第三種電気主任技術者の過去問
令和3年度(2021年)
機械 問45

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和3年度(2021年) 機械 問45 (訂正依頼・報告はこちら)

一定電圧、一定周波数の電源で運転される三相誘導電動機の特性に関する記述として、誤っているものを次の( 1 )〜( 5 )のうちから一つ選べ。
  • かご形誘導電動機では、回転子の導体に用いる棒の材料を銅から銅合金に変更すれば、等価回路の二次抵抗の値が増大するので、定格負荷時の効率が低下する。
  • 巻線形誘導電動機では、トルクの比例推移により、二次抵抗の値を大きくすると、最大トルク(停動トルク)を発生する滑りが小さくなり、始動特性が良くなる。
  • 巻線形誘導電動機では、外部の可変抵抗器で二次抵抗値を変化させ、大きな始動トルクと定格負荷時高効率の両方を実現することができる。
  • 二重かご形誘導電動機では、始動時に回転子スロット入口に近い断面積が小さい高抵抗の導体に、定格負荷時には回転子内部の断面積が大きい低抵抗の導体に主要な二次電流を流し、大きな始動トルクと定格負荷時高効率の両方を実現することができる。
  • 深溝かご形誘導電動機では、幅が狭い平たい二次導体の表皮効果による抵抗値の変化を利用し、大きな始動トルクと定格負荷時高効率の両方を実現することができる。

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この過去問の解説 (2件)

01

三相誘導電動機の特性に関する問題です。

選択肢1. かご形誘導電動機では、回転子の導体に用いる棒の材料を銅から銅合金に変更すれば、等価回路の二次抵抗の値が増大するので、定格負荷時の効率が低下する。

適当です。

純粋な銅を使うより銅合金を使う方が抵抗値が高くなるので、損失が増えます。

損失が増えるので効率が低下します。

選択肢2. 巻線形誘導電動機では、トルクの比例推移により、二次抵抗の値を大きくすると、最大トルク(停動トルク)を発生する滑りが小さくなり、始動特性が良くなる。

不適当です。

「比例推移」という言葉から分かる通り、二次抵抗の値を大きくすると滑りも大きくなります。

選択肢3. 巻線形誘導電動機では、外部の可変抵抗器で二次抵抗値を変化させ、大きな始動トルクと定格負荷時高効率の両方を実現することができる。

適当です。

巻線形誘導電動機では、二次抵抗値を上げることで始動時に大きなトルクを得、定格運転時には二次抵抗値を下げて高効率運転を実現しています。

選択肢4. 二重かご形誘導電動機では、始動時に回転子スロット入口に近い断面積が小さい高抵抗の導体に、定格負荷時には回転子内部の断面積が大きい低抵抗の導体に主要な二次電流を流し、大きな始動トルクと定格負荷時高効率の両方を実現することができる。

適当です。

二重かご形誘導電動機では、始動時、断面積が小さい外側の導体に電流が流れます。

定格負荷時には、断面積が大きい内側の導体に電流が流れます。

選択肢5. 深溝かご形誘導電動機では、幅が狭い平たい二次導体の表皮効果による抵抗値の変化を利用し、大きな始動トルクと定格負荷時高効率の両方を実現することができる。

適当です。

深溝かご形誘導電動機では、深いスロットの中に導体が入っています。

始動時は周波数が高いので表皮効果の影響が大きくなり、外側で漏れ磁束が小さくなるので電流は外側を流れます。

その後周波数が下がってくると電流の分布は一様になり、抵抗も小さくなります。

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02

1.「二次抵抗値が増大 = 損失が増大」なので、全体の効率は悪化します。

→正しいです。

2.トルクの比例推移について、「二次抵抗 / 滑り = 一定」としておけば最大トルクの値は変わらないというもので、同じ最大トルクを得ようとする場合、二次抵抗を大きくすると滑りも大きくする必要があり、始動特性が悪くなります。

→誤りです。

3. 比例推移により外部抵抗を増大させることで滑りを大きくし、大きな始動トルクを得ることが可能です。

→正しいです。

4. 始動時は高抵抗の導体なので、比例推移により最大トルクが出る滑りを大きくしているので、始動トルクが大きくなります。

定格時は低抵抗の導体なので、最大トルクが出る滑りが減少します。

よって定格負荷時に最大トルクを持ってこられるようにしています。

→正しいです。

5. 比例推移の特性から、抵抗値の変化により最大トルクを出す点を変化させています。

→正しいです。

以上より2が正解です。

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