第三種電気主任技術者の過去問
令和2年度(2020年)
機械 問49
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問題
第三種 電気主任技術者試験 令和2年度(2020年) 機械 問49 (訂正依頼・報告はこちら)
電動機と負荷の特性を、回転速度を横軸、トルクを縦軸に描く、トルク対速度曲線で考える。電動機と負荷の二つの曲線が、どのように交わるかを見ると、その回転数における運転が、安定か不安定かを判定することができる。誤っているものを次の選択肢の中から一つ選べ。
- 負荷トルクよりも電動機トルクが大きいと回転は加速し、反対に電動機トルクよりも負荷トルクが大きいと回転は減速する。回転速度一定の運転を続けるには、負荷と電動機のトルクが一致する安定な動作点が必要である。
- 巻線形誘導電動機では、回転速度の上昇とともにトルクが減少するように、二次抵抗を大きくし、大きな始動トルクを発生させることができる。この電動機に回転速度の上昇とともにトルクが増える負荷を接続すると、両曲線の交点が安定な動作点となる。
- 電源電圧を一定に保った直流分巻電動機は、回転速度の上昇とともにトルクが減少する。一方、送風機のトルクは、回転速度の上昇とともにトルクが増大する。したがって、直流分巻電動機は、安定に送風機を駆動することができる。
- かご形誘導電動機は、回転トルクが小さい時点から回転速度を上昇させるとともにトルクが増大、最大トルクを超えるとトルクが減少する。この電動機に回転速度でトルクが変化しない定トルク負荷を接続すると、電動機と負荷のトルク曲線が2点で交わる場合がある。この場合、加速時と減速時によって安定な動作点が変わる。
- かご形誘導電動機は、最大トルクの速度より高速な領域では回転速度の上昇とともにトルクが減少する。一方、送風機のトルクは、回転速度の上昇とともにトルクが増大する。したがって、かご形誘導電動機は、安定に送風機を駆動することができる。
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この過去問の解説 (2件)
01
正解は4です。
1 .→適切です
電動機トルクは回転させようとする力で、負荷トルクは電動機を止めようとする力です。
トルク対速度曲線より、負荷と電動機トルクが一致する交点で回転が安定します。
2 .→適切です
巻線形誘導電動機は、比例推移により始動時に最大トルクを発生することができます。
この電動機に回転速度上昇とともにトルクが増える負荷を接続すると、両曲線の交点が安定な動作点となります。
3 .→適切です
電源電圧が一定であれば直流分差電動機のトルクは負荷電流に比例するので、回転速度の上昇とともに負荷電流が小さくなってトルクが減少します。
4 .→不適切です
トルク対速度曲線より、電動機と負荷のトルク曲線にて運転中に回転速度が上昇すると、負荷トルクよりも電動機トルクの方が大きいのでさらに加速してしまいます。
電動機トルクが上がった曲線と負荷トルクとの交点では安定な動作点とはなりません。
最大トルクに到達後 電動機トルクが下がった曲線と負荷トルクとの交点では安定な動作点となります。
5 .→適切です
かご形誘導電動機で送風機を駆動する場合は、最大トルクを発生する回転速度より大きい速度の場合には安定運転が可能になります。
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02
[1]正しいです。
縦軸トルクと横軸回転数の特性図をイメージすると分かりやすいです。
右肩上がりの負荷トルクと、
右肩下がりの電動機トルクを考えると、
この交点で動作が安定します。
[2]正しいです。
巻線形誘導電動機において、二次抵抗の調整により、
トルク曲線を変形させることができます。
始動時(すべりsが1に近い時)に、大トルクが発生するような曲線と、
滑りが0に近づくにつれて負荷トルクが上昇する曲線を
イメージすると、その交点が安定な動作点です。
[3]正しいです。
[1]の実際の動作イメージの例と言えます。
[4]誤りです。
かご型誘導電動機のトルク曲線は、
停止時(s = 1)から同期速度に近づくにつれて徐々にトルクが上がり、
停動トルク(最大トルク)に到達すると、
その後はトルクが急激に落ちていきます。
トルク一定の負荷として、この曲線に水平線を引き、
2点で交わる状態を考えてみます。
すると、停止時(s = 1)では、
電動機トルクは、水平線(負荷トルク)を下回ります。
よって始動することができず、安定動作点はありません。
[5]正しいです。
イメージは[1]と同じです。
よって、[4]が正解です。
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