 PG = 9.8 × Q × H × ηT × ηG

    〔 Q:最大使用水量[m3/s] H:有効落差[m] ηT:総合効率 ηG:発電機効率 〕

よって、

 PG = 9.8 × 250 × 100 × 0.8 = 196000 [kW]

ここで、施設の利用程度を表す発電所の年間設備利用率をα [%]とすると、 α[%] は下記の式で求めることができます。
 α = {年間電力量[kWh] / (PG×365×24)} × 100 [%]

これより年間電力量は次の式で求めることができます。
 年間電力量[kWh] = (PG×365×24×α) / 100  ・・・①

問題文より、発電所の年間設備利用率は α = 60[%] なので、①の式に代入し、年間電力量を求めると、下記のようになります。
 年間電力量[KWh] = (PG × 365 × 24 × α) / 100

         = (196000 × 365 × 24 × 60) / 100

         = 1030176000[kWh]

         ≓ 1000000000[kWh]


以上より、4 の「1,000,000,000」が正解となります。

参考になった数1