第三種電気主任技術者の過去問
令和2年度(2020年)
機械 問50

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和2年度(2020年) 機械 問50 (訂正依頼・報告はこちら)

変圧器の構造に関する記述として、誤っているものを次の選択肢の中から一つ選べ。
  • 変圧器の巻線には軟銅線が用いられる。巻線の方法としては、鉄心に絶縁を施し、その上に巻線を直接巻きつける方法、円筒巻線や板状巻線としてこれを鉄心にはめ込む方法などがある。
  • 変圧器の鉄心には、飽和磁束密度と比透磁率が大きい電磁鋼板が用いられる。この鋼板は、渦電流損を低減するためケイ素が数%含有され、さらにヒステリシス損を低減するために表面が絶縁皮膜で覆われている。
  • 変圧器の冷却方式には用いる冷媒によって、絶緑油を使用する油入式と空気を使用する乾式、さらにガス冷却式などがある。
  • 変圧器油は、変圧器本体を浸し、巻線の絶縁耐力を高めるとともに、冷却によって本体の温度上昇を防ぐために用いられる。また、化学的に安定で、引火点が高く、流動性に富み比熱が大きくて冷却効果が大きいなどの性質を備えることが必要となる。
  • 大型の油入変圧器では、負荷変動に伴い油の温度が変動し、油が膨張・収縮を繰り返すため、外気が変圧器内部に出入りを繰り返す。これを変圧器の呼吸作用といい、油の劣化の原因となる。この劣化を防止するため、本体の外にコンサベータやブリーザを設ける。

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この過去問の解説 (2件)

01

[1]正しいです。

巻線には軟銅線が用いられ、

鉄心に絶縁を施し、その上から巻線を直接巻く方法と、

円筒巻線や板状巻線を鉄心にはめ込む方法があります。

[2]誤りです。

問題文は「ヒステリシス損」と「渦電流損」が逆になっています。

ヒステリシス損を小さくするために、透磁率の高いケイ素を加えます。

一方で、誘導起電力によって発生する渦電流に由来する、

ジュール熱のエネルギー損失を渦電流損といいます。

これを低減させるためには、薄い鋼板に絶縁皮膜で覆い、

積み重ねた積層鉄心を使用します。

結果、渦電流を小さくし、損失を低減させることが出来ます。

[3]正しいです。

冷却方式は、絶縁油を用いた油入式、空気による乾式、ガス冷却式に分けられます。

ガス冷却式では、不燃性ガスである六フッ化硫黄(SF6)が使われます。

[4]正しいです。

比熱が大きいということは、温度を上げるために沢山の熱が必要ということです。

つまり、温度上昇が起きづらい=冷却効果が高いというわけです。

また、粘度が小さい、つまり流動性が高いほど、熱の拡散に有利です。

[5]正しいです。

大型の油入変圧器は、油温の変動による油の膨張収縮から、

容器が開放されていると外気が変圧器内に出入りすることになります。

外気から湿気が取り込まれると、絶縁油の劣化に繋がります。

この対策として、コンサベータや、吸湿呼吸器(ブリーザ)が設置されます。

よって、正解は[2]です。

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02

正解は2です。

1 .→ 正しいです。

巻線には、軟銅線が用いられ、小容量の変圧器では細い丸線、中容量および大容量の変圧器では、平角裸銅線に絶縁を施したものが用いられています。
巻線の方法には、小容量の変圧器では、鉄心に絶縁を施し、その上に巻線を直接巻きつける方法が用いられ、中容量および大容量の変圧器では、円筒巻線や板状巻線として、これを鉄心にはめ込む方法が用いられます。
なお、巻線を鉄心に対して配置する場合、一次巻線と二次巻線の間、巻線と鉄心の間にラフト紙を巻いてフェノール樹脂で固めた絶縁筒などで絶縁を施します。


2 .→ 誤りです。

変圧器の鉄心には、飽和磁束密度と透磁率が大きく、鉄損の少ない材料が用いられます。
ヒステリシス損を減少させるため、ケイ素を数%程度含有させたの電磁鋼板が用いられます。
電磁鋼板は、一方向だけ磁束を通しやすい性質があり、1枚ずつ電磁鋼板の表面に絶縁皮膜が施してあるため、渦電流が流れるのを防き、温度上昇を抑えます。


3 .→ 正しいです。

変圧器の冷却方式は大きく分けて2種類あり、絶縁油に浸して冷却する「油入式」と、空気やガスで冷却する「乾式」があります。
なお乾式には、モールド形、耐熱クラスHの絶縁物を使ったもの、ガス絶縁などの種類があります。


4 .→ 正しいです。

変圧器油とは、変圧器の絶縁と冷却を確保するために用いられる絶縁油のことで、鉱油から分留、精製したものが使用されています。

変圧器油には、下記のような特性が必要です。

・絶縁破壊電圧が大きい。
・流動性がある。
・引火点が高い。
・酸化しにくい。


5 .→ 正しいです。

油入変圧器の絶縁油は、変圧器本体で発生する熱や外気温の変動により、膨張または収縮をします。

絶縁油の膨張・収縮による体積変化を、空気の流出・流入によって吸収するため、コンサベータが備えられています。

なお、コンサベータで流入・流出する空気中の水分は、絶縁油を酸化劣化させる恐れがあります。

そこで、コンサベータの出入口にはブリーザが取り付けられています。ブリーザにはシリカゲル(吸湿剤)が含まれており、流入する空気の吸湿をおこなっています。

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