第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和4年度(2022年)下期
問10 (理論 問10)
問題文
図の回路のスイッチSをt=0sで閉じる。電流iS[A]の波形として最も適切に表すものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、スイッチSを閉じる直前に、回路は定常状態にあったとする。
ただし、スイッチSを閉じる直前に、回路は定常状態にあったとする。

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問題
第三種 電気主任技術者試験 令和4年度(2022年)下期 問10(理論 問10) (訂正依頼・報告はこちら)
図の回路のスイッチSをt=0sで閉じる。電流iS[A]の波形として最も適切に表すものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、スイッチSを閉じる直前に、回路は定常状態にあったとする。
ただし、スイッチSを閉じる直前に、回路は定常状態にあったとする。

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この過去問の解説 (2件)
01
RLC直列回路をバイパスした時の過渡現象に関する問題です。
この回路では、磁気的エネルギーと静電的エネルギーの両方の現象が起こります。
2つの現象が起こることで、一見すると複雑に見えますが、スイッチSを閉じた場合、スイッチ部分を境にして左右に分けて考えることができるようになります。
◆R―L直列回路部分の過渡電流iL
R―L直列回路の過渡電流の公式に、値を代入します。
iL = (E/R) × (1 − ε−(R/L)t)
= (1/1) × (1 − ε−(1/1)t)
= 1 − ε−t [A]
◆R―C直列回路の過渡電流iC
R―C直列回路の過渡電流の公式に、値を代入します。
iC = (E/R) × ε−(1/CR)t
= (1/1) × ε−(1/1×1)t
= ε−t [A]
※コンデンサは、スイッチが開いている時に充電されているため電源Eの1[V]を適用しています。
◆iSを求めます。
キルヒホッフの電流に関する法則を適用します。
iS = iL + iC
= (1 − ε−t) + ε−t
= 1 [A]
以上のことから、iSは回路や時間の依存はなく常に1[A]となります。
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02
過度現象に関する問題です。
この問題は抵抗RとコイルLで構成されるR-L回路と抵抗RとコンデンサCで構成されるR-C回路の間にスイッチSが設けられ、そのスイッチSをt=0sで閉じた時の電流iS[A]の波形を選択する形となります。
過度現象では、初期値から定常値までに達する時間、時定数τが重要となり、それぞれの回路の時定数τは以下となります。
・τ=CR(R-C回路)‥①
・τ=L/R(R-L回路)‥②
問題文より、「スイッチSを閉じる直前に、回路は定常状態にあったとする」とありますが、この時の電流iS[A]は0[A]となります。
何故かというと定常状態の時、コイルLは導通状態(短絡)となり電源E=1Vより、ここに流れる電流は1[A]となります。次にコイルLを通過するとコンデンサCの方へ流れますが、コンデンサは定常状態になると開放してしまうので電流は流れません。よってスイッチSを閉じる前の電流iS[A]は0[A]が成り立ちます。
次にスイッチSを閉じるとRCとRLの二つの閉回路が出来ます。
まずRC回路から見ていくと、閉じた瞬間は定常状態でありコンデンサは充電されているのでこのコンデンサから1Vが発生し、抵抗1Ωを介するので閉じた瞬間の電流の初期値は1[A]となり、そこから徐々に0[A]に向かっていきます。この時の時定数τは①式より以下のようになります。
・τ=CR=1×1=1[S]
続いてRL回路になりますが、コイルLはコンデンサとは逆で初期値の電流は流れず徐々に1[A]に向かっていきます。この時の時定数τは②式より以下のようになります。
・τ=L/R=1/1=1[S]
以上の結果より、RCとRLの二つの回路は同じ時定数τ=1[S]となります。
よって、スイッチSを閉じると初期値1[A]から減少する事無く、電流iS=1[A]が常時流れている状態と言えます。
こちらが適切な解答となります。
初期値と定常値のコンデンサとコイルの特性については、頻出しているので覚えておきましょう。
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