第三種電気主任技術者の過去問
令和3年度(2021年)
電力 問27

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和3年度(2021年) 電力 問27 (訂正依頼・報告はこちら)

原子力発電に関する記述として、誤っているものを次の( 1 )〜( 5 )のうちから一つ選べ。
  • 原子力発電は、原子燃料の核分裂により発生する熱エネルギーで水を蒸気に変え、その蒸気で蒸気タービンを回し、タービンに連結された発電機で発電する。
  • 軽水炉は、減速材に黒鉛、冷却材に軽水を使用する原子炉であり、原子炉圧力容器の中で直接蒸気を発生させる沸騰水型と、別置の蒸気発生器で蒸気を発生させる加圧水型がある。
  • 軽水炉は、天然ウラン中のウラン235の濃度を3〜5%程度に濃縮した低濃縮ウランを原子燃料として用いる。
  • 核分裂反応を起こさせるために熱中性子を用いる原子炉を熱中性子炉といい、軽水炉は熱中性子炉である。
  • 沸騰水型原子炉の出力調整は、再循環ポンプによる冷却材再循環流量の調節と制御棒の挿入及び引き抜き操作により行われ、加圧水型原子炉の出力調整は、一次冷却材中のほう素濃度の調節と制御棒の挿入及び引き抜き操作により行われる。

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この過去問の解説 (2件)

01

日本で使用されている原子力発電所の構造や特徴に関する問題です。

選択肢1. 原子力発電は、原子燃料の核分裂により発生する熱エネルギーで水を蒸気に変え、その蒸気で蒸気タービンを回し、タービンに連結された発電機で発電する。

問題文にある通り、原子力発電は原子燃料の核分裂により発生する熱エネルギーで水を蒸気に変え、その蒸気で蒸気タービンを回して発電します。

選択肢2. 軽水炉は、減速材に黒鉛、冷却材に軽水を使用する原子炉であり、原子炉圧力容器の中で直接蒸気を発生させる沸騰水型と、別置の蒸気発生器で蒸気を発生させる加圧水型がある。

誤りです。

この選択肢の内容で間違っているのは、軽水炉についての説明です。

◆軽水炉とは

核分裂で発生した熱によって水から蒸気を発生させ、蒸気の力でタービンを回して発電する最も一般的な原子炉です。

軽水炉では、軽水が減速材と冷却材に兼用されていることが特徴です。

蒸気を発生させるしくみの違いによって、沸騰水型加圧水型に分けられますが、核分裂の方法や減速材として水を使う点については同じです。

選択肢3. 軽水炉は、天然ウラン中のウラン235の濃度を3〜5%程度に濃縮した低濃縮ウランを原子燃料として用いる。

軽水炉は、原子燃料に低濃縮ウランが使用されるという特徴もあります。

低濃縮ウランを使用するのは、運転に必要な一定以上の反応度を確保するためです。

この低濃縮ウランは、天然ウランからウラン235を取り出して、濃度を3~5%程度に濃縮したものを示しています。

選択肢4. 核分裂反応を起こさせるために熱中性子を用いる原子炉を熱中性子炉といい、軽水炉は熱中性子炉である。

問題文の通り、核分裂反応を起こさせるために熱中性子を用いる原子炉を熱中性子炉と言います。

軽水炉では高速中性子を熱中性子に減速させて核分裂反応を起こさせるため、熱中性子炉となります。

選択肢5. 沸騰水型原子炉の出力調整は、再循環ポンプによる冷却材再循環流量の調節と制御棒の挿入及び引き抜き操作により行われ、加圧水型原子炉の出力調整は、一次冷却材中のほう素濃度の調節と制御棒の挿入及び引き抜き操作により行われる。

沸騰水型原子炉の出力調整は、再循環ポンプによる冷却材の流量調整と制御棒の出し入れによる核分裂反応の制御によって調整中します。

一方、加圧水型原子炉の出力調整は、一次冷却材中のほう素濃度の調整と制御棒の出し入れによる核分裂反応の制御によって調整します。

まとめ

原子力発電については、原子炉の形状、原子燃料、減速材、冷却材、制御材、反射体について理解を深めておくと良いでしょう。

(反射体とは、炉心から放射性物質を炉心内に戻すもののことです。)

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02

1.原子力発電は、原子燃料の核分裂により発生する熱エネルギーで水を蒸気に変え、その蒸気でタービンを回すことで発電します。

→正しいです。

2.沸騰水型軽水炉と加圧水型軽水炉では減速材、冷却材ともに「軽水」を使用します。

→誤りです。

3.軽水炉は低濃縮ウランを使用します。

→正しいです。

4.軽水炉は熱中性子炉です。

→正しいです。

5.沸騰水型および加圧水型原子炉は、いずれも制御棒の引き抜き、挿入にて核分裂反応を制御します。

→正しいです。

よって正解は2です。

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